BOOK REVIEW書評

デスクワークの人も、立ち仕事の人も、症状はちがえど「腰痛」が共通の悩み事だったりします。整体やマッサージに通って痛みをごまかしているうちに、慢性化させてしまっていませんか?

■体の奥の筋肉が腰痛を引き起こす!

腰痛の大部分は、その原因は患部や周辺の筋肉の緊張にあるとされます。

『「つらい腰痛」は指1本でなくなります:薬も道具も使わない、「腰痛緩消法」なら自分で治せる!』(三笠書房刊)の著者で「痛みの専門院」院長の坂戸孝志さんは、特に筋肉の中でも、体の表面ではなく奥の方にある筋肉の緊張が腰痛を引き起こすとしています。だからこそ、体の表面をもみほぐしたり指圧するだけでは、根本的な解決にはなりにくいようです。

手で触れることのできない、深い場所にある筋肉をほぐすことが腰痛を治すポイント。坂戸さんはそのために「緩消法」という手法を提唱しています。

この「緩消法」の特徴は自分で試せること。ここでは、そのもっとも基本的な方法を紹介します。

イラスト図解
  1. 足を肩幅より少し広めに開き、両方の手を腰に置く。
  2. それぞれの親指を脇腹の方向から真横に入れて軽く押す。止まったところが筋肉の緊張している部分。
  3. 押さえた親指を支点にして、上半身を片方の側に1秒かけてゆっくり傾け、1秒かけて元の姿勢に戻す。
  4. 反対側でも同じことを行う。
  5. 3~4の動作を、途中で止めずに全部で10往復行う。
  6. 親指で軽く押している部分の筋肉の軟らかさを確認する。親指が抵抗なく筋肉に入っていくようなら、筋肉が軟らかくなっている証拠なのでOK。
  7. 6で、まだ緊張が残っている場合は、2秒ほど指を離した後に、2~5を再度行う。この2秒の休みを入れながら、指で軽く押している部分がさらに奥に入っていくことを確認しながら行う。
  8. 親指を上や下にずらし、ほかに緊張した部分があったら、2~5の動作を行っていく。

直接的に腰を触るのではなく、脇腹の奥に指を入れることで、腰方形筋や脊柱起立筋といった、腰回りの深い部分にある筋肉にアプローチできるため、腰痛の症状を単に軽減するだけでなく、完治させることにつながるといいます。



ここで紹介した方法は、坂戸さんの提唱する「緩消法」のごく一部。実際にはより多彩な方法で、腰の深部をほぐす手順が解説されています。

慢性化した腰痛は、物事に取り組む集中力を削ぎますし、あらゆることへの意欲を奪ってしまいます。活動的で充実した日々を取り戻すためにも、坂戸さんのメソッドを採り入れてみてはいかがでしょうか。

(新刊JP編集部)

Amazonで「つらい腰痛」は指1本でなくなります」の詳細をみる

「つらい腰痛」は指1本でなくなります

定価 :

1,300円+税

著者 :

坂戸 孝志

出版社:

三笠書房

ISBN :

4837926878

ISBN :

978-4837926870
Amazonで見る

BOOK DATA書籍情報

プロフィール

坂戸 孝志

緩消法開発者、東京「痛みの専門院」院長、社団法人日本健康機構理事長、腰痛アカデミー主宰

目次

  1. 第1章 「治す」とは、痛みを100%取り除くこと
    • 「治す」を誤解していませんか?
    • 世にあふれる「腰痛治療」は、対処療法ばかり
    • マッサージに通うほど、体はますますカチカチに!
    • 骨盤矯正をしても、骨盤は正しい位置に戻らない
    • 痛み止めに頼ると、ますます痛みが悪化する!
    • 温めて軟らかくなるのは、表面の筋肉だけ
  2. 第2章 痛みが起きるしくみ、消えるしくみ
    • そもそも、なぜ「痛み」を感じるのか?
    • 血行不良によって「痛みのもととなる物質」が出てしまう!
    • 指1本で「痛み」が消えるしくみ
    • 腰痛のそもそもの元凶は、腰の深い部分が緊張しているから!
  3. 第3章 腰痛を自分で治すたった1つの方法
    • 筋肉を無緊張状態にできる「腰痛緩消法」
    • A-1 腰まわりの筋肉を、振動させる
    • A-2 腰まわりの筋肉を、左右同時に軟らかくする
    • A-3 腰まわりの筋肉を、片側だけ軟らかくする
    • B-1 上半身を前後に動かして軟らかくする
    • B-2 上半身をひねって軟らかくする
    • 「腰痛緩消法」で大事なのは「押す力」を軽くすること
    • 骨盤のズレやねじれを調整し、腰痛の再発を防ぐ
  1. 第4章 腰まわりが軟らかくなると、ほかの不調も消えていく
    • 筋肉の緊張による血行不良が、さまざまな不調を引き起こす
    • 体を軟らかくなると、「基礎体温」が上がる
    • 全身に血が行きわたり、「疲れにくい体」が手に入る
    • 腰が柔らかくなれば、薬に頼らずに高血圧が改善!
    • 脳の血流改善で、うつ病が解消、認知症の予防にも効果あり
    • 頭部の血行改善で、頑固な頭痛もスーッと消える
    • めまい、視力低下、難聴も首のコリが原因だった
    • 花粉症やアトピー性皮膚炎の原因も、血行不良?
    • 腰まわりの筋肉の硬さは、万病のもと
  2. 第5章 体を軟らかく保つのに、大事にしたい習慣
    • 「腰痛緩消法」で柔らかくなった筋肉は、硬くならない?
    • 「筋肉痛」には静的ストレッチでケアをしよう
    • 「肩コリ」を感じたら、肩用の「緩消法」で緊張をゆるめる
    • 肩の筋肉を柔らかくする「緩消法」
    • 知らず知らず筋肉を緊張させている毎日の「クセ」を見直そう
    • 「背筋を伸ばして!」の姿勢だと、筋肉が緊張してしまう
    • 寝具は柔らかすぎても、硬すぎてもNG

INTERVIEWインタビュー

著者写真

――『「つらい腰痛」は指1本でなくなります:薬も道具も使わない、「腰痛緩消法」なら自分で治せる!』について、本書では坂戸さんが提唱している「緩消法」が解説されています。この方法はあらゆる種類の腰痛に効果が見込めるのでしょうか。

坂戸:
まず、腰痛に種類があるのかという話なのですが、体の痛みというのは基本的には2種類です。1つは「ケガをしている状態の痛み」で、どこかを切ったとか、ケガをしてしまった時の痛みを指します。こちらの治療については医師の仕事であって、「緩消法」は効果がありません。

もう1つの、「長い間ずっと痛い」という慢性的な痛み全般に「緩消法」は効果が見込めます。というのも、これについては種類はないんです。「椎間板ヘルニア」とか「脊柱管狭窄症」とか「腰椎すべり症」とか、病院ではいろいろな名前を付けられますけど、たとえばヨーロッパではこうした診断は下されません。

今あげたどれであっても「筋肉が固くなっているから、少し休みなさい」と言われるだけです。

――診断名はどうであれ、痛みの原因は筋肉が固くなっていることだ、と。

坂戸:
そうですね。腰に痛みがあるならば、痛む部分の筋肉が固いので、その部分の筋肉だけを柔らかくすれば、とりあえず痛みは消えます。ただ、体の表面近くの筋肉を柔らかくしただけでは、放っておくとまた固くなるので、痛みが再発するんです。

完治させたいのであれば、体の深い部分にある筋肉までみんな柔らかくしないとダメで、その方法を今回の本で書いています。

――腰が痛い時、多くの人がまず考えるのは「マッサージに行こうかな」です。この方法でも筋肉は柔らかくなるのでしょうか。

坂戸:
揉むと筋肉は固くなるので、マッサージは腰痛の改善という意味では逆効果になってしまいます。マッサージをしてもらっている時は気持ちがいいですが、気持ちいいことと治るかどうかは全く別の話だということは、知っておいていただきたいですね。

――筋肉が固まる原因についてもお聞きしたいです。

坂戸:
筋肉が固まる原因は2つあって、1つは使いすぎた時。もう1つは全く動かさなかった時です。

ただ、知っておくべきは、人間はみんな腰痛を誘発する「爆弾」を抱えているということです。自分の腰を触っていただくとわかりますが、腰の中心から左右に3cmくらいのところに、カチッと固まって弾力がない筋肉があると思います。

これは2か月以上動かさないことによって固まった筋肉なのですが、寝たきりでもない限り、腰まわりにある筋肉を2カ月も動かさないなんてありえないと思うかもしれません。

実は、人間は誰でも生まれてからハイハイをしはじめるまでは「寝たきり」ですよね。この間に、腰部分を左右に折り曲げる「腰方形筋」が固まってしまうのです。これが「爆弾」であり、人間の腰痛の原因なんです。

――「デスクワークで腰を痛めた」という人がいたとしたら、それはデスクワークそのものが原因ではなくて、デスクワークによって抱えていた腰痛の要因が表面化したにすぎない、ということですか。

坂戸:
そうです。だからこの固まった部位を柔らかくしてしまえば、10時間程度机に向かっていた程度で痛みは出ないはずです。

――坂戸さんご自身も長く腰痛に苦しんだ時期があったとお聞きしました。どのような原因で痛みを抱えることになったのでしょうか。

坂戸:
私の場合は事故でした。18才の頃、建設会社で働いていて、生き埋めになってしまったんです。その時に腰を強く打ったのが、痛みをごまかして働いているうちに悪化して、30歳で寝たきりになりました。痛みでトイレに自力でいけないのでおむつをしていたのですが、その交換も自分ではできない状態でした。

――当時はどのような治療をしていましたか?

坂戸:
ありとあらゆる治療を試しましたし、病院や治療院を訪ね歩きましたが、少しの間痛みをごまかすことはできても、治るかというとまったく治りませんでした。

治療費がかさむだけだったので、途中から通うのをやめてしまいました。

――坂戸さんの「緩消法」は、病院通いをやめた後に自力で作り上げたものだとお聞きしました。試行錯誤の過程でやってみたことについてもお聞きしたいです。

坂戸:
実は、私が社会復帰できたのは、この本で書いている「緩消法」とはまったく異なる方法を試したからなんです。

それは、筋肉の線維を切らないように、少しずつ固まった筋肉を伸ばしていく、というものでした。わかりやすくいえば「ストレッチ」なのですが、もう激痛ですし、一日のほとんどがその作業で潰れていましたが、それでも1年かけて寝たきりから、コルセットなしで立ってトイレに行ったりお風呂に入ったり、デスクワークくらいならこなせるようになりました。

ただ、完治となると話は別です。ストレッチでは腰痛を完治させることは絶対にできません。やはり、体の表面から奥まで筋肉を柔らかくするしかないですし、逆に言えば筋肉さえ柔らかくなれば腰痛は簡単に治ってしまう。

――坂戸さんが運営している「腰痛アカデミー」には、様々な方が相談にくると思いますが、どんな方が多いですか?

坂戸:
年齢を問わず、どこでどんな治療を受けても治らない人、あちこちでたらい回しにされてきた人が多いです。上は95歳、一番若かったのは3歳の子が親に連れられてきたこともありました。

――3歳で腰痛を発症することがあるんですか?

坂戸:
年齢は関係なく、腰の筋肉が固ければ痛みは出ます。 ただ、子どもの場合は治るのは早いですけどね。

大変なのは、長い間薬で痛みをごまかしてきた人で、こういう人の多くは薬の影響で筋肉が石灰化してしまっている方も多く、治るのに時間がかかるんです。

――長い方でどれくらいかかりますか?

坂戸:
薬漬けで寝たきりの人でも、治療時間が500時間あれば走れるくらいにはなると思います。「完治」となるともう少しかかりますが。

著者写真

――最後になりますが、腰痛に悩む方々にメッセージをお願いできればと思います。

坂戸:
「緩消法」を10年前に知った方は、10年前にもう腰痛が治っています。ともかく一度試していただきたいということですね。

(新刊JP編集部)

ページトップへ