だれかに話したくなる本の話

腐敗した政治、行き詰まる市民運動 ジャーナリストが見た“麻薬戦争の国”メキシコの現在と未来

『マフィア国家』(岩波書店刊)

*9月7日と19日(現地時間)、メキシコで2度にわたりM7を超える大きな地震が発生しました。被災者の皆様に心よりお見舞い申し上げるとともに、被災地の一刻も早い復旧をお祈りしております。

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「合法的にアメリカに行くことは難しい今、手っ取り早く稼いで豊かな暮らしをするには、麻薬組織の仕事をするしかない。今の生活では全く夢も持てないと思っている若者は、それができる可能性のあるカルテル(麻薬犯罪組織)に参加するわけです」

この10年間、メキシコではカルテル同士に加え、軍・連邦警察の三つ巴となって「麻薬戦争」が繰り広げられてきた。その犠牲者はカルテル関係者、軍人、警察官だけではない。罪のない一般市民やジャーナリストも含まれている。

マフィア国家――メキシコ麻薬戦争を生き抜く人々

マフィア国家――メキシコ麻薬戦争を生き抜く人々

国際社会をも震撼させる麻薬戦争の震源地で何が起きているのか、そして人々は暴力にどのように抗しているのか。その最前線の町に入った本格ルポルタージュ。