だれかに話したくなる本の話

さっくりと分かる『ライ麦畑でつかまえて』のストーリー

世界中で読まれている小説 **『The Catcher in the Rye』**(邦題:ライ麦畑でつかまえて)の作者であるアメリカの小説家、J.D.サリンジャー氏が27日、91歳で逝去しました。

1951年にアメリカで出版されたのを皮切りに、世界各国で翻訳版も発行され、これまでの累積発行部数はなんと6000万部を超えるという『The Catcher in the Rye』。日本でも『ライ麦畑でつかまえて』白水社から野崎孝氏によるものと村上春樹氏による2つの邦訳版が出ていて、未だに多くの人に読み継がれている不朽の名作となっています。

さて、この『ライ麦畑でつかまえて』のストーリー、しっかり把握していますか?
『○○でつかまえて』という言葉の語感から、爽やかな青春小説だったり、若い男女の恋愛物語をイメージしているかも知れません。そうしたら、ちょっと大間違い。暴力や飲酒、タバコの乱用、セックスへの言及など、発行当初は一部で発禁処分を受けていたこともあるそうです。

では、そんな『ライ麦畑でつかまえて』のストーリーをサクっと説明しましょう。

主人公のホールデン・コールフィールド君はペンシルヴァニアの高校に下宿しながら通う16歳の高校生。しかし、クリスマス直前、学業不振で退学処分になってしまいます。実はこれで退学になるのは3校目です。

寮を飛びしたホールデン君は、生まれ故郷のニューヨークに戻ります。しかしそこに彼の居場所はありません。何故なら、ホールデン君にとって社会や大人といった存在は全て欺瞞に満ちていて、それらを受け入れることはできないからです。

ホールデン君はかつての先生や昔のガールフレンドなどと会いますが、ケンカ別れをしてしまいます。娼婦を買ったりしますが、心は満たされません。そんなホールデン君にも大事な存在がいました。妹のフィービーです。ホールデン君は両親に見つからないよう自宅にこっそりと忍び込み妹のフィービーに会いに行きます。そして、街を出ていくことを告げます。

しかし、とても頭の回転がいいフィービーは「結局兄さんは何になりたの?」とホールデン君に問い詰めます。ホールデン君は「ライ麦のキャッチャーのようになりたい。崖に落ちていく子どもたちを救いたい」と言います。そしてニューヨークを出て行く日の朝、ホールデン君の前にフィービーがあらわれ「兄についていく」と言います。

ここでストーリーは終わります。

実は、この小説には「ストーリー」はあってないようなものなのかも知れません。

ホールデン君の気持ち、思想、心理、感情といったことがものすごい勢いで語られており、それらは全て一人称。10代の頃に感じた「大人は全てインチキだ」というような感情がどんどん溢れ出てくるかの如く表現されています。「若者のバイブル」と言われるのも頷けます。

邦訳版には前述のように野崎氏と村上氏の2つが出ていますが、野崎氏の翻訳は攻撃的で読者からの評価も非常に高く、一方、村上氏は若干賛否両論がありますが、文体が好きならばその世界に入り込んで読めます。

20世紀に生み出された不朽の名作、この機会に一度読み直してみてはいかがでしょう。

この記事のライター

金井氏の顔写真

金井元貴

1984年生。「新刊JP」の編集長です。カープが勝つと喜びます。
facebook:@kanaimotoki
twitter:@kanaimotoki
audiobook:「鼠わらし物語」(共作)

このライターの他の記事