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新しい世界を作り続ける「社会起業家」が考えていることとは?―山口絵理子著『裸でも生きる2』

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世界を股にかけて活躍する山口さんの姿は感動を呼ぶだろう
世界を股にかけて活躍する山口さんの姿は感動を呼ぶだろう
◆「社会的企業」「社会起業家」とは?

 「社会の様々な問題を解決したい!」と理念を持ち、自らNPOのような非営利のモデルを用いて社会的な活動を立ち上げる若者は多いが、そのモデルでは現実的に立ち行かなくなっているのは事実だ。

 その問題の1つに、事業の持続性がある。
 何らかの社会的な事業を進めていくためには資金が必要なわけだが、「非営利」という言葉がくっつく以上、「儲けることはタブー」であると解釈されることが多い(実はこの解釈は間違いである。厳密に言えば、非営利とは「儲けてはならない」という意味ではなく、「利益の分配をしない」ということである。そのため、非営利組織でも、職員は労働に対して給料をもらえることができる)。

 私はかつて、環境や労働問題、まちづくり、子育支援などに携わるNPOやNGO団体へのインタビューを行ったことがあるが、やはり「社会的、慈善的な事業は非営利で賄う」と考える風潮が存在し、経営という面において大変であると嘆く人は多かった。

 もちろん活動の理念は素晴らしいものばかりだ。しかし、その「素晴らしいこと」を達成するために必要なのは、それこそ事業の継続であって、いくら素晴らしいことをしていても、サービスの提供ができなくなれば、提供者だけではなく受給者でさえも不幸な結果に終わってしまいかねない。

 こうした課題を克服するために、近年注目を集めているのが「社会的企業」という組織概念だ。

 英語では“Social Enterprise”“Social Entrepreneurship”と呼ばれるが、端的に述べると、社会的な問題・課題の解決を目的とした上で収益事業に取り組む組織のことで、これまでの営利企業や非営利組織とは全く異なる、「収益を上げながら、社会的課題に取り組む」というビジネスモデルを構築しているのが特徴だ。
 また、こうした事業を創設した人のことを一般的に「社会起業家」(Social Entrepreneur)と呼ぶ。

 10月1日に講談社から、自身の半生をつづった『裸でも生きる』(講談社)の続編となる新刊『裸でも生きる2』(講談社)を出版した山口絵理子さんは、日本を代表する気鋭の社会起業家として紹介される一人である。


◆「社会起業家」と言われるのは嬉しくない

 山口さんが代表取締役社長を勤める「マザーハウス」は、発展途上国におけるアパレル製品及び雑貨の企画・生産・品質指導から、先進国での販売までを手がけており、現在はアジア最貧国の1つであるバングラデシュやネパールの現地素材を用いて、バッグのブランドを立ち上げ、日本全国の店舗でそれを販売している。

 山口さん自身がデザインを行うバッグは、デザイン性や機能性に優れ、男女、年齢層関係なく幅広い人から支持を得ているが、実はもう1つ隠れた人気の要素がある。

 それは、そのバッグに込められた「ストーリー」だ。
 マザーハウスが「発展途上国のイメージを変えたい!」という山口さんの理念のもとに始まり、小さいながらも一歩一歩進み、徐々に変革を起こしてきた。そうして製造されてきた1つ1つのバッグにその「ストーリー」が背景として設置されている。

 『裸でも生きる2』は、この3年間の「マザーハウス」のストーリーが山口さんの視点から克明に描かれている。前著『裸でも生きる』は山口さんの生い立ちから創業のストーリーがつづられたものだったが、今作は山口さんだけではなく会社としての成長がメインとなっており、社会起業家を目指す人だけでなく、ビジネスに携わる人の多くは共感できるだろう。

 一つ勘違いしないで欲しいことは、最初にも言ったように「社会的企業」は非営利活動や慈善活動ではなく、ちゃんとした営利活動を行う事業体であるということだ。

 山口さん自身、「自分が社会起業家だと言われることはあまり嬉しくない」と述べる。それは彼女が経営者だからであり、マザーハウスは慈善ではなくて「ビジネス」としてやっているという自負があるからだ。
 一見、とてもガムシャラなように見えるが、その裏にはしっかりとした論理的思考が存在しており、経営者として「目的を達成するために何をすべきか」を考えた結果の行動を取っている。

 山口さんは本編集部のインタビューに対し、「好きなことをやるって、実は全然楽ではないことじゃないですか。だから、経営者としての自分と、やりたいことをしている自分のバランスが崩れないようにするのが大変です」と語り、そして、理念ばかりが先走るのではなく、その裏にある論理をしっかり固めることが重要だと話す。(インタビューは10月30日配信予定の本書の特集ページにて全文掲載予定です)

 “新しい世界”を作り続けている人の考え方が、本書には詰まっている。是非触れてみてはいかがだろうか。
(新刊JP編集部/金井元貴)

『裸でも生きる2 Keep Walking 私は歩き続ける』
著者:山口絵理子
出版社:講談社
定価(税込み):1400円
発売中


【関連リンク】
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新刊ラジオ − 『裸でも生きる2 Keep Walking私は歩き続ける』(第955回)
Kinocast 10月25日号(『裸でも生きる』を紹介しています)
新刊JP社会起業家特集
[2009/10/26 配信]

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