だれかに話したくなる本の話

死ぬために故郷に帰る 鮭の川上りに秘められた生命のドラマ

死ぬために故郷に帰る 鮭の川上りに秘められた生命のドラマ

秋の味覚の主役といえば「いくら」である。
鮭がいくらのもととなる卵を産むために、かつて自分が生まれた川に戻り上流まで上る「鮭の遡上」はこの時期の風物詩になっている。

ここで鮭の立場になってみよう。様々な生物の死をドラマチックに解説する『生き物の死にざま』(稲垣栄洋著、草思社刊)によると、鮭にとって生まれた川への帰還は「死出の旅」。彼らは繁殖活動と同時に、死ぬために川に戻ってくるのだ。

生き物の死にざま

生き物の死にざま

すべては「命のバトン」をつなぐために──

子に身を捧げる、交尾で力尽きる、仲間の死に涙する……
限られた命を懸命に生きる姿が胸を打つエッセイ!

生きものたちは、晩年をどう生き、どのようにこの世を去るのだろう──
老体に鞭打って花の蜜を集めるミツバチ、
地面に仰向けになり空を見ることなく死んでいくセミ、
成虫としては1時間しか生きられないカゲロウ……
生きものたちの奮闘と哀切を描く珠玉の29話。生きものイラスト30点以上収載。