だれかに話したくなる本の話

なぜ「真面目」で「家族思い」のアメリカ白人労働者たちはトランプを熱烈に支持するのか?

『アメリカを動かす「ホワイト・ワーキング・クラス」という人々 世界に吹き荒れるポピュリズムを支える"真・中間層"の実体』(集英社刊)

データで捉えられなかった動き――。
2016年のアメリカ大統領選挙は、不動産王ドナルド・トランプの勝利に終わったが、多くの知識階層やメディアは彼の勢いを見抜くことはできなかった。ビッグデータでさえも、だ。

なぜトランプは勝利したのか。その原動力に白人労働者たちの存在があったことは、多くの人が知っているだろう。
その白人労働者たちにはさまざまな呼び名がある。
例えば「ヒルビリー」(田舎者)や「ホワイト・トラッシュ」(白いゴミ)、「プア・ホワイト」(貧しい白人)、「レッドネック」(野外労働者)などだ。すでに気付いている人もいるだろう。これらの呼び名は蔑称である。

彼らは、強国・アメリカの中で、いわば置き去りにされた存在だった。その歴史の中で彼らが主役になることはなかったのだ。
そんな存在が突如、主役になり、喧騒の中で静かに国を動かした。
彼らは一体どんな存在なのか? 何を考えているのか?

『アメリカを動かす『ホワイト・ワーキング・クラス』という人々 世界に吹き荒れるポピュリズムを支える"真・中間層"の実体 』

アメリカを動かす『ホワイト・ワーキング・クラス』という人々 世界に吹き荒れるポピュリズムを支える"真・中間層"の実体

二〇一六年、一一月、米大統領選挙で、ドナルド・トランプが勝利し、世界に衝撃を与えた。トランプ大統領誕生の原動力となったのは、ホワイト・ワーキング・クラス。かつてアメリカの製造業を支えたブルーワーカーで、一つの企業で真面目に勤め上げ、家族を養うことを美徳としてきた人々が、時代の流れとともに居場所を失い、政府やメディアなどのエリート層からは軽んじられて大きな怒りと失望を抱えている。トランプの政権運営が迷走する今も、揺らぐことがない彼らの怒りはポピュリズムという形で世界に広がりつつある。