だれかに話したくなる本の話

人生に迷う「ダメな読書」に注意せよ

今も昔も本を読むことはいいことだとされ、学生時代も社会人になってからも読書は基本的に奨励されます。
 もちろん、本を読んで知識を得ることが悪いことであるはずはありません。しかし、本のソムリエ、書店「読書のすすめ」店主の清水克衛さんは、著書『非常識な読書のすすめ』(現代書林「元気が出る本」出版部/刊)のなかで、間違った読書は能力を高めるどころか、成長を阻害することもあると指摘しています。
 
 たとえば、清水さんはお店に来たお客さんにこんなことを言われたことがあるといいます。
 「Kさんの本を読むと『運命は全部決まっている』と書いてあるのに、Sさんの本を読むと『運命は全部自分で決めていける』と書いてあるんです。一体どっちを信じたらいいんでしょう?」
 また、こんな人も。
 「彼女とうまくいかない」と悩んでいる男性客に、清水さんは一冊の本を勧めました。しかし、後日来店した彼は、その本について、どこがいいか全然わからなかったと言います。そこで、また別の本を紹介したところ、彼は清水さんに「この本で、本当に彼女との仲が良くなるんですか?」と尋ねたそうです。

 前述の2人のお客さんは、本を盲信し、頼り切っていることがうかがえます。
本に頼り切ってしまうと、人からいい話を聞くだけで自分が磨かれているような気になってしまい、自分で考えることをしなくなりがち。これでは読書で成長することはできません。
 本で読んだことは自分で実践して、いろいろやってみて、初めて「自分の答え」が見えると清水さんは言います。つまり、自分なりの答えを見つけるために考えるヒントやきっかけをくれるのが読書であって、読書で得た知識をもとに自分で考えたり、実践したりしないことには、人の意見に振り回されて、結局は人生に迷ってしまうことにもなりかねません。

 本書で、清水さんは長年の読書体験や書店経営の経験から、本当に身になる読書の仕方や、読書の目的、注意しなければならない間違った読書など、本を読むうえで押さえておきたい読書の心得について、自身の考えを語っています。

 「読みなさい」と言う人はたくさんいても、「なぜ読むのか」ということを教えてくれる人はあまりいません。本書を通して読書の目的を考えてみることで、「自分の頭で考えるための読書」が身につくはずです。

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(新刊JP編集部)