だれかに話したくなる本の話

ダージリンとアッサムの特徴の違いは? 紅茶の定番を解説

近年、コンビニコーヒーが好調なこともあり、コーヒー人気が続いているが、コーヒーよりも紅茶好き、という人も多いだろう。

そんな紅茶好きのための手引きとも言えるのが、『紅茶の手帖』(磯淵猛著、ポプラ社刊)だ。本書では、「キリン 午後の紅茶」「モスバーガー」の紅茶などのプロデュースを手掛ける紅茶の第一人者である磯淵猛氏が、紅茶をおいしくする秘密は「五秒の決断」にあるなど、とっておきのおいしい淹れ方から、歴史、産地、人物まで「紅茶の魅力」を余すところなく解説している。

カフェなどで紅茶を飲むとき、メニューに書かれている紅茶の種類を見て、名前は聞いたことがあっても、味や香り、どんな食べ物に合っているかどうかまではわからないことは多いのではないだろうか。紅茶初心者ならば、ダージリンやアッサムなど、代表的な紅茶の特徴はおさえておきたいところだ。

本書から定番のものをご紹介しよう。

○ダージリン
ダージリンは、インド西ベンガル州の北に位置する標高およそ2300メートルの高地にあり、19世紀の後半、中国の福建省から緑茶種の種や苗木を持ち込んで植え、それを紅茶に仕立てたという。気温の低さとヒマラヤを背景にした山岳地の影響を受け、1年に3回、快く刺激的な渋みがある「ファーストフラッシュ」、味と香り、水色の三拍子そろった「セカンドフラッシュ」、重く強い渋みを持つ「オータムナル」という風味の異なる紅茶が収穫される。

○アッサム
アッサムはインド北東部にある州で、背景にヒマラヤ山脈、大河のブラマプトラ川を有する広大な平野。インド紅茶の半分以上がアッサムで作られているという。インドの国民が飲むチャイに使われ、味は濃厚でコクがあり、深みのある渋みを持つ。ミルクとの相性が良いのは知られたところ。

○キーマン
中国を代表する紅茶で、ダージリン、スリランカのウバと並んで「世界三大銘茶」になっている。キーマンは中国南東部の安徽省にあり、気候区分は亜熱帯に属している。山岳地では日中の温度差が大きく、年間200日は雨。この気候は紅茶に適しているそうで、味は中程度の渋みで、濃厚な深みを持つという。ブラックティーでも、ティーウィミルクでも楽しめる。

○セイロン
1948年に英国から独立し、1972年にスリランカと国名を改めた。以来、スリランカ紅茶となったが、今もセイロン紅茶と呼ばれることが多い。栽培地の標高によって、「ヌワラエリア」「ウダプッセラワ」「ウバ」「ディンブラ」「キャンディ」「ルフナ」の六大紅茶産地に分かれ、気候や風、霧、直射日光の強さによって、紅茶のキャラクターに変化が生じ、それぞれの特徴を確立している。例えば、ウバは、ベンガル湾に面した山岳地帯で、7〜8月に季節風の影響を受け、爽やかなすっきりしたミント系の香りと、フルーツのマンゴスティン、青リンゴのような香りを持つ。強い渋みがあり、ミルクと相性が良い。

では、さまざまな種類がある紅茶から自分の好みを見つけるにはどうしたらいいのか。

いつも同じ香りや味を好むとは限らないし、その時の体調、食事中か食前後かなどで、好みも変わってくる。なので、著者はこの風味の紅茶と決めつけず、状況に応じて選ぶのが良いとすすめる。決め方のポイントは、濃くて渋い紅茶か、薄くて渋みが弱いものを多めに飲みたいか、香りがあるフレーバードティーか、という3点に絞ると選びやすいそうだ。

それぞれ異なった種類がたくさんある紅茶の世界は奥深い。紅茶のことをもっと理解すれば、その季節や自分の好みや気分にあった紅茶を選んで飲むことができる。もっと紅茶のことを知りたい、ティータイムを楽しみたいという人におすすめの1冊だ。
(新刊JP編集部)