だれかに話したくなる本の話

人生100年時代。これからのキャリアをどう考えるべきか?

今、女性が仕事を持ち、キャリアアップをしていくことが当たり前となっている一方で、働き続けようとすると、さまざまなハードルにぶつかる現実がある。

「産休」「育休」、「時短労働」、「女性活躍推進」といったキーワードが並ぶ「働き方改革」だが、理想通りには進んでいない。そんな中で、働く女性たち自身はキャリアをどう考えればいいのだろうか?

今回は『働き方改革で 伸びる女性 つぶれる女性』(日本経済新聞出版刊)を上梓した、人材育成インストラクターの東谷由香さんにお話をうかがった。「働き方改革を利用すべし」というその理由とは?

(新刊JP編集部)

■「働き方改革」は厳しい法制度。人生の方向性を決める良いタイミング

――本書はタイトルの中に「働き方改革」という言葉が入っているように、「働き方改革を利用してキャリアを考える」というコンセプトがあります。その利用の仕方について教えてください。

東谷:「働き方改革」は非常に厳しい法制度だと考えています。ひと言でいうと、「短い時間で成果を上げられない人はいらない」ということです。ただ、そうすることで生産性も上がり、残業も減る、有給が取りやすくなる。
その意味では、女性は「働き方改革」にどんどん乗っていったほうが有利なんです。働きやすさを求めて法律の範囲内で自分たちのやりやすい環境を主張していくべきでしょう。

「働き方改革」が進めば、必然的に残業手当がなくなります。だから、今までそこに頼ってきた人は厳しくなります。そこで、副業解禁という流れをつくって、自分で稼ぎなさいという政府の方針が見えます。

ただ、単純にダブルワークで仕事を増やして、というと今まで以上に労働をすることになりかねません。だから、ダブルワークをするにしても、自分がどんな未来を見据えていて、どんな能力が必要なのかを決めてからすべきでしょうね。

――なるほど。人生を考えて戦略的に仕事を決めないと、ただ働く時間が増える。

東谷:そういうことです。もちろん、プライベートの時間を充実させてもいいんです。ただ、いつも遊んでいるわけにはいかないというのが現状です。休日もキャリアアップにつながるような何かを考えて行動したほうがいいでしょうね。

――そのために取るべき行動はどういうものがありますか?

東谷:例えば、リモートでの勉強会、フェイスブックのコミュニティなど、普段得られない情報が行き交うサイトを活用して、新たな情報を得てみてはいかがでしょう。

本当はビジネススクール的な場所に行くのが最も効果的だと思うのですが、全員行けるわけではないですから、まずは他社の人と接する機会を持つことですね。習い事でも、勉強会でも。前半で女性管理職の前例がないときの考え方をお話しましたが、そういうところで出会える可能性があります。

――「自分はほどほどに働ければいい」という考え方についてはいかがですか?

東谷:そういう方は「ほどほどに働く」という覚悟をしてもらいたいです。働くことには変わりないですし、成果も出さないといけない。その覚悟もせずに不満ばかり言うのはフェアではありません。リーダーにならなくてもいいのですが、足を引っ張る存在になることだけはやめてほしいです。

人生100年時代において、特に若い世代は将来70歳、さらには80歳まで働かなくてはいけなくなるかもしれません。その年齢まで必要とされる人材になることを見据えて働いてもらえればと。

■今いる会社の中だけで考えない。自分の能力をまずは磨く

――自分自身のキャリアアップを考える上で、何に重きを置いてキャリアデザインをすべきなのでしょうか。

東谷:「キャリアアップ」は昇進だけを意味するものではありません。むしろ、昇進は結果であり、本質的に大事なのは、いかに自分の能力の幅を広げていくかということです。
それは業務知識を身につけるというだけでなく、コミュニケーション能力であったり、人間関係を構築する能力もあります。自分の中にある強みをどんどん強化していくことが、キャリアアップにつながっていくんですね。

また、自分がどういう方向に進んでいいのか分からないというときは、やはり会社の外の人と関わったり、習い事でも朝活勉強会でも、新しいことをやってみるといいでしょう。新しい景色を見ることで、気づくことはたくさんあるはずです。

――なるほど。今の会社の中だけで考えないということですね。

東谷:そうです。今勤めている会社が今後ずっと存在するかなんて、誰にも分からないんです。そのとき、自分を助けるのは自分の能力ですから、まずは自分の能力を磨くことが大事です。

――本書をどんな人に読んでほしいですか?

東谷:30代、40代の進むべき方向が分からない女性の方、自信を失っている女性の方にぜひ読んでほしいです。ただ、この本を読んだ女性の方からは「男性にこそ読んでほしい」という声をいただくんです(笑)。その意味では、自分がこれからどうしていいか分からない、自信を無くしている方に読んでもらえればうれしいです。

――最後に、管理職を目指している女性の皆さんにエールをお願いします。

東谷:頑張っていればチャンスは必ず来ると思いますので、躊躇なく上に進んでほしいですね。本当にメリットばかりです。

また、ゴールは管理職だけではありません。もし、やりたいことがあるなら起業するという手段もあるでしょう。どんな働き方をしても、覚悟をもって取り組んでいけば、幸せな人生が待っていると思います。

(了)

働き方改革で 伸びる女性 つぶれる女性

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