だれかに話したくなる本の話

スッキリ起きたいなら、目覚ましは「音」よりも「光」。その理由とは?

なんだか寝つきが悪く、朝スッキリ起きられない。日中仕事や勉強をしていても、眠気が取れずにパフォーマンスがいまいち上がらない。そんな生活を送ってはいないだろうか?

そこで多くの人は「寝るため」の方法を調べるが、実は睡眠にとって大事なのは、「目覚める」と「寝る」をワンセットで考えること。そして、特に大切なのは「目覚め方」だ。

不眠症に悩む多くの人の相談に乗り、TV、新聞、雑誌などのメディアでも注目されている睡眠改善インストラクターであり、『睡眠改善インストラクターが教える「眠りの魔法」』(坪田聡監修、ぱる出版刊)を上梓した竹田浩一氏は、自身も20年以上不眠症に悩んできた人物だ。

竹田氏の不眠が改善されたきっかけは、目覚め方を改めたこと。それも「光」で目覚める習慣に変えたことだという。
この経験から独自に睡眠の研究を行い、光目覚まし時計を開発してきた竹田氏に「光」で目覚めることが不眠改善につながるメカニズムについてお話を伺った。

(取材・文:大村佑介)

■なぜ「音」よりも「光」で目覚める方がいいのか?

――本書で「眠れない辛さをいやというほど経験してきた」と語っていますが、どのようなことが辛かったのですか?

竹田浩一氏(以下、竹田):私は物心のついた小学校2年生の頃からずっと不眠で悩まされてきたのですが、一番辛かったのは毎日夜がやってくることでした。
当時、私は母親と弟と一緒に寝ていたのですが、二人は寝られて自分だけが寝られないという状態が毎日やってくるんです。そばに家族はいましたが、眠れない時間を一人で過ごすのは怖いし、辛いことでした。

不眠だったとはいえ小刻みには寝ているので、朝になれば学校に行くのですが、体が回復していない感覚がずっとありました。部活をしていても疲れやすいし、皆と一緒に走れないこともあって。なので、寝るときも、昼間起きているときも辛い思いをすることがたくさんありました。

――誰かに相談したりはしていたのですか?

竹田:家族には相談をしていたので、小学生ながらに快眠グッズをいろいろと買ってもらっていました。枕を買ったり、ハーブティを飲んだりとか。28歳で不眠が解消されるまで、合計で100万円くらいは快眠グッズに使ってきたと思います。

ただ、毎回「どうせ効かないだろう」という気持ちもあって、諦めながらも試していくという感じでした。結果、不眠が解消されたのは「光で起きる」という方法だったのですが、最初に知人から「光で目覚めるのがいい」と聞いた時も「どうせダメだろうな」と思いながら試す感じでしたね。

――本書ではアラームのような音による目覚めよりも、光を浴びて起きる方が良いというお話がありましたが、改めてその理由をお教えください。

竹田:人間の体には、危機管理の役割を担うノルアドレナリンという脳内物質があって、寝ている間でも物音などの危険を察知すると活発に分泌され、自律神経を活性化させます。

音によって目覚めるということは、驚かされて無理やり起こされている感覚に近いんです。すると、脳の覚醒が抑えられてしまい、日中も眠気がとれない状態になってしまいます。

一方、光を浴びて起きることは人間の体のシステムとマッチしています。人間には体内時計が備わっていて、そのおかげで私たちは、朝に目が覚めて、日中に活発に活動して、夜になると眠くなるというサイクルが自然に行われるようになっています。
ただ、体内時計は24時間よりも少し長い周期になっていて、その体内時計の周期をリセットするのに必要なのが、太陽の光を浴びることなんです。

光を浴びると体内時計がリセットされる上に、「セロトニン」という脳内物質が分泌されます。
セロトニンは「幸せ物質」と呼ばれる脳内物質で、意識の覚醒をうながして爽やかに目覚めるための手助けもしてくれます。驚かされて無理やり起こされるのではなく、自然に意識を覚醒させるので、スッキリ目覚めることができるわけですね。
さらにセロトニンは、目覚めだけではなく、夜に寝るときにも必要なものです。

■「セロトニン」と「メラトニン」の分泌が快眠のカギ

――セロトニンは睡眠とどのように関係しているのでしょうか?

竹田:朝、光を浴びて分泌されたセロトニンは、夜になると「メラトニン」という睡眠をうながすホルモンにそのまま変化します。
朝、光を浴びれば浴びるほどセロトニンが分泌されて、夜になるとたくさんのメラトニンになり、それが睡眠を促して、質の高い睡眠にもつながるわけです。逆に言えば、セロトニンがきちんと分泌されていないとメラトニンの分泌も不十分になり、体が上手に睡眠モードに入れなくなってしまうんです。
なので、朝に光を浴びることは目覚めと睡眠の両方に効果があるといえます。

――どうすればセロトニンは分泌されやすくなるのでしょうか?

竹田:セロトニンを分泌させるためには、トリプトファンというセロトニンの元となる物質を食事などで摂っていきます。トリプトファンはビタミンB6を合わせて摂ると効率よく摂取できます。
そうして、トリプトファンを蓄えたら、セロトニンを分泌させるために朝、光を浴びるようにします。
ほかにも、軽い運動をしたり、他人とのコミュニケーションやスキンシップをとったりすることでセロトニンは分泌されます。

――軽い運動やスキンシップというのは具体的にどういうものでしょうか?

竹田;激しすぎる運動はかえってよくないので、朝日を浴びながら散歩するといった程度で大丈夫です。
あとは、貧乏ゆすりとかもセロトニンの分泌にはいいんです。貧乏ゆすりってイライラしているときにするイメージがありますよね。あれは、無意識にイライラを解消させるためにセロトニンを出そうとしているんです。なので、意識的に貧乏ゆすりをすることもセロトニンの分泌にはいいと思います。

近しい人と楽しい時間を過ごすことでセロトニンは分泌されますが、よく効果があると言われるスキンシップが「ハグ」です。
ちょっと恥ずかしいかもしれませんが、お子さんやパートナーならハグもしやすいかもしれません。幸せを感じられる相手ならいいので、ペットでもOKですし、大好きなヌイグルミでもいいと思います。
でも、やっぱり一番は日光を浴びるということですね。

――屋内で仕事をしている方ですと、日中から夕方も日光を浴びにくいと思います。この時間にもできるだけ日光は浴びたほうがよいものですか?

竹田:そうですね。可能であれば、仕事の合間に日光が浴びることができる場所に出るとか、昼休みに近くの公園を散歩するとか。都心のオフィス街などは、日中、窓から日光も差し込まないことも多いですしブラインドを下ろしていることもあると思うので、意識的に日光を浴びる時間をつくるのが理想的です。

(インタビュー後編に続く)

睡眠改善インストラクターが教える「眠りの魔法」

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この記事のライター

大村佑介

大村佑介

1979年生まれ。未年・牡羊座のライター。演劇脚本、映像シナリオを学んだ後、ビジネス書籍のライターとして活動。好きなジャンルは行動経済学、心理学、雑学。無類の猫好きだが、犬によく懐かれる。

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