だれかに話したくなる本の話

新刊ラジオ第1358回 「成長し続けるための77の言葉」

なぜ、人は成長したいと思うのでしょう。「職業人としての成長」「人間集団としての成長」について考えていきませんか。本のなかでは、成長し続けるための77の言葉が紹介されています。そこには未来へと続くメッセージが綴られていました。手元に置いて、何度も読み返したくなる、そんな一冊です。

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田坂広志さんの77の言葉

● 著者について 田坂広志さんは、1951年生まれ。東京大学・工学部卒業。米国シンクタンク・バテル記念研究所客員研究員、日本総合研究所の設立に参画。数々のベンチャー企業と新事業を育成してきました。 シンクタンク・ソフィアバンク、社会起業家フォーラムを設立。共に代表に就任。 情報、金融、流通、環境、教育など、様々な分野の企業の社外取締役や顧問を兼務されています。

人は、なぜ、成長を求めるのでしょうか。なぜ、働くのでしょうか。 また、人生の成功とはいったい何なのでしょうか。

本書には、仕事と人生の本質を見つめ続けてきた、田坂広志さんの想いが綴られています。77の言葉を通じて語りかけてきますが、今までの田坂さんの本の集大成と言ってもいいかもしれません。

「職業人としての成長」「人間としての成長」「人間集団としての成長」「終わりなき成長への道」「成長に向けての言葉の階梯」といった章に分かれています。各章では、ひとつの言葉をとり上げて、その言葉に対する田坂さんの想い、知恵へと続いていきます。

田坂さんの言葉をじっくりと読み進めていくことで、今の自分、今までの自分、そしてこれからの自分を見つめなおすきっかけになるのではないでしょうか。

成功は約束されていないが、成長は誰もが手にできる

田坂さんの言葉をご紹介します。

人生において、「成功」は約束されていない。 しかし 「成長」は約束されている。

なぜ、人生において、「成長」が大切なのか。 それは、人生には、一つの真実があるからです。 人生において、「成功」は約束されていない。 しかし 「成長」は約束されている。

いま、世の中に溢れる「成功願望」。 誰もが、その人生において、競争での「勝者」となり、目標を「達成」し、人生で「成功」することを願っています。

しかし、誰かに人生の真実を見つめるならば、「勝者」の陰に、必ず「敗者」があり、「達成」の陰に、必ず「挫折」があり、「成功」の陰に、必ず「失敗」があります。 けれども、人生において、誰もが必ず手にすることができるものが、ある。 それが「成長」です。

「成功は約束されていないが、成長は誰もが必ず手にすることができる」という言葉にとても勇気づけられます。 成長することは、成功にも着実に近づいています。 他者を打ち負かして得る成功よりも、まずは、自分を切磋琢磨して向上させていく成長を目指そうということなのではないでしょうか。

本を読むことで起こりうる“成長”の錯覚

田坂さんの言葉をもうひとつご紹介します。

「知識」を学んで、「智恵」を摑んだと錯覚すること。それが現代の病。

では、「知識」と「智恵」を混同すると、何が起こるのか。 単なる「知識」を学んで、「智恵」を摑んだと錯覚すること。 その落とし穴が待ち受けています。

そして、それが、先ほど述べた、書店に「職業的な智恵」を語った本が数多く並んでいるにもかかわらず、その「職業的な智恵」摑む人が少ない理由なのです。

これらの本は、様々な分野のプロフェッショナルが、その分野で良い仕事をするために「智恵」を伝えようとして語ったものなのですが、「智恵」は言葉で表せないため、何かを語った瞬間に、「知識」になってしまうのです。

例えば、「プレゼンの要諦は、リズム感と間の使い方です」と語っても、この言葉を頭で理解しただけならば、単なる「知識」を学んだにすぎません。 この言葉を示唆として、自身の体験を重ねたとき、初めて「智恵」が摑めるのです。

しかし、知識偏重教育を受けた人や、仕事の経験の乏しい人は、しばしば、言葉で、「知識」を学んだだけで、「智恵」を摑んだと思い込んでしまうのです。

田坂さんは、書店には知恵を語った本があるのに、表面だけを捉えて、知識、ノウハウとして役立てようとする人が多い。それはもったいない。もっと人間として成長する知恵があるはずだ、と語っています。

本から本当に得るべきことは、知識やノウハウではなく、知恵なのですね。 著者の体験から読み解いた知恵を自分の身体に集めて、自分の頭で考えて、人間として成長するために、これからも本を読んでいきたいものです。

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成長し続けるための77の言葉

なぜ、人は成長したいと思うのでしょう。「職業人としての成長」「人間集団としての成長」について考えていきませんか。本のなかでは、成長し続けるための77の言葉が紹介されています。そこには未来へと続くメッセージが綴られていました。手元に置いて、何度も読み返したくなる、そんな一冊です。