だれかに話したくなる本の話

【「本が好き!」レビュー】『青空に飛ぶ』鴻上 尚史著

提供: 本が好き!

中学生の萩原友人は、自ら命を絶つことを考えていました。
壮絶ないじめを受ける毎日。もう限界でした。

そんなある日、友人は札幌に住む伯母の家に遊びにいくことに。
看護師をしている叔母の病院で、元特攻隊員の生存者が入院していることを知った友人。

元特攻隊員は、出撃前に終戦を迎えたというのではなく、
9回も出撃を繰り返しては、生きて帰ってきたということです。

特攻隊と佐々木さんに関心を持った友人は、
特攻隊員について書かれている本を古本屋で購入。

その本を読み、知ったことは敵艦への体当たりという任務を負った万朶隊の存在。
そして、特攻隊員が上官から「体当たりをしないで爆弾を落とせ、
次は帰ってくるな」と言われた事。

元特攻隊員の佐々木さんに「生き残る意味」を問いたいと思った友人は、
佐々木さんに会いに行きます。

実在した特攻隊員と、架空の人物の中学生とが交流していくのですが、
どんどん酷くなっていくいじめの描写と特攻隊の実態は、
思っていたよりも読むのが辛く感じました。

何度も出撃をし、その度に生還した特攻隊員については、特攻隊について
書かれている本を読んで知っていました。

でも、佐々木さんが晩年に入院先の病院で何を語ったかということは
知りませんでした。

作者は実際に佐々木さんにインタビューし、実際に佐々木さんの
言葉が作中にいかされているようです。

佐々木さんが語った寿命についての言葉に、重みを感じました。

(レビュー:ねこやなぎ

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青空に飛ぶ

青空に飛ぶ

人生に絶望し、死を望んだ少年が出会ったのは、太平洋戦争で9回特攻し、9回生きて帰ってきた実在の特攻隊員だった。非情な命令に負けず空を飛び続けた男と、教室で戦った孤独な少年の物語。

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