だれかに話したくなる本の話

新刊ラジオ第1351回 「そうか、こうやって木の家を建てるのか。「200年住宅」と工務店選びの知恵」

大手ハウスメーカーの既成住宅はなぜダメなのか? 本書は、ギャンブルで家を建てずに済むように、信頼出来る「工務店の選び方」を紹介しています。どこを見れば「いい工務店」と「ダメな工務店」を見極められるのか? 意外と知らない家や建築の知識や、建築法や保証制度の存在など、家を建てる前に読んでおきたい一冊です!

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一生満足できる家を建てるコツ

「いつかはマイホーム、建てたいなあ…」なんて思うことはありますか? 世間では「欠陥住宅」のニュースをたびたび目にしますが、せっかく建てた家が欠陥住宅だったらたまりませんよね。リフォームにしても、新築を建てるにしても、業者選びは慎重になりたいものです。

「そうか、こうやって木の家を建てるのか。」(小学館/刊)に、家を建てるときに失敗しないための「いい業者を選ぶコツ」が書いてありました。

● 著者について 田鎖郁夫(たくさりいくお)さんは、株式会社エヌ・シー・エヌ代表取締役社長。ムジネット株式会社専務取締役。「工務店やビルダーの質的向上、施工主の建築知識の充実が、いい家づくり、ひいては、いい町づくりに繋がる」との考えから、木造住宅における構造計算を推進する、工務店ネットワークを主宰されています。

● この本のテーマ どんな人に頼めば危ないギャンブルをせずに家が建てられるか

家を建てよう! と思い立った人が、まず最初に悩むことは「誰に頼むか」ということだと思います。それを解消するために「良い家を建ててくれる人を見分けるポイント」を教えちゃおうというのがこの本のテーマになっています。

建築の意外なハナシ

本書は、家を建てるときに考える常識が、実は先入観であることを教えてくれます。

● 実は、東南角地は好立地ではない?!。 東南向きで日当たり良好! 騒音の気にならない角地! …というと、好立地のような感じがしますが、多方面から検討してみると、次のようなデメリットも見えてきます。

1.坪単位が高い 東南角地というだけで、坪単価が高めに設定されています。

2.道路に面している場合が多い 角地は道路に面していることが多いため、実際に生活してみると、日中は人目を避けるために、カーテンを引く必要があります。そうなるとせっかくの陽当たりも台無しです。

3.駐車場を作ると日当たりが損なわれる 車を持っているとそこに駐車場を作ったりして、やはり陽当たりが損なわれます。

4.制限が多い 建築基準法に「道路斜線制限」というルールがありますが、これにより、道路からの距離で建物の高さや建築の位置などに制限が設けられています。希望する間取りが作れなかったり、リフォームする際にも制限が多く、一概に良い立地とはいえないのです。

● 実は、最初の間取りは気にしすぎないほうがいい?! 家は一生モノの買い物です。家族が増えたり、子どもの独立で減ったりすると、同じ間取りのままでは、不便を感じてくる可能性もあります。 家を建てる際は、間取りをフレキシブルに変更できる家が良いのです。

たとえば、子供が生まれたから、家を建てることにしたとします。 最初は子供部屋が必要になりますが、20年も経ったら、子供は独立していく可能性がありますね。すると子供部屋は使わなくなってしまいます。 また、自分が歳を取ったらバリアフリーのほうが便利が良いですね。 そこを考えると、実は最初の「間取り」よりも、形を変えて一生使える間取りかどうか、のほうが重要になるのです。

信頼できる工務店の選び方

田鎖さんは、家を建てるなら断然「工務店」を推しています。 なぜ、ハウスメーカーや設計事務所ではなく「工務店」なのかは、長くなるので本で読んでください。

ここでは、良い工務店選びを紹介します。

1.工務店のホームページをチェックする 田鎖さんは、ホームページを持っていない工務店は、候補からはずした方がよいといいます。なぜなら、簡単に作れるはずの「相手に情報を伝えるツール」を用意していない工務店は、年間施工数が極端に少ないか、下請けで成り立っている場合が多いからだそうです。 ホームページを持っている工務店では、「社長のブログ・コメント」と、「施工事例の記載」をチェックします。この際、社長のコメントで、こだわりやコンセプトが見えないのはアウト! また、施工事例を載せていないのもアウトです! これらがない工務店は、自分たちの仕事に自信を持っておらず、施工もおざなりである場合が多いのだそうです。

2.チラシをチェックする 工務店が出しているチラシを確認します。「お値段変わらず自由設計可能!」とか「坪○○万円の自由設計」なんていうところは……アウトです! この2つは、物理的にあり得ないそうです。設計が変われば価格も変わるのが当然で、このような謳い文句のところは、「オプション料金」や「割増料金」など別途請求される可能性が高いそうです。そもそも、価格を一番の売りにして宣伝しているということは、それ以外のことにこだわりがないということの裏返しだと田鎖さんは分析しています。 他にも、「匠の技で」とか「著名人○○さん推薦」というのも危ないそうです。売りとなっている部分に具体性が見えないからです。

3.立て看板を出していないか 広告でいうと、「立て看板」を出しているところも基本的にはアウトです。 街でたまに見かけますが、あれは法的に許可が下りないものです。それでも立て看板を出しているということは、法的に無知なのか、「これくらいならいいだろ」と思っている証拠です。 どちらも家を建てるという大仕事に対して信用できない要素ですね? なので、やっぱりアウトなのです。

工務店を見極める5つの質問

工務店で尋ねるべき、最大のチェックポイントを5つ紹介します。

1.長期優良住宅を建てられますか? 2.完成保証は付けてもらえますか? 3.第三者検査、やっていますか? 4.構造計算、していますか? 5.温熱計算、してもらえますか?

この5つの質問で、その工務店の力量と組織力、そして情熱と誠意がわかり、充分に信頼できるか否かを判断できます。

家を買うということは、おそらく一生で一番高い買い物です。 せっかくのマイホーム購入で失敗しないためにも、読んでみてはいかがでしょうか?

最後に田鎖さんの言葉で締めましょう。

「住宅にお買い得はないと思ってください。お買い得と言われても、敢えて、そんなことはないと自分に言い聞かせてください。充分に検討できたときが、あなたの買い時だと思って、じっくり業者を選んでください」

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そうか、こうやって木の家を建てるのか。

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そうか、こうやって木の家を建てるのか。「200年住宅」と工務店選びの知恵

そうか、こうやって木の家を建てるのか。「200年住宅」と工務店選びの知恵

大手ハウスメーカーの既成住宅はなぜダメなのか? 本書は、ギャンブルで家を建てずに済むように、信頼出来る「工務店の選び方」を紹介しています。どこを見れば「いい工務店」と「ダメな工務店」を見極められるのか? 意外と知らない家や建築の知識や、建築法や保証制度の存在など、家を建てる前に読んでおきたい一冊です!