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2016年03月06日 23時配信

『ダ・ヴィンチ・コード』訳者が明かす、翻訳の現場のアレコレ


『翻訳百景』(KADOKAWA刊)
『翻訳百景』(KADOKAWA刊)
海外小説を読みたいとき、英語ができない人にとっては、日本語に翻訳された本を読むことになる。そのとき、どんな日本語の文章になっているのか。読みやすさや原書のニュアンスなど、翻訳者の力量にかかっている部分は大きいだろう。それは、その本がおもしろいかつまらないかということにつながってくる。

では、そんな翻訳者の仕事とはどんなものなのか。

『翻訳百景』(越前敏弥著、KADOKAWA刊)では、『ダ・ヴィンチ・コード』(ダン・ブラウン著)の訳者である越前敏弥氏が、ベストセラー秘話、翻訳の勉強法、訳出の心得など、翻訳の仕事の現場を紹介する。

■翻訳者に向いている人、3つの条件

どんな人が翻訳、特に文芸翻訳の仕事に向いているのか。それは「日本語が好き」「調べ物が好き」「本が好き」という3つの条件を満たしていることだという。

一方、「英語が好き」というのは必要条件ではないそうだ。もちろん「英語が正確に読める」ことは必要だが、「なんとなく英語と接しているのが好き」な人にとっては、翻訳よりも向いている仕事はいくらでもあるのだという。

■翻訳者は何を考えて翻訳をしているのか?

また、越前氏が小説の翻訳の仕事をしていて、いつも気にかけているのは、原文の「歯応え」をどれだけ残すべきかということ。読者に対して、どこまでわかりやく噛み砕いたらよいのかを常に考えているという。

わかりやすい訳文を心がけながらも、原文が硬質のものは同じくらい硬質の日本語に、柔らかいものは同じくらい柔らかい日本語にするのが大原則。とはいっても、未知のものや歯応えのあるものをみずから受け入れ、咀嚼し、そのこと自体を楽しむ姿勢が読者の側にない限り、そもそも翻訳文化自体が成り立たないと越前氏は言う。

作品の読者のことを考えつつ、歯ごたえとわかりやすさのあいだで加減を調整し、落としどころを探っていく。わかりやすさは売れるための重要なことであるため、骨抜きの文章にならないようにぎりぎりまで抵抗するのが翻訳者の本分ではないかというのが越前氏の考えだ。

■すぐれた編集者が成長を促す

また、翻訳者が成長するには、すぐれた編集者と仕事をすることだと越前氏。デビュー作で仕事をした編集者のエピソードを振り返りながら、翻訳者としての原点に潜ってゆく。

翻訳にはどんな能力が必要で、どのようなことに気を配り、どんな何が考え方で翻訳作業をしているのか。地道で丁寧な仕事のうえに、読者は海外の作品を楽しめることを忘れてはいけないだろう。翻訳者の仕事の現場を読むことができる1冊だ。
(新刊JP編集部)

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