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【ツキイチ“田中の本まみれ”】第1回・話題の映画、原作本を読みまくってランク付けしてみた

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 5位 『ゼロの焦点』松本清張/著(新潮社)
 あらすじ:昭和33年11月。貞子は鵜原憲一と見合い結婚するも、新婚1週間で鵜原は前任地での仕事の引継ぎに行ったまま失踪してしまう。貞子は鵜原憲一の行方を求め北陸へ向かう。そして行方を追う内に鵜原の隠された生活が明かされていくのだが…。

 感想:今年、生誕100年を迎えた松本清張。これは約50年に書かれた作品だが、2009年の今読んでも変な違和感はなく読める。最近流行している伊坂幸太郎や東野圭吾らとは違った堅い感じの文章で、物語の舞台が北陸の金沢や能登半島という日本海側の暗いイメージで統一されている。物語の背景には、戦後日本が占領下にあった時代に、米兵相手に売春をしていた女性の存在など社会情勢を盛り込んでおり、深い作品であった。


 4位 『笑う警官』佐々木譲/著(角川春樹事務所)
 あらすじ:札幌市内のアパートで、北海道警察本部生活安全部の水村朝美巡査の変死体が発見された。容疑者は、水村の交際相手で、同じ本部に所属する津久井巡査部長。かつて津久井とおとり捜査で組んだことのある佐伯警部補は、津久井の潔白を証明するために有志たちと極秘に捜査を始めるのだが…。

 感想:津久井の無実を証明するために、佐伯が有志たちをバーに集めてチームを組み、バーの2階の空き部屋を作戦本部にするシーンは非常にかっこよく、映像化してどうなるか見てみたくなった。黒い部分のある大きな組織に、精鋭少数の有志たちが立ち向かうというありがちな話だが、「タイムリミットが24時間」という設定もあり、展開が速く、読んでいくと思わず時間を忘れてしまう。


 3位 『誘拐ラプソディー』荻原浩/著(双葉社)
 あらすじ:金も家も女もない、あるのは借金と前科だけのダメ人間・伊達秀吉が主人公。金持ちの息子、伝助を誘拐するも伝助はヤクザの親分の息子だった。ヤクザ、警察、チャイニーズマフィアにまで追われる羽目になる秀吉だが、そんな中、伝助と友情が芽生えてしまう。ユーモアたっぷりの誘拐物語。

 感想:冒頭の秀吉が自殺をためらうシーンなど、ところどころでコネタを絡め、ちょっと笑いを取ろうとするのだが、残念ながらそのコネタそのものが面白くなく、くどさを感じてしまった。ちょっとした笑いを取るユーモアなら浅田次郎の方が上だろう。しかし、物語の展開は一品。伝助誘拐、ヤクザに追われ…と、展開が速く、飽きずに一気に読めてしまう。そして読後感も非常に良く、物語として上手くまとまっていて面白い。


 2位 『月のしずく』浅田次郎/著(文藝春秋)
 あらすじ:やくざに匿われることになった殺し屋の政兄ィ、その世話役の学生アルバイトの和也、キャバレー勤めの菊枝の3人の不思議な三角関係を描いた「銀色の雨」ほか、表題作「月のしずく」など全七篇からなる短編集。

 感想:全体的に「センチメンタル」「哀愁」といった言葉が当てはまる、涙をそそる作品。「銀色の雨」の政兄ィは余計なことはベラベラしゃべらず、肝が据わっていてカッコいい。男性読者なら憧れてしまうのでは。「殺し屋」という職業は異端だが、どの短編も等身大でフツウの人が主人公であり、人間味がある登場人物たちに感情移入してしまいそうだ。「きんぴか」などユーモア溢れた面白い作品も多い浅田次郎だが、本作ではまた違った浅田次郎の世界観がよく出ている。


 1位 『ゴールデンスランバー』伊坂幸太郎/著(新潮社)
 あらすじ:仙台で凱旋パレードをしていた金田首相がリモコンヘリをつかった爆弾テロで暗殺されたその時、配達ドライバーの青柳雅春は、旧友の森田森吾に呼び出されていた。そしてなぜか青柳は首相暗殺の犯人に仕立てられてしまう。覚えのない証言や証拠が積み重ねられ追い詰められていく青柳は、警察が犯人包囲網を展開する中、逃走を続けていくが…? この「ゴールデンスランバー」というタイトルはビートルズの楽曲から引用されている。

 感想:2008年本屋大賞にも輝いている本作だが、「面白かった」の一言に尽きる。個人的にこれまで読んできた小説の中でも上位にくる。話の概要自体はどこかにありそうな展開だが、綿密に散りばめられた伏線、作品の構成がとにかく素晴らしい。登場人物のキャラクターも魅力的であり、言葉の言い回しなど伊坂幸太郎の世界観が出ている。構成力の質の高さや独自の世界観の強い伊坂幸太郎作品の中でも、傑作といえる。
[2009/11/20 配信]

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更新:2010/03/13
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