だれかに話したくなる本の話

新刊ラジオ第1323回 「名古屋発どえりゃあ革命!」

名古屋市議会のリコール運動で話題騒然! 河村たかし氏は、なぜ市長を辞職したのでしょうか。名古屋から全国に伝えていきたい「民主主義の曙」の意義とは? 本書は、河村氏の政治ポリシーや、名古屋、愛知、日本の将来のビジョンを知るのに最適な一冊です。

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河村たかし辞職の本当の理由

● 著者について 河村たかしさんは、1948年、名古屋市生まれ。一橋大学商学部を卒業後、家業の古紙回収・卸売り業に従事しました。そして、93年、衆院選・愛知1区でトップ当選を果たし政界へ進出。以後、計5回の連続当選。09年4月には、名古屋市長選に「庶民改革」を掲げ出馬し、当選しました。 親しみやすい名古屋弁と、パワフルな人柄が魅力的な庶民派の政治家です。

2010年12月20日、河村さんは名古屋市長職の辞職願を市議会議長に提出しました。予算編成期だったこともあり、新聞の社説や、連日の報道では、「大義なき辞職だ」と、バッシングが続きましたが、河村さんは反論します。 「大義はあるのだ」と。

河村さんの「大義」とは、市長選のときに発言したこと=「公約」を果たせなかったことについての「責任」です。「市民税10%の恒久減税」を公約にしていましたが、市議会決議で、「1年限り」に決まってしまったことや、市政に混乱を招いた責任の一端が、市長だった自分にもあるのではないかという思い。また、市議会の解散を求める46万人ものリコール署名のうち、8万人の署名を、選挙管理委員会に無効にされてしまったことの責任と、「それらについて、もう一度、民意を問いたい」という思いから、辞職願を提出したのです。 選挙公約を果たさない議員があまりに多い中、これほどまで真摯に、市政と向き合う河村さんの思いに心を打たれました。

本書の序章には、河村たかしさんが市長を辞職し、市議会を解散させたことに対する胸の内が語られていました。河村さんの言葉を紹介します。

今度の住民投票の結果を受けて、市議会は再出発することになった。と同時に、これまでワシがやってきたような市長のありようも市民の選択にゆだねられることになる。名古屋での議会と市長という二元代表制はどうあるべきなのか、みなさんの選択でどう進むのかが決まる。これこそが民主主義でしょう。みなさん一人ひとりが名古屋の政治をお決めになるんですよ。 市長を辞任することに対しては、「税金の無駄遣い」というような指摘もあるが、民主主義とは、「民意を問うためにコストをかける」制度なのです。いらん公共事業や、いらん人件費にコストをかけるのとは違う。民意をほったらかしで税金の無駄遣いを続けたがっとる人たちと、一緒にせんでちょう。 みなさんのご意見を確認したいから、ワシゃ辞めるのです。

“河村たかし政治”のキーワード

“本当の「民主主義」を根付かせる”ということが、河村さんがやろうとしている政治のキーワードになります。 名古屋市と愛知県から革命を起こしたい。そして、地方を変えることで、日本全体を変えていきたい。そういった思いが文中から感じられます。 実際、河村さんは、「地方の政治を変えることで、そこから国の政治も変えていくことができる」と言っています。政策としては、「『減税』と『職業議員の排除』を進めると、かなりのことが変わる」と言います。

たとえば、「減税」についていえば、市政にとって「減税」は、いいことづくしだと言います。減税をすると、当然役所にはお金がなくなります。つまり、無駄遣いできなくなるのです。事業仕分けが何かと話題ですが、いくら仕分けをしても、全体の税金を減らさないことには、無駄遣いする部署が変わるだけで、全体としては同じなのだそうです。 河村さんいわく、実は国の役所のなかで一番無駄遣いの現場を知っているのは、局長クラスの役職で、ある局長がこんな本音を漏らしていたそうです。

「俺たちも行政改革やってきたけど、減税がないと本格的な改革はできない」

事業仕分けだと、やはりどこかに逃げ道はありますが、減税となると有無を言わさず予算が減るので、もう膿を出さざるを得なくなるのです。逆に考えると、減税がなくなると行政改革も進まなくなるとも言えます。

また、減税は、市職員の意識も大きく変えるのだそうです。 およそ1年半前、河村さんが役所の連中25人くらいと飲んだとき、その中のひとりがこう言ってきたそうです。 「市長よ、ワシらの給料は下がるが、減税ということはその分市民に戻るということか?」 河村さんがそのとおりだと答えると、「それなら協力してもええ」と言ったそうです。

さらにその職員は河村さんに対して、「職員に給料カットを言うときは、『市民のために一肌脱いでくれ』と頼むといい」と、アドバイスしたそうです。市民のための減税ということは、本来全体の奉仕者である役所の人間にもいい影響を与えることができるのです。

河村さんは、減税によって“本物の民主主義”が地域に根付くようになってくるともいいます。 たとえば、仮に、減税をした226億円を、小学校単位の学区に使うと考えます。市内には今、265学区あるので一学区あたりおよそ8500万円です。減税になれば、これだけのお金を払わないでよくなるのです。 さらに河村さんは、「経理を全部オープンにして、自分たちでスポーツや文化、いじめ問題の解決などもしてもらう。その代わり1割でいいから寄付してちょうだい」と言うのです。 それでも850万円。年収200万円で受けてくれるボランティアだったら4人雇うことができます。

そうやって社会をつくっていってはどうでしょう? これこそが、本物の民主主義なのではないでしょうか? と河村さんは言います。

こうして河村さんは、まず減税をして行政改革を進め、同時に「自分たちで決める政治」つまり、本当の民主主義を日本に根付かせていこうとしています。 名古屋市、愛知県だけの話ではなく、日本全国から注目のあつまる、河村たかしさんにぜひ注目してみてください。 大村秀章さんや、橋下徹さんとの対談も読みどころです。

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名古屋市議会のリコール運動で話題騒然! 河村たかし氏は、なぜ市長を辞職したのでしょうか。名古屋から全国に伝えていきたい「民主主義の曙」の意義とは? 本書は、河村氏の政治ポリシーや、名古屋、愛知、日本の将来のビジョンを知るのに最適な一冊です。