だれかに話したくなる本の話

モリタクが提案する「年収防衛」時代の庶民の生き方―【書評】『年収防衛』

本書の著者である森永卓郎氏自身が「世界経済がここまで追い詰められるとは思っていなかった」と述べている通り、世界経済は破綻の危機を迎え、さらに日本もその波に飲み込まれようとしている。

 実際、新卒大学生の内定取り消しや従業員のリストラが相次いでおり、雇用に不安を与えていることは知っての通りだ。今後は所得や福祉、医療制度にも影響が出てくるのはほぼ間違いないだろう。

 どうしてこんなことになってしまったのかを解説する知識人は、毎日メディアのどこかで目にするが、本書はそんな時代をどう生き抜くかに主眼をおいた生命力に溢れる一冊である。

 タイトルにもある『年収防衛』という言葉から、本書が資産運用に言及するのは驚くに値しないが、働き方や発想術、対人関係ひいては恋愛にまで本書は様々なトピックの間を自由自在に飛び回る。

 本書に安易な希望的観測は存在しない。あるのは最悪の事態を常に想像しておき自分自身を守るという当たり前の態度である。

 著者の前作「年収崩壊‐格差時代に生き残るための『お金サバイバル術』」とともにぜひ読んでおきたいユニークな一冊だ。
(新刊JPニュース編集部)

◆『年収防衛―大恐慌時代に「自分防衛力」をつける』
著者:森永卓郎
出版社:角川SSコミュニケーションズ
定価(税込み):819円
新書判/発売中