だれかに話したくなる本の話

有川浩『旅猫リポート』が英訳決定! 翻訳者は村上春樹・大江健三郎を手がけた大物

ギリスの出版社、トランスワールドが18日、有川浩による小説『旅猫リポート』の英訳版権を講談社から獲得したと発表した。
 同社編集者のジェーン・ローソン氏は「出会ってすぐに繋がりを感じた」とこの作品を評し「ブッククラブ(イギリス国内に多く存在する読書好きのコミュニティ)を超えて訴求するだろう」とした。

 『旅猫リポート』はこれまでに、ドイツ、イタリア、中国、ベトナム、韓国、台湾で刊行され、スペイン、フランス、ポーランドからも刊行の申し入れがあるという。今回の英訳版権獲得によって英語圏がカバーされることになるが、目を引くのはその翻訳者である。この作品の英訳を担当するアリゾナ大学教授、フィリップ・ガブリエルは『1Q84』『海辺のカフカ』といった村上春樹の主要作品の翻訳者であると同時に、大江健三郎、桐野夏生、吉田修一といった日本人作家の作品も手掛けてきた日英訳の大物。氏の翻訳による、『THE TRAVELLING CAT CHRONICLES(英題)』は2017年春に刊行予定とされている。

 『旅猫リポート』は、猫のナナと、ナナを手放さなければならなくなった飼い主の物語。新しい飼い主を捜すべく出発した彼らの旅が、ナナや飼い主・サトルの視点から語られる。
日本でも第34回吉川英治文学新人賞、第26回山本周五郎賞の候補として挙げられ、ヒット作となった。

情報元:Transworld Acquire Japanese Novel, The Travelling Cat Chronicles(booktrade.info)
(新刊JP編集部・山田洋介)

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山田洋介

1983年生まれのライター・編集者。使用言語は英・西・亜。インタビューを多く手掛ける。得意ジャンルは海外文学、中東情勢、郵政史、諜報史、野球、料理、洗濯、トイレ掃除、ゴミ出し。

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