だれかに話したくなる本の話

新刊ラジオ第1388回 「吃音センセイ -桜舞う校庭で」

母親の入院がきっかけで、吃音(きつおん)になってしまった少女が、ハンデを乗り越え、小学校の国語教師となった。映画『英国王のスピーチ』(アカデミー賞受賞)でも話題の「吃音」をテーマに、少女の心の葛藤や経験を、事実を基にしたストーリーで綴った、心あたたまる物語。

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教師になった吃音の少女

みなさん「吃音(きつおん)」って知ってますか?

発音時に言葉が連続して発せられたり、言葉を円滑に話せない症状のことです。

これは、いわゆる「障害」とは違って、精神的ストレスや、あるときのショックで、突然「吃音」になってしまうこともあるといいます。

もちろん、本当の苦しみや葛藤は、本人にしか分からないことだと思いますが、頭でイメージした言葉を出せないことは、とてもストレスを感じることだと思います。

今回、ご紹介する本は、幼少期に、母の入院がきっかけで吃音になってしまった少女が、吃音を乗り越え、小学校の国語教師になるという、実話を基にした物語です。

● 著者プロフィール この本の著者である、佐藤文昭さんは、1980年生まれ、北海道函館市生まれの会社経営者の方です。通販事業経営や、コピーライター業、教材販売などの事業をされていて、特に、教材販売においては、多くの専門家と提携した実用的な教材を取り扱っていることで人気を博しています。

今回、ご紹介する『吃音センセイ』は、佐藤文昭さんにとって初めての小説です。 小説といっても、事実を基にして作られた、限りなくノンフィクションに近い小説です。

● この本が出来上がるまでの経緯 佐藤さんと、小説に登場する人物・井坂京子さん(仮名)の出会いは、 佐藤さんが行っていた、通信販売による教材企画がきっかけでした。

井坂京子さんは、 「以前から自分が負っていた吃音症状について、それを改善させていった道のりや、その方法を教材としてまとめることで、同じように吃音で苦しんでいる人たちの役に立ちたい」 との思いから、佐藤さんに教材の作り方を尋ねてきたそうです。

「もちろん!」と、協力を受け入れた佐藤さんは、井坂さんとのさまざまな会話を通して、彼女の人生を知っていくことになります。

幼少期、母親の入院が原因で吃音になってしまったこと・・・ 吃音が原因でいじめに遭い、死ぬことすら考えたということ・・・ 理解してくれていると信じていた友人たちに裏切られてしまったこと・・・ しかし、それらを乗り越え、国語教師として教壇に立っていること・・・

佐藤さんはその中で、 「井坂京子さんの波乱に富んだ半生を多くの人に伝えたい」 という思いが生まれ、そうして本書の執筆に至ったそうです。

あらすじ

● あらすじ 物語の大筋としては、主役となる、井坂京子が母親の入院をきっかけに、「吃音」に なってしまい、それが原因となり、いじめ、悩み、葛藤を描いた作品となっています。

ストーリーは、2つの時間軸から描かれています。 <教師としてクラスをまとめ上げようとする現在の物語>と、<「吃音」に悩み、過酷ないじめを受け、心の支えとなる人物との出会いや葛藤を通して成長していく物語>

2つのストーリーが交互に入れ替わり、テンポよく描き上げています。

幼少期から青春期にかけての方をすこし紹介しようと思います――。

田畑に囲まれたのどかな町に生まれた井坂京子。 お母ちゃんにべったりの甘えん坊で、近所でも評判の可愛い女の子でした。

しかし、4歳の頃、大好きな母が、生死を彷徨う大病を患ったとき、京子に異変が起きました。母と引き離された不安がきっかけで、吃音(きつおん)を発症しました。

驚いて、無理矢理治そうとする父や叔母に、 京子は戸惑い、「ちゃんと話さなきゃ…!」というプレッシャーがのしかかるほどに、 症状が重くなっていってしまいます。

次第に 京子は、周囲の無理解に傷つき、幼い心を閉ざしていきます。

続きは、今日の新刊ラジオでお聴きください。

吃音センセイ -桜舞う校庭で

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吃音センセイ -桜舞う校庭で

吃音センセイ -桜舞う校庭で

母親の入院がきっかけで、吃音(きつおん)になってしまった少女が、ハンデを乗り越え、小学校の国語教師となった。映画『英国王のスピーチ』(アカデミー賞受賞)でも話題の「吃音」をテーマに、少女の心の葛藤や経験を、事実を基にしたストーリーで綴った、心あたたまる物語。