だれかに話したくなる本の話

「知」と「情」が和解する 米澤穂信が語る「理想の小説」

『本と鍵の季節』の著者・米澤穂信さん

出版界の最重要人物にフォーカスする「ベストセラーズインタビュー」。
第105回の今回は、昨年12月に刊行された最新作『本と鍵の季節』(集英社刊)が絶好調の米澤穂信さんが登場してくれました。

『本と鍵の季節』は、利用者のほとんどない放課後の図書室で当番をつとめる高校2年生の二人、堀川と松倉が、図書室に持ち込まれる謎や身の回りで起きた事件の解明に挑む作品集。団結して推理を進めるわけではなく、かといって別行動でどちらが先に真相にたどり着くかを競うわけでもない。二人の微妙な距離感が高校生っぽくてクセになります。

今回はこの作品の成り立ちや、米澤さんが得意とするミステリ小説について、そしてご自身が影響を受けた本についてたっぷりと語っていただきました。その最終回をお届けします。
(インタビュー・記事/山田洋介)

本と鍵の季節

本と鍵の季節

堀川次郎は高校二年の図書委員。利用者のほとんどいない放課後の図書室で、同じく図書委員の松倉詩門と当番を務めている。背が高く顔もいい松倉は目立つ存在で、快活でよく笑う一方、ほどよく皮肉屋ないいやつだ。そんなある日、図書委員を引退した先輩女子が訪ねてきた。亡くなった祖父が遺した開かずの金庫、その鍵の番号を探り当ててほしいというのだが…。図書室に持ち込まれる謎に、男子高校生ふたりが挑む全六編。