だれかに話したくなる本の話

【連載コラム】月イチ・田中の本まみれ第4回〜小説の舞台で行ってみたい場所【架空編】〜

ろそろ卒業シーズン。学生の人は、旅行会社のパンフレットを広げて「卒業旅行どこに行こうか?」と計画を立てている頃だろう。また、「GWはどこに行こうか?」と思いをはせている気の早い大人の人もいるのではないか。

 というわけで、旅の季節を目前にした今月のテーマは、「小説の舞台で行ってみたい場所」だ。今月は「架空編」ということで、ファンタジーを中心に架空の世界を中心に小説を選び、ランク付けしてみた。ちなみに来月は「現実編」ということで、現実の舞台で行ってみたいところを選ぶので、楽しみにして欲しい。
 では、「小説の舞台で行ってみたい場所・架空編」の5冊、こちらから!

◆『ハリー・ポッターと賢者の石』J.K.ローリング
◆『ガリヴァー旅行記』スウィフト
◆『銀河鉄道の夜』宮沢賢治
◆『五分後の世界』村上龍
◆『地底旅行』ジュール・ヴェルヌ


▼ランク付け基準
 読んだ上で純粋に「行ってみたいな」と思った場所をそのままランク付けしている。「実際に旅行に行ったどうなるかな」「その物語の世界観が楽しめるのかな」と思ったところが上位に来ている結果となった。

 ではランキングスタート!!


5位 『五分後の世界』
村上龍・著/幻冬舎 [あらすじはこちらから]


場所
 この物語の舞台となっているアンダーグラウンドは、第二次大戦において、無条件降伏を拒否し建設された、人口26万人の「アンダーグラウンド」。そこは巡回バスやモノレールが走り、工場や商店の区域があり、住宅街もある立派な都市だ。
 レストランにはハンバーグやチキンライスなどもある。一方、かつて東京であった地域には世界最大のスラム街オールドトウキョウがある。様々な人種がいくつかの地区に分かれて暮らし、治安がとても悪い。

4位 『地底旅行』
ジュール・ヴェルヌ・著、窪田般弥・訳/東京創元社 [あらすじはこちらから]


場所
 まさにタイトルの名の通り、舞台は地底世界。
 死火山の噴火口から地球の中心部へ行くことができる。地球の中心部には、広大な海があり、光に照らされた大空洞となっていた。きのこの森や古代の植物、絶滅した魚、古代の大きな哺乳類が生き残っており、考古学者が喜びそうな世界である。

3位 『銀河鉄道の夜』
宮沢賢治・著/新潮社 [あらすじはこちらから]


場所
 いわずと知れた不朽の名作の舞台は「銀河」。銀河を走る列車に乗って旅行する。
 銀河ステーションというふしぎな声が聞こえたと思ったら気づくと列車に乗っている。着いた場所は、水晶細工のような銀杏の木に囲まれた小さな広場のある白鳥の停車場。そこから少し歩くと河原があり、そこの砂は水晶でできている。他にプリシオン海岸、蠍の火、ケンタウルの村など銀河に沿って北十字から始まり南十字で終わる異次元を旅する。

2位 『ハリー・ポッターと賢者の石』
J・K・ローリング・著/松岡佑子・訳/静山社 [あらすじはこちらから]


場所
 キングズ・クロス駅の「9と4分の3番線」からホグワーツ特急に乗って、魔法学校のあるホグワーツへ。魔法学校はホグワーズ城、新入生は大広間にて組分け帽子による組分け後、寮に入ることとなる。
 魔法で作られたホグワーズ城にはゴーストがいたり、絵画の絵が動いたり話したり、勝手に動く階段や各誌部屋などがある。魔法学校に敷地には、禁じられた森や湖、クィディッチ(球技)の競技場などがある。

1位 『ガリヴァー旅行記』
スウィフト・著、平井正穂・訳/岩波書店 [あらすじはこちらから]


場所
 ご存知、ガリヴァーの冒険旅行記。小人の国「リリパット国」、巨人の国「ブロブディンナグ国」、円形の空に浮く島で島の底部の巨大な天然磁石によって空を飛ぶことができる島「ラピュータ」、知的で高貴な馬の姿をしたフウイヌムと野蛮な種族であるヤフーが暮らす「フウイヌム国」などが登場。


▼総評
1位は『ガリヴァー旅行紀』。
 空飛ぶ島「ラピュータ」に住んでいる人たちは科学者だ。常に科学について黙考しているため、いつも上の空。なので、まともに道を歩いたり話したりするために、頭や目を適当に叩く「叩き役」を連れている。こんなどこかマヌケな光景を見てみたい。子どもの頃に憧れた冒険の地、ということもあり、この本を1位とした。

2位は『ハリー・ポッターと賢者の石』。
 魔法学校、お城、みんなで寮生活、クィディッチという競技の対抗戦など、場所だけではなく、魔法学校の生活そのものが楽しそう。『ハリー・ポッター』の世界に飛び込んで、ハリーやロン、ハーマイオイニーと友達になり魔法学校生活を満喫したくなった。

3位は『銀河鉄道の夜』。
 白鳥の停車場はとにかく幻想的で綺麗な世界が浮かんだ。停留所のそばにある河原の砂は水晶で出来ており、その中で小さな火が燃えている。宮沢賢治の風景描写の素晴らしさ、美しさの中に飛び込んでみたくなる。でも、やはり「楽しめる」という意味では空飛ぶ島や魔法学校の方が楽しそうなので3位にランクイン。

4位は『地底旅行』。
 飲み水がなくなったり、仲間とはぐれたり…とトラブル続き。命の危険もあるような場所であることが一番の減点ポイント。こういうのは本や映画で想像を膨らますのが良い。しかし、電気のような光に照らされた巨大な洞窟のような大空洞、地球の中に広がる広大な海、きのこの森、そして大むかしの巨大な哺乳動物が歩いているというのはロマンがある。ということで4位にした。

5位は『五分後の世界』。
 『地底旅行』よりも生命を落とす危険がある、ということで5位。気が付いたらケモノ道を歩かされ、雑居房のようなところに入れられた後、土砂堀りなどの作業をさせられたあげく、激しい戦闘に巻き込まれる。というストーリーからどこを探しても旅行として行き、楽しめる要素は見つからない。ただ、地下2200メートルの深さにある「アンダーグラウンド」はちょっとだけ行ってみたい気はした。

 ちなみに実は、実際に本に登場する場所に行けてしまう。
 『ハリー・ポッター』では、ホグワーズ魔法学校の外観はアニックにある「アニック城」、廊下はグロスターにある「グロスター大聖堂」、ホグワーツ特急の始発駅である9と4分の3番線はロンドンの「キング・クロス駅」など、イギリスの各所に映画「ハリー・ポッターと賢者の石」のロケ地があるので、その物語の世界を楽しむことができる。
 日本国内にも実際に行ける場所はある。東京ディズニーシーの「センター・オブ・ジ・アース」は、『地底旅行』を基にしたアトラクションだ。

 こうしてみてみると、命の危険があるかどうかということが今回のランキングに大きく反映している。旅行で行くのだからいっぱい楽しみたいじゃないか、ということで了解して欲しい。
 来月は「現実編」ということで、小説の舞台で現実にあるところを選定し、ランク付けする。乞うご期待!
(新刊JP編集部/田中規裕)


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