BOOK REVIEWこの本の書評

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2016年は様々な意味で世界の転換を示す出来事が起きていた。
その代表的な2つの出来事が、イギリスのEU離脱とアメリカの大統領選挙でドナルド・トランプが勝利したことだ。いずれのケースも“内向き”つまり、グローバル化とは逆の国民国家への回帰を国民が選んだという色が強く、「資本主義から新たな時代への転換点である」という論調もある。

そして2017年1月20日に大統領に就任したトランプは、自分が立てた公約を次々と遂行していく。そのキーワードは「強いアメリカを取り戻す」、つまり「アメリカ・ファースト」という自国第一主義への転換である。

その2つの国の国民の選択と直接関係するわけではないだろうが、長く続いてきた世界的な超低金利時代も終わりを告げようとしている。金利は資本主義経済において最も重要な変動要因。これまでと同じ感覚でいれば、組織も国家も、そして個人にも大きな影響が加わるだろう。

そんな2017年後半以降について経済アナリストの塚澤健二氏は、新著『未来からの警告 II トランプの破壊経済がはじまる』の中で、今後表面化する既存の仕組みの破壊を「破壊経済」と呼び、「これまでの常識や固定観念を捨てなければ対応することは不可能」だと述べる。

■ トランプの大統領選勝利を“予言”していた塚澤氏

塚澤氏は「T-Model」という自ら作り上げた分析ツールを使い、さまざまな指標を組み合わせながら経済がどのように動いていくかを予測する。

昨年のこの時期に新刊JPは塚澤氏にインタビューを試みているが、塚澤氏はまだ雲行きが不透明だったアメリカ大統領選について次のように話をしている。

「もし、ドナルド・トランプがアメリカの大統領になったら、世界はガラっと変わるでしょうね。逆に民主党のヒラリー・クリントンが大統領になれば、現状維持です。方向性は基本的に変わりません。
第1回でも述べたように、リオデジャネイロオリンピック後にマーケットが大きく動くかもしれません。「壊し屋」たるトランプは、そういった社会的な変革期にピッタリの人物です。

その背景には、人々が「偽装経済」に対して苛立ちを覚えているということがあります。昨年、フォルクスワーゲンの排ガス規制の偽装が問題になりましたが、そのような「偽装」がどんどん出てくる。「偽装」まみれだということが人々が分かっていて、トランプが大統領になるとそれを暴露してくれると思っているわけです。

それをできるのは、彼が政治家ではないからでしょう。政治の外にいる人、つまりはアウトサイダーです。アメリカ国民は政治家に任せても期待できないと思っているから、アウトサイダーたるトランプに期待するわけです。」

この塚澤氏の言葉通り、実際にトランプは国民から望まれて大統領に選ばれた。それも、「強いアメリカを取り戻してくれる」という期待を背負っての就任である。

■ トランプ大統領就任によって顕在化した「バブル」とは?

そんなトランプの大統領の勝利を機に、「長期金利」が跳ね上がった。「長期金利」は1年以上の貸し付けに対する金利で、10年物国債の利回りが指標となり、住宅ローンや企業に対する事業融資などの金利の目安になっている。

また、もう一つ跳ね上がっているものがある。株価だ。これはトランプ大統領が選挙戦で打ち出した大規模な現在やインフラ投資に対する期待がその理由だと言われている。

ここで塚澤氏は一つの疑問を呈する。通常金利が上昇すると、リスク資産である株式から資金が流出し、株価は下がるはず。そして金利情報は好景気末期に表れる現象で、これから景気がよくなろうとしている局面では表れない。

「金利の上昇と株価の上昇の同時進行」は本来なら起こるはずがない現象だ。
そして、市場関係者の多くは「債券から株式への資金流入という『グレートローテーション』だ」と説明をするが、この説明について塚澤氏は「それは単にバブルであり、不自然なお金が大量に米国マーケットに入っていただけのこと」と一刀両断する。
その上で、今回は「中国からのキャピタルフライトで支えられたバブル」だと指摘するのだ。

■ 世界経済はどこへ向かおうとしているのか…?

『未来からの警告 II トランプの破壊経済がはじまる』はアメリカ経済の予測からはじまり、日本を経てアジアやヨーロッパ、そして中東についても触れられている。

今後は「激動」と呼ぶに相応しい時代が広がりそうだ。その中で、個人投資家たちはどうすべきかを、塚澤氏は最後の章で指南している、これまでの常識やルールはもう無意味なものになるのかもしれない。その枠組みの外側で思考できる投資家になるための手引きとなる一冊が本書である。

(新刊JP編集部)

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未来からの警告 Ⅱ
トランプの破壊経済がはじまる

定価 :

1,500円+税

著者 :

塚澤 健二

出版社:

集英社

ISBN :

4087860833

ISBN :

978-4087860832
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BOOK DATA書籍情報

プロフィール

塚澤 健二

1960年生まれ。理系出身経済アナリスト。(社)日本証券アナリスト協会検定会員。北海道大学工学部卒業後、理系出身アナリスト第1号として、日興リサーチセンター、ジャーデンフレミング証券、JPモルガン証券で、23年間にわたりトップクラスのファンダメンタルアナリストとして活躍。07年10月に独立。現在、真実を伝える経済・投資をテーマにした塚澤.comを主宰

目次

  1. 第1章 トランプの破壊経済で世界はどうなる?
  2. 第2章 トランプ相場の行方とビットコインの台頭
  3. 第3章 2017年、日本の株式市場はどうなる?
  4. 第4章 政府と日銀の政策が景気を下支えする
  5. 第5章 2017年は転換の年、2018年に向けて大変動が起こる!
  6. 第6章 これからの個人投資はどうすべきか
  7. 終 章 T2モデルによる市場・株価・商品分析

関連書籍

リンク:過去の特集「未来からの警告! 2017年 超恐慌時代の幕が開く」ページ

INTERVIEWインタビュー

◆ 経済アナリストの予測する「第2のリーマン・ショック」の可能性

2016年は世界に衝撃を走らせる出来事がいくつも起きた。その一つがアメリカ大統領選挙で共和党候補だったドナルド・トランプが勝利したことだろう。半年前までは「冗談候補」とまで言われていた男が選ばれたのだ。

そして年が明けた2017年1月に大統領に就任すると、選挙時の公約を次々に実行。6月1日には地球温暖化防止の国際的な協定「パリ協定」からの離脱を表明し、世界を騒がせたばかりだ。

その一方でアメリカの経済は変わらず好調を維持。6月中はNYダウが過去最高値を更新するニュースが飛び交っており、好調さがうかがえる。

しかし、『未来からの警告 2 トランプの破壊経済がはじまる』(集英社刊)の著者で、独自の「Tモデル」「T2モデル」を用いて経済を予測する経済アナリストの塚澤健二氏は、「これは『破壊経済』のはじまり」だと警鐘を鳴らす。

 ◇    ◇    ◇

著者写真

まず、現在のアメリカの経済について、好印象を持っている人も多いかと思います。しかし、実際のところは「膠着状態」と言っていいでしょう。

良いニュースとして市場関係者は雇用統計の改善を挙げています。でも、これから先を考えてみると懐疑的にならざるを得ません。何故かというと、雇用統計というのは好景気において最後に上向く「遅れた指標」だからです。つまり、他の景気を示す指標がすでにピークアウトを始めている可能性があり、もうすぐ好景気に陰りが見える時期に入ることも考えられます。

では、なぜ今、株価が過去最高値を更新し続けているのしょうか。インフラ投資などの財政拡大と大規模減税策が評価されたという説もありますが、まだ減税の実行には至ってはいません。

結論から言うと、この株価上昇はバブルだと私は考えています。それも、仮想通貨「ビットコイン」を通して中国からアメリカにお金が流れたことによるバブルです。それがドル買いにつながり、結果的に今の株価を演出しているというカラクリです。

実は、2015年と2016年の2年間で中国から海外に流出した資金は約56兆円にのぼるデータがあります。さらに、これ以外にも現金の海外持ち出しや地下銀行を通しての違法送金などを含めれば、100兆円が流出していると予想できます。中国政府は元安を抑えるために為替介入をしました。それでもお金が海外に流れていったわけですね。

その中で特に2016年に急増したのが、ビットコインを介して元をドルに替える動きでした。
そして今後、ビットコインを経済危機の際の「逃げ道」として利用する方法は増えると思います。データなので簡単に海外に資産を移すこともできる。もし、第2のリーマン・ショックのような出来事が起きたら、ビットコインは瞬く間に世界中で使われるようになるはずです。

ビットコインの台頭については拙著『未来からの警告 2 トランプの破壊経済がはじまる』でも詳しく書いているので、ぜひ参考にしてください。

さて筋を戻しましょう。アメリカの株価上昇は、ビットコインを通したチャイナマネーの流入によるバブルではないかという話をしましたが、この株価は今年の後半に大暴落する可能性があります。

重要なのが、今年がアメリカの政権交代の年であるということ。今回は民主党から共和党への政権交代でしたが、第二次大戦後のアメリカの歴史を見ていくと、民主党から共和党への交代を起きた1年目に、ほぼ100%株価が暴落しています。

図表13

このケースの場合、夏頃に株価はピークを付けて、9月から12月頃にボトムを付けるという流れがあります。逆に共和党から民主党に政権交代が行われたときは、ジミー・カーター政権以外、株価が大幅に上がっています。

そして実際に今、NYダウが高値を記録し続けていますが、これは単純に暴落のための発射台が高くなっているだけと見ていいでしょう。

こんなデータがあります。恐怖指数と言われるVIX指数が10割れを記録しているのですが、これは投資家たちが安心しきっている心理状態を指します。逆にVIX指数が40を超えると危機を迎えている状態ですね。
実は1993年から94年、そして2006年から07年にかけて過去2回、10割れを起こしているのですが、どちらもそこから40超えを記録し、それから3~5年はリスクの状態が続いているんです。現況において、投資家たちは先行きに対する楽天的な見通しを示していますが、実は今こそリスクに対して気を配らないといけない段階なのです。

2017年後半のキーワードは「破壊経済」です。トランプは既得権益を壊すことを期待されて大統領に選ばれました。そのことによって何が世界にもたらされるかはまだ分かりません。しかし、様々な指標を見ていても、2017年後半から来年にかけて「第2のリーマン・ショック」ともいえる大きな転換が起きることは容易に想像できます。

◆ 日経平均の株価は「二重構造」? 日本経済の今後を正しく読み取るには

前半で、今のアメリカの株価上昇はビットコインを介したチャイナマネーの流入によるバブルであることを指摘しました。ただ、この景気については、私は長く続かないように思っています。2017年に「第2のリーマンショック」が起こる可能性があるからです。

もちろんそうなれば、日本への影響は避けられないでしょう。
6月21日の日本経済新聞電子版に「昨年度株主分布、外国人投資家 3割に再上昇」という記事が出ていましたが、つまり日本の投資家の3割は外国人だということです。これが先物取引になると投資家の7割が外国人になります。また、日本人の個人投資家の比率はかなり落ちてきているのも気になります。当然アメリカのマーケットの動きの影響が強まりますからね。

私の見立てによれば、日本経済の現状は「膠着状態」というアメリカに似た状態です。6月後半に株価が上がりましたが、これは安倍政権の支持率急落と関係がありそうです。

実は2015年に同じ事が起きています。9月に安全保障関連法案が成立し、その後、安倍内閣の支持率が一旦落ちましたが、10月には株価が急上昇し、支持率の低下も止まりました。

この背景にあったのが、11月の日本郵政とゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の同時上場です。政府は高く株を売り出したいということで、海外の証券会社を使って株価を上げる戦略を取りました。この戦法が結果的に支持率の急落を止めるという副産物を生みだしたのです。

そして今年は「共謀罪」法案ですよね。だから、安倍政権は株価を上げて、支持率の低下を抑えようと考えているのではないかと思います。それに重なるのが日本郵政株式の2次放出です。

では、2017年後半の日本の株式市場はどうなるのでしょうか。

まず理解していただきたいことがあります。それは、日本の株式市場は「二重構造」で動いているということです。日本の株式市場の株式価格は、まず最初に外国人投機筋の先物取引を中心とした投資が決めているベースの価格があり、その上に日本銀行やGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のお金が投入されて上昇した分を上乗せされた価格になっています。

そのため、予測をするときは二重構造であるという前提で、それぞれを分析しないと正確に計算することはできません。

その上で、注目すべきは、ゆうちょ銀行とかんぽ生命です。これは、二重構造の上乗せ部分の株式の買い取りにおいて、GPIFや日銀がすでに買い得る限度額近くまで買っており、これ以上の日本株を上げるインパクトを持てず、今後はゆうちょ銀行やかんぽ生命に上乗せ分を託すことが、十分に予測できるからです。

もう一つ、今後の日本経済を予測する上で注目すべきなのが大相撲です。

図表42

稀勢の里が横綱に昇進し、4横綱時代になりました。
実は4横綱が揃ったタイミングを調べると、「時代の転換点」と重なります。千代の富士が圧倒的な強さを誇っていた頃は、ちょうどバブル景気でしたし、直前の4横綱時代は若貴兄弟に曙、武蔵丸が揃った1999年から2000年にかけてですが、このときに起きていたのが日米合作相場でした。

そこから朝青龍や白鵬が出てきて今に至るまでモンゴル人力士が横綱にいます。それと同時に中国の経済成長が著しく伸びたのは偶然ではないでしょう。神事である大相撲と相場の相関は見逃せないと私は思っています。

今回の4横綱ですが、その鍵は最初に誰が抜けるかでしょう。もし、白鵬が抜けるならば、中国株にはかなり気を付けるべきです。ただ、いずれにしても「時代の転換」がこれから起きようとしていることは間違いありません。

来年2018年は明治維新から150年、そして平成30年となります。つまり、節目の年です。これも一つの時代の転換点を暗示していると思いますね。そして世界ではドナルド・トランプ米大統領の「破壊経済」が影響を及ぼす。いよいよ「何が起こるか分からない」時代に入ってきたように思います。

◆ 「7」のつく年は転換の年? 「金融危機」にまつわる不気味なジンクスとは

「2017年」という年を大きな軸についてお話をしましょう。
今年はフランスとドイツで大きな選挙が行われています。そのため、アメリカや日本だけではなく、ヨーロッパにも注目すべきです。

5月に行われたフランスの大統領選挙では、エマニュエル・マクロンがマリアーヌ・ルペンを制しました。経済界からの後押しがあったこともあり、メディアや富裕層からは概ね好評価を受けていますが、私は疑問です。

マクロンが率いる「共和国前進!」は新党です。6月のフランス国民議会選挙ではその新党が圧勝しましたが、新党の候補者の過半数は「政治経験がない人たち」だと言われています。つまり、議会から、これまでフランスの政治を担っていた人たちがいなくなってしまったというわけですね。政治経験がない人たちの政権が生まれたと考えれば、フランスは極めて不安定な状態だと思いませんか?

そして、今年後半にはドイツで連邦議会選挙が行われますが、こちらも注目です。アンゲラ・メルケル首相もどうなるか…様子を見てみないと分かりません。

他にもヨーロッパには課題が山積みです。右傾化については、スコットランドやカタルーニャ自治州の独立運動もどう転ぶか分かりません。イギリスのEU離脱に始まり、トランプの米大統領就任によって顕在化した、市民たちの「破壊」への渇望は続いています。

実は2017年が大きな転換の年になることは予測ができていました。それは世界各国の政局が動いているという事実とともに、もう一つ大きな「法則」があるからです。

これは、前著『未来からの警告! 2017超恐慌時代の幕が開く』でも書いたのですが、過去、西暦末尾に「7」のつく年は世界的な金融危機が発生しています。それも10年ごとに、です。

1987年はブラックマンデー。1997年はアジア通貨危機。2007年はサブプライムショックです。それらはいずれも、アメリカが政策金利を引き上げるなど金融引き締め策に転換したことが原因でした。
今年はどうでしょうか。FRBは2015年12月のFOMC((連邦公開市場委員会)で9年半ぶりに金利を引き上げました。つまり、これまでの展開と同じ事が起きています。この金利引き上げが、大規模な金融危機に結びつくとすれば、おそらく2018年に明確な姿を現すでしょう。

では、具体的にどの数字を見れば、金融危機を察知できるのでしょうか。
私が指摘するのは「株安」「商品安」「ドル高」の組み合わせです。この3つが同時に出てきたら「最悪の状態」と考えてよいでしょう。

同時にこの3つが出ている状態というのは、「信用収縮の合図」です。
「株安」「商品安」はマーケットが収縮している状態を表しています。つまり、市場から資金が一斉に逃げ出している状態なんですね。そこで様々な取引を手仕舞うために、決済資金が必要になり、米ドルの需要が高まる。すると「ドル高」になります。もちろん、金もドル調達ために売却され、下落します。
こうなると、「第二のリーマン・ショック」待ったなしでしょう。

再びリーマン・ショック規模の金融ショックが訪れると、向こう7~8年は株価が元に戻らなくなります。ちょうど今は天井をつけにいっている最中で、「株安」「商品安」「ドル高」の3点セットが揃うまでには、もう少し猶予がありそうです。

◆ 「上昇トレンドありき」の投資は時代遅れ!? 「不透明」な時代の投資方法とは

まず、個人投資家の方々を見ていて思うことは、とても古い固定観念を持っている方が多いということです。

それはどういうことかというと、株価の上昇局面にある個別銘柄にばかり投資をしている方が多いんですよね。むしろ、上がらなければ投資できないと思っている。
しかし、2010年頃から日本で上場投信であるETFが少しずつ増えていて、その中には、指数と逆の動きをする「リバース型」のETFも登場しています。つまり、今は株価の下落局面でも投資できるようになっているんです。

図表45

これまでお話してきた通り、経済状況や相場が大きく変わりやすい局面を迎えていますが、このような状況下においては、私は株式投資においては個別銘柄ではなくETFを活用することを勧めています。個別銘柄では、業績の下方修正など突発的な急変があり得るからです。

だから、まずは、これまでの投資スタイルを見直してほしいですね。
これから先、これまでの常識が通じない社会が到来するのは自明です。そこでは、誰がババをつかむかというレースになります。
古い投資スタイルでは通用しないのにも関わらず、それを続けるならば、先は暗いばかりでしょう。これからの投資については、書籍の第6章で触れていますのでぜひ参考にしてほしいです。

最後に、今後の経済を予測するための視点を身につける方法をアドバイスしましょう。

私は「Tモデル」と「T2モデル」という2つの手法を使って、将来何が起こるかを予測しています。
まず、「Tモデル」は、様々な指標をデータ化し、指標同士の相関を見つけたり、ギャップを見つけたりすることが目的です。普通に考えればこう動くはずなのに、今回に限ってはこう動いていない。それは何故だろうと追求します。
また、もう一つ大きな目的があります。それは先行指標を作るということ。第1回でも述べましたが、雇用統計が好調だからアメリカの景気が良いと判断するのは大きな間違いです。それは、雇用統計は様々な指標の中で一番遅れて上向くから。実は他に先行する指標があるはずなんです。
「Tモデル」は「ギャップと先行指標を見つけるための手法」なのです。

一方の「T2モデル」は物理のエネルギー法則を応用し、「価格」と「時期」を予測していく手法です。
「価格」と「時期」はマーケットの予測において最も重要です。日経平均が今後どうなるのか、予測するエコノミストは多いでしょう。でも、「いつ」「いくら」になるのかを明言している予測はあまり存在しません。「上がる」「下がる」ということは誰でも言えますが、それだけでは投資に役立ちません。

つまり、予測の精度をあげるためには、「この指標とこの指標は実は相関があるのではないか?」「この指標が動いてからすぐに別の指標が動いている法則があるのでは?」というように、「つながり」を捉える事が大事なのです。
この視点を持つことができれば、いずれ未来の流れを察知できるようになるはずです。

トランプ米大統領によって始まった「破壊経済」が、世界に何をもたらすのかはまだ不明です。しかし、固定観念や常識を捨てなければ、これから先、あらゆる変化に対応することができなくなるでしょう。
世界的超低金利時代の終焉やビットコインの台頭、これまで既得権益の崩壊など、世界ではさまざまなことが表出しています。そんな時代を生き抜くために、ぜひ拙著を読んでほしいと思います。

(新刊JP編集部)

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