だれかに話したくなる本の話

翻訳家としても一流 森鴎外の生涯

『森鴎外、自分を探す』(出口智之著、岩波書店刊)

高校の授業でもよく取り上げられる『舞姫』の著者である森鴎外。小説家であり、本職の軍医としては軍医総監という最高位まで登りつめて大日本帝国陸軍の中枢に立ち、退職後は文化人としての教養を評価されて帝室博物館(現在の東京国立博物館ほか)総長となり、その間文壇でもずっと圧倒的存在として君臨し続けた。一方、ものすごく子煩悩であり、愛情深い父親としての一面もあった。 明治という新しい時代に生きた森鴎外は、どんな人物だったのか。

森鷗外,自分を探す

森鷗外,自分を探す

文豪で軍医の、歴史上の天才? 「舞姫」って本当は何が書いてあったんだろう? 江戸時代の終わりに生まれ、明治の激動のさなかに勉強して留学し、自由恋愛を経験して、一人称小説を書くとはどういうことだったのか。その時代の感覚に立って、作品や資料を読み解けば、悩んで悩んで自分を探した、鴎外の横顔が見えてくる。