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【著者インタビュー】「常識を取っ払ったところで人がもがき苦しむ姿を描いた」―真藤順丈さん『庵堂三兄弟の聖職』作者

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書いている真藤氏自身も「深い闇へ沈み込んでしまうような感覚があった」と語る。
書いている真藤氏自身も「深い闇へ沈み込んでしまうような感覚があった」と語る。
 『地図男』で第3回ダ・ヴィンチ文学賞を受賞してデビュー。その後、第15回日本ホラー小説大賞大賞、第3回ポプラ社小説大賞特別賞、第15回電撃小説大賞銀賞と、合わせて4つの文学新人賞を受賞するという、衝撃的な文壇デビューを果たした真藤順丈氏。

 第15回日本ホラー小説大賞(角川書店主催/以下、ホラー大賞)大賞受賞作である『庵堂三兄弟の聖職』では、遺体を加工して食器や家具、皮革製品などを作り出す「遺工」を代々の家業としてきた庵堂家3兄弟の苦悩や葛藤を描いており、新たなホラー小説の可能性を提示した作品として賞賛を集めている。

 今回、新刊JPニュース編集部はまったく新しい感性をもった作家と各方面から賞賛される真藤氏にインタビューを行い、その作品世界や創作のルーツに関して話を聞いた。また、ご厚意により、今回読者の皆さんから1名の方に真藤順丈氏のサイン入り書籍をプレゼント。インタビューの最後に宛先を掲載しているので、是非とも最後まで読んで欲しい。(サイン本プレゼントは締め切りました)


◇「大賞受賞が決まった瞬間は、声が腹から上がってくる感じだった」


―『庵堂三兄弟の聖職』は日本ホラー小説大賞の大賞受賞作ですが、受賞が決まった瞬間の印象や感想をお聞かせください。

真藤 最終選考に残っただけで充分、これからも作家を目指してがんばっていくための糧になるなと思っていたところでしたので、受賞の連絡をいただいたときには、声にならないうなり声が、腹の底から上がってくる感じでした。
電話を切ってから、しばらく現実味が湧かず、インターネットで見てみようとしたんです。検索する文字を入れるスペースに、「日本ホラー小説大賞」と入れようとしたら、その下に最新ニュースとしてすでに掲載されていて。これは嘘じゃないぞと、そこでようやく実感が湧きました(笑)

―今回、ホラー大賞を受賞された理由として、従来のホラー小説の枠組みを越えた作品であると評価されていますけども、それについてはどう思われていますか?

真藤 何作か投稿を続けてきましたが、『庵堂三兄弟の聖職』はこれまで書いてきた作品の中で最高点に達するものを書いたという実感はありました。しかし、ホラーというジャンルの中で評価していただけるものを書けたかというと、自分自身ではさっぱりわからなかったので、選考委員の先生方の懐の深さをすごく感じました。

―最初からホラーを書こうと思われたのですか?

真藤 着想の段階から、ホラー大賞に出そうと決めて書き始めました。しかし、結末がこういう方向になるということは、最初は想像していませんでした。
細かい描写にせよ物語の展開にせよ、陰惨だったり救いがなかったりという、ホラーの要素を極める方向で考えたこともありましたが、物語の登場人物たちと対話しながら書いていくうちに、このラストに落ち着きました。

―本書を書くなかで一番苦心した点というのはどんなところですか?

真藤 『庵堂三兄弟の聖職』というのは、遺体を解体してあらゆる製品を作り出す「遺工」という仕事を家業にしている家族の話です。遺工というのはその作業だけを取り上げると遺体損壊で、作業の凄惨さや意味を考えたときに、書いている僕自身も深い闇へ沈み込んでしまうような感覚がありました。その闇の中から、三兄弟を希望のあるベクトルに向かわせるところに、いちばん苦労しましたね。
狂気や倒錯に転がりこんでしまう人々も多く出てきますが、転がりこむ先が暗部だとしたら、「遺工師」という職業を通して一縷の光へ出る道筋をさぐったつもりです。日常と非日常、彼岸と此岸、光と闇の境界線でせめぎあうような気持ちで書きました。

次ページでは『庵堂三兄弟の聖職』の世界観について話をうかがっています!
[2008/12/26 配信]
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