だれかに話したくなる本の話

「小説ならでは」の仕掛けが鍵を握る――道尾秀介が語る新作『雷神』と小説のポテンシャル(1)

『雷神』を執筆した道尾秀介さん

小料理屋を営む藤原幸人のもとにかかってきた、一本の脅迫電話。それが惨劇の始まりだった。昭和の終わりに起きた「母の不審死」と「毒殺事件」の真相を明かすべく、故郷の新潟に向かう幸人とその家族たち。過去と現在の2つの物語が複雑に絡み合い、決して交わるはずのなかった運命が交錯する。そして、驚愕の真実が明かされていく――。

道尾秀介さんの最新作『雷神』(新潮社刊)が話題を呼んでいる。道尾さん自身も会心の出来と語る本作は、「全てのページが伏線」というべき緻密な仕掛けが散りばめられており、何度読んでも違った印象を与えてくれる一冊だ。

新刊JPは道尾さんに取材を行い、この物語の成り立ちや新しい表現への挑戦などについてインタビューを行った。前後編の2回構成でお届けする今回は前編だ。

(取材・文・写真:金井元貴)

雷神

雷神

ささいな善意と隠された悪意。決して交わるはずのなかった運命が交錯するとき、怒涛のクライマックスが訪れる。
キャリアハイ、著者会心の一撃。