だれかに話したくなる本の話

【著者インタビュー】兄の視点から語る一家解散の真実―『ホームレス大学生』著者、田村研一さん

昨年、大ヒットした『ホームレス中学生』。お笑い芸人の麒麟・田村裕さんの壮絶な半生が描かれた自叙伝として日本に感動を呼び、ドラマ化、さらには映画化もされている。
 そして先月10日、その田村裕さんの実兄である田村研一さんが、ワニブックスより『ホームレス大学生』を出版した。兄の目線から捉えたホームレス生活のアナザーストーリーとなっており、母との死別や父との再会、田村家解散の真実が兄の視点で綴られている。また、現在、弟の裕さんが人気お笑い芸人として活躍されているが、兄の研一さんもお笑い芸人を目指していたという。新刊JPニュース編集部はそんな研一さんにインタビューを敢行。『ホームレス大学生』の内容や、当時の話を中心に語ってもらった。
 さらに、読者の皆さんから1名の方に田村研一さんサイン入り書籍をプレゼント! インタビューの最後に宛先を掲載しているので、是非とも最後まで読んで欲しい。


◇「お笑い芸人はもう目指していません。弟とは別の土俵で勝負したいから」


―『ホームレス大学生』を出版したきっかけは何ですか?

田村「もともと弟から話をもらって。僕は素人ですから、話を聞いたときは『そんなことできひんやろ』と思って断るつもりだったんですよ。ただ、昔から弟の助けになることは何でもしてあげたいという想いもあったんで、じゃあやってみようかという気持ちで受けたのが最初でしたね」

―裕さんから話をもらってすぐ書きますよ、というような方向に進んだのですか?

田村「そうですね。OKするのに、一日かからなかったです。半日くらい悩んで、じゃあやってみるわって」

―どのようなことに気をつけて本書を書きましたか?

田村「弟の本とどうやって差別化をするかっていうことには気を使いましたね。題材が一緒で同じ時期、同じような生活をしていたじゃないですか。その中で、弟の目線と僕の目線は、どう違っていて、それをどういう風に表現しようかというところには気をつけました」

―この本は本業のお仕事をされながら書いていたんですか?

田村「本業っていってもフリーターなんで(笑)。そこに全力を注ぐ仕事でもないので、全然苦にはならなかったですね」

―研一さんも以前はNSC(吉本総合芸能学院)に入っていらっしゃって、コンビも組まれていたとのことなのですが、まだ芸人を目指しているんですか?

田村「いや、もう目指してないですよ。弟がいくところまでいってるし、今さら弟と同じ土俵で勝負しても勝てないんでね」

―でも、弟さんと共演とかしてみたら面白いんじゃないですか(笑)?

田村「いやいや(笑)。やっぱり、最終的には一番上に行きたいっていうのが兄のプライドとしてもあるんで、それだったら違う土俵で勝負したいですしね」


◇「父親を恨んではいませんね。逆に感謝していますよ。良い経験をさせてもらった、と」


―『ホームレス中学生』や『ホームレス大学生』を読んでいて思ったのですが、兄弟の方、誰もお父さんのことを恨んでいらっしゃらないのはどうしてなんでしょうか。

田村「僕らはそれが普通っていうか、ずっとそうやって生きてきたんで。みなさんにそう言われるんですけど、逆に何でかなって思うくらいです」

―渦中の時もそういう風に思えていたんですか?

田村「うーん、そのときは父親がどうこうというよりも、自分らが生きるのに必死やったんで。(家がなくなってホームレス生活をするようになったのは)親父が原因ではあるけども、良い経験をさせてもらっているっていう考え方が僕ら3人なんですよね。恨むとかっていうよりは逆に感謝するぐらいですね」

―でも、やっぱり3人で一緒に暮らした方が精神的に違いますよね。

田村「もちろん、そちらの方が断然楽です。兄弟が3人おって、あの年齢差で、男、女、男っていうのがすごくよかったなって思えますね。あの3人じゃなかったら、ひょっとしたら乗り切れられなかったかも知れませんから。再集合することもなく、バラバラになっている可能性もありますよね」

―もし、あのままご兄弟が養子にいかれていたら全然違う人生を歩んでいましたよね。

田村「そうなんですよね。たぶん簡単には兄弟で会えなくなったでしょうし。逆に弟は芸人にはなれなかったかもしれないですけど、何不自由なく生活できたかもしれないですし。まぁ、どっちが良かったかっていうのは分からないですけど、でもね、あの3人で生活できたことのほうが良かったって皆思ってると信じたいですね」

―そういえば当時お金を借りていたそうですが、返済には苦労されたんですか?

田村「お世話になった川井さんらもすごく良い人やったので、急かされることもなく、お金に余裕がある時でいいよっていう話やったんで。何年かかったか分からないですけど、今実際にはもうすべて返済は終わっています。そう考えると、ああいう状態ではありましたけど、本当に良い人たちに巡り合えたと思いますね」

―『ホームレス中学生』が出版されたとき、どういう心境でいらっしゃいましたか?

田村「もともとそんなに売れるって思ってなかったんですよ(笑)。弟…というか、麒麟の田村というお笑い芸人は当時、関西ではそこそこ人気ありましたけど、全国的にはまだ無名やったんですよね。だから、『お前が本出して誰が興味あんねん』っていう感想はありましたね」

―それから大ベストセラーになり、さらに映画化もされましたが、そちらはご覧になりましたか?

田村「はい、見ました。また良いお兄ちゃんになってるんですよね(笑)! あれはすごいプレッシャーなんですよ」

―プレッシャーなんですか(笑)?

田村「はい(笑)。悪い言葉で言うと、今後は良いお兄ちゃんを演じきらないといけないじゃないですか。それがすごいプレッシャーになりますよね。でも僕は僕なんでね、やっぱり自然体でいこうかなとは思いますけどもね」

―それでは最後に、読者の方に何か伝えたいことはありますか?

田村「手にとって読んで頂けたら有難いですね。本当に一生懸命書いたので、読まれないっていうのが1番悲しいことなので(笑)。ちょっとでも興味があれば、ぜひ1度手にとって欲しいなと思います」

―どうもありがとうございました。

田村「ありがとうございます」

(インタビュアー/川口絵里子、記事構成/谷島希)


【田村研一プロフィール】
1974年5月8日、大阪・茨木市生まれ。
大阪の進学校・千里高校では野球部に所属し主将に。京都の大学に進学したが、1年時に家族が解散し、田村家の家長になる。3年時に吉本興業のタレント養成所「NSC」に入学。大学卒業後はパチンコ店などのアルバイトなどを経て、現在は総合卸売問屋でフリーターとして働く。

◆『ホームレス大学生』著者・田村研一さん直筆サイン入り書籍をプレゼント!◆
今回、新刊JPニュースに登場して下さった田村研一さんの直筆サイン入り『ホームレス大学生』を抽選で1名の方にプレゼント!! 
宛先は[email protected]まで。件名に「田村研一さんサイン本」、本文には名前と連絡先、そして田村研一さんインタビューの感想を明記してください。〆切は12月15日となっています。お早目のご応募お待ちしております!

『ホームレス大学生』の著者、田村研一氏。


*新刊ラジオでは本書をラジオドラマを交えたダイジェスト形式で紹介しています!
ホームレス大学生(新刊ラジオ 第700回)を聴く