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2010年01月21日 21時配信

“電子書籍の普及”カギはどこに ポット出版が書籍と新刊同時に電子化を発表


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 電子書籍出版業界が活気付いている。
 昨年10月に起きた「コルシカ問題」(詳細はこちら)や大手オンライン通販サイト「Amazon.com」による電子書籍専用端末「Amazon Kindle」の発表など、出版業界における「紙から電子へ」の動きが随所で見られるようになってきた。

 そんな最中の今年1月12日、ポット出版が1月15日以降出版する全ての新刊本を、書籍と電子書籍同時に発売することを発表した。これに対しネットユーザーからは「素晴らしい試み」「やっと出てきた」など、賞賛の声が上がっている。

 しかし、出版業界の電子書籍出版に対する風当たりはまだまだ強いといえる。電子書籍として出版されるには、著者から出版社(版元)、コンテンツを電子化する会社、そして取次を経て販売サイトに卸され、ユーザーの手に渡るという過程がある。
 現在の業界構造上、出版社は紙媒体での「出版権」しか有しておらず、デジタル化の許諾権は著者にある。そのため、電子書籍に限っては著者と販売サイトが直につながり、コンテンツを著者からそのまま販売サイトに卸すことが可能なのだ。

 こうした状況で「Amazon Kindle」が普及すると、出版社を介さず直接「Amazon Kindle」にコンテンツを提供する著者が増えることになる。それは流通コストや取次などのマージンがなく、書籍が売れたときのリターンが大きいからに他ならない。
 1月13日に大手出版社21社からなる「日本電子書籍出版社協会」(仮称)が2月に発足されることが報道されたが、こうした動きも「Amazon Kindle」の日本上陸に対する出版社側のけん制の意味もあるだろう。

 今回のポット出版の発表は、「新刊本は電子書籍と紙の書籍を同時に出版する」というものであり、出版社のビジネスモデルとは全く異なることを試そうとしているということだ。

 新刊JP編集部がポット出版に取材を行ったところ、電子書籍での出版を考え始めたのは2000年の頃であるとし、「虎視眈々と狙っていた」と話す。
 しかし、市場規模もあまり大きいとはいえない電子書籍出版市場。その中で採算は取れる見込みはあるのかという質問に対しは、「見通しは立っていない」と断言。続けて「でも、いずれ紙から電子には移行することは間違いない。その中で私たちは試行錯誤をしていきたいと思っている」と言う。

 また、「Amazon Kindle」や日本書籍電子出版協会について言及すると、「もちろん動きは耳に入っているが、今の自分たちの優先順位として最も高いのは電子書籍を出すこと。私たちは出来る範囲で彼らとはお付き合いしていきますが、今はそれが一番優先かと言われると、そうではないですね」と話す。

 大きな出版社ではなかなかできにくいビジネスモデルの大転換に挑戦するポット出版。ポット出版は自社の強みを「小さな出版社なので、既得権益から比較的縁が遠いところにいること」であると分析する。
 同時多発的に起こる草の根の小さな運動が、やがて大きなムーブメントになるのはどの社会でも共通すること。「紙から電子へ」という出版業界の大転換もその例に漏れず、こうした動きが、今後起こる大きなムーブメントの土台を築いているのだろうか。

 尚、ポット出版が1月15日に電子書籍で出版したタイトルは2種類。「本の現場」と「デジタルコンテンツをめぐる現状報告」で、いずれも2009年7月に発行したもの。
 電子書籍のフォーマットは「.book」(ドットブック)形式で、電子書籍販売サイト「理想書店」で購入することができる。「.book」形式を閲覧するには専用のビューアーソフト「T-Time」(ボイジャー)が必要だが、「書き出し」機能を使えばiPhoneや携帯端末での利用も可能だ。
(新刊JP編集部/金井元貴)


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