だれかに話したくなる本の話

歴ドルが選ぶ幕末のイケメンは誰?小日向えりさんインタビュー

歴史上の人物にはイケメンが多い!?
 歴史好きアイドル「歴ドル」として活躍中の小日向えりさんの新刊『イケメン幕末史』(PHP新書)には、幕末から日露戦争にかけて活躍した人物の中から、女性目線で厳選した「イケメン」50人が掲載されています。
 しかし、「イケメン」と一口にいっても男性の好みは人それぞれ。
 著者の小日向さんはどんな「イケメン」観を持っているのか、お話を伺ってきました。


◇ ◇ ◇

―小日向さんはどんな男性をイケメンと思いますか?

小日向「『イケメン』はイケてるメンズの略なので、人によって解釈はさまざまだと思います。私の中でのイケメンは、尊敬できて、人間的な魅力を感じられる人かな。外見がいいだけではイケメンとは言い難いです。外見と内面、ともにかっこいい人はもちろんイケメンですし、容姿端麗でなくても、信念を貫く生き様が素敵だったり、スポーツ選手やアーティストのように秀 でた才能があったりと、女性が『かっこいい』と惹かれる要素を持った男性はイケメンだと思います」

―現実での理想の男性はどんな人ですか?

小日向「とにかく真面目な人がいいので、これは必須条件です。あと、私がけっこうドジなので、しっかりしていて頼りがいがあれば嬉しいですし、さらに包容力があり器の大きい人が理想です」

―著書の中の人物で恋人にするなら誰がいいですか?

小日向「伊東甲子太郎(新選組の1人。近藤勇の暗殺を企てたことで有名)です。志が高く、弁舌巧みで人望もあり、背がスラっと高く俳優のような名だたる美男。さらには学問もできて、剣術も道場主をしていたほどの腕前だったという、こんな伊東さんはまさにイケメン中のイケメンだと思います。話し上手なので、伊東さんが恋人だったら一緒にいて楽しそうですし、性格も温和だったそうなので喧嘩もしなさそうです。ただ、奥様に離縁状を叩き付けたというエピソードがあるので、結婚というより恋人にしたいタイプかなと思いました」

―その人とデートするならどこに行きたいですか?

小日向「『残しおく言の葉草』という伊東さんの歌集があるのですが、特に桜の和歌が多く見受けられます。なので、お花見に行って、桜を眺めながら歌を詠みあう風流なデートがしたいです」

―では、結婚するなら?

小日向「武市半平太(坂本龍馬、中岡慎太郎とともに土佐勤王党を結成。吉田東洋暗殺の罪で切腹に処された)です。なんといっても奥様一筋な一途っぷり。子供に恵まれなかったというのに、この時代には珍しく側室を娶っていません。跡継ぎを心配した門下生が、奥さんを家から離れてもらい、次々と他の女性を武市家に送り込むのですが、手を出さないどころか、逆に武市さんは『つまらないことをするな』と怒って門下生達を叱りつけたそうです。そういった、奥さんとの純愛エピソードに惹かれます」

―お父さんにするなら誰でしょうか?

小日向「秋山好古(正岡子規の親友。“日本騎兵の父”と称されている)です。彼は、明治では特に大好きな人物です。お兄さん的なイメージが強いですが、結婚後は『厳格な父』だったのではないかと思います。子供のときから、とても家族思いで身を犠牲にして働いた人だし、こんな方が父親だったら、すごく尊敬できます。 また、弟の真之にスパルタ教育をしていたように、子供に対しても厳しく、且つ愛のある教育をしてくれそうです。実際は、あまり子供達に干渉しなかったそうですが、本当に困ったときや、ここぞというときは、豊富な人生経験から、的確な助言をしてくれそうです」

―イケメンだけど、実はあんまり好きじゃない人はいますか?

小日向「加納惣三郎(18歳で新選組に入隊したとされるが、記録がなく、幻の隊士でもある)かな。彼は、島原通いにはまって、お金がなくなり、辻斬り強盗をしています。現代に置き換えたら、『キャバ穣にはまって、お金がないのにキャバクラに行きたいがために、通行人を殺して財布を盗む』というようなものです…。今と当時とは、時代背景が違うといえども、正直好きにはなれない人です」

―最後に読者の方にメッセージをお願いします。

小日向「知名度は度外視で、特に女性に人気だったり、個人的に『この人はかっこいい!』とプッシュしたい人物をピックアップしたので、加藤司書や服部武雄などの知られざるイケメンもクローズアップできたと思います。メジャーな人物は、例えば『伊藤博文は料理好きだった』とか、『久坂玄瑞は幕末一の美声の持ち主だった』など、一般的にあまり知られてないエピソードをヒューチャーするように心がけました。本書を読んで、お気に入りのイケメン志士を見つけて、楽しんで頂ければ幸いです」

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 『イケメン幕末史』にはその他にも、“イケメン”な歴史人物がエピソードとともに多数掲載されています。
 歴史に“見た目”から入るのもアリかもしれませんね。
 
(取材・記事/川口絵里子)