だれかに話したくなる本の話

新刊ラジオ第1438回 「マネー大激震 逆境下の資産運用術」

3.11の東日本大震災でお金の流れが変わってしまった! 震災前のマネー設計、資産運用方法では、もはや対応しきれなくなってきています。これまでの常識ではお金は増えていくことはありません。それどころか減っていってしまう可能性の方が高いのです。年金に頼れず、資産価値も狂ってしまった人に新たなマネー設計の提案をしていきます。

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震災後の資産運用

あなたは資産運用をしていますか? しているという方は、今している資産運用は“震災前”と同じものですか? 震災前と後では、市場は大きく変化しています。資産価値が激変しているいまだからこそ、マネー設計の見直しが必要だといいます。

震災後の資産運用とはどのようにしたらよいのでしょうか。 その方法を、「マネー大激震  逆境下の資産運用術」(ベストセラーズ/刊)が教えてくれました。

● 著者プロフィール 著者の岩崎日出俊さんは、1953年、東京生まれ。早稲田大学政経学部政治学科卒業後、日本興業銀行に入行。スタンフォード大学経営大学院で経営学修士(MBA)取得。22年間の興銀勤務を経て、1998年より2003年までJPモルガン、メリルリンチ、リーマン・ブラザーズの投資銀行各社においてマネージリング・ダイレクターとして活躍。現在は、インフィニティ株式会社代表取締役として投資業務・経営コンサルティング業務に従事しています。

冒頭からショッキングな言葉で、今回の本は始まります。

「震災で20兆円にも及ぶ経済的被害が生じた。原発問題もいまだ収拾しない。マネーの動きに無関心でいればあなたの資産は減っていくことになりかねない」

3月11日に起きた東日本大震災後のショックと脱力感のなか、資産価値は激変、年金崩壊、老後崩壊・・・と定年後の生活も大きく変わり、いままでとは違ったお金の流れが生じてきているのだというのです。

震災後、資産の価値は激変した!

地震、津波、液状化で資産を失った人も多くいる現実。 年金生活をもはや当てに出来ない若者。 これまでの常識では考えられない現在の状態を分析し、震災前とは全く違った見方をしてマネー設計をしていかないと、資産は減るばかり。 この本では、そんな現実を踏まえ、マネー設計の見直しを提案していきます。

震災後、資産価値の激変が起きているということをご存知でしたか?

例えば、東京の高層マンションは3月初めと比べて2〜3割も値下げしているのだそうです。 なかでも、江東区、江戸川区、中央区(豊洲・芝浦など)、浦安などの埋め立て地のマンションや、1億円以上の高額高層マンション、などです。 ほかにも、国際都市東京といわれて世界を引っ張ってきていましたが、いまやそれも過去のできごと。 多くの外資系の金融機関は、アジアのヘッドクォーターを東京からシンガポールに早々に移してしまいました。 日本にいる外国人の数も激減しました。 帝国ホテルの稼働率は4月には34%、ニューオータニが20%、オークラは28%、8割近くの客室が空いていたという状況です。

このような状況のなか、これから先、まだまだ何が起こるか分かりません。 今後のマネー設計も従来通りの考え方・やり方ではもはや対応しきれない、ということなのです。

では、いったいどうすればいいのでしょう?

即換金性のあるものを確保せよ!

著者の岩崎さんは、「流動性、すなわち、即換金性のあるものを確保せよ」と言っています。 なぜならば、M9の地震が起きたことで、日本とその周辺は地質学的に不安定になって、東海地震、あるいは首都圏直下型の地震が起きる可能性が高まった、富士山が噴火するという可能性が高まったと言う、地質学者もいます。 そのため、アメリカの投資家のなかには、“東京で大規模地震が起きる → 世界大恐慌が起きる” と心配する人もいるのだそうです。

このような環境の変化をあれこれ考えていくと、「即換金性の無いもの」への投資は慎むべきなのです。中国の株式へ投資する投信などは、解約して現金化するのには1ヶ月のうち何日かに限られているケースが多く、しかもすぐ現金にならないのです。

また、官僚主導のこれまでのやり方では日本は成長できないので、さらなる増税、国債発行に陥る可能性が大きく、やがてはインフレがくる可能性が大。 そして、近い将来世界人口が9億人に達するころ、日本の人口は少子化によって、 世界人口のわずか1%になってしまいます。 いまや、海外企業は日本の将来への期待をしていないのです。

そのうえ、日本人は鎖国時代さながらの内向きな暮らしをしているので、世界を相手にグローバルに活躍する日本企業は数少ない。 投資をするのも日本企業でなく、外国の勢いのある企業を考える、など今までとは違う発想をしていく必要があります。

また、いま、住んでいる持家が老後生活の負担となってくる現実。 「不動産」「年金」「退職金」。かつてはこの3つが揃っていれば老後の生活は安泰、 とくに、不動産に関しては「あれば助かる」と誰もが思っていた資産でした。 しかし、いまやこの神話はすべて崩れ去ってしまいました。 “いざというときは売ればいい”と思っていた不動産でしたが、液状化や、高層マンションへの不安など売りたくても売れない、震災前と後では人気の地域も全く変わってしまったのだそうです。

そして、大震災のあとには恐慌がおこる可能性も高いと言われています。

まとめ

次々に起こっている資産価値の激変。 本書では、具体的にどのようにしたらいいのか、してはいけないことはなにかを説明していきます。

ソニー、現代自動車(ヒュンダイ)、アップル、コマツ・・など具体的に企業名を挙げながら、どんな企業に、どのようなかたちで資産を投じていけばいいのかを示していきます。

いままで、資産運用や投資など全く興味のなかった人も、この震災で考えを改める必要があるいまだからこそ、読んで欲しい一冊です。

マネー大激震 逆境下の資産運用術

[お知らせ]新刊ラジオ@第2部の無料版をスターートしました。

マネー大激震 逆境下の資産運用術

マネー大激震 逆境下の資産運用術

3.11の東日本大震災でお金の流れが変わってしまった! 震災前のマネー設計、資産運用方法では、もはや対応しきれなくなってきています。これまでの常識ではお金は増えていくことはありません。それどころか減っていってしまう可能性の方が高いのです。年金に頼れず、資産価値も狂ってしまった人に新たなマネー設計の提案をしていきます。