だれかに話したくなる本の話

新刊ラジオ第1486回 「今日が「最後の1日」だとしたら、今の仕事で良かったですか?」

あなたは今の「仕事」や「生活」に本当に満足していますか? もし、あと1日で人生が終わってしまうとしても、今のまま生活を続けますか?そうではないのではないのでしょうか。本書は、経営プロデューサーの著者が“後悔のない人生”を送るためのアドバイスが書かれた一冊です。

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人生最後の日を意識した生き方とは

 もしも、「今日があなたの人生最後の日」を教えてくれるサービスがあるとしたら、あなたはそのサービスを利用したいと思いますか? そして利用するならば、あなたはこのサービスに、一体いくら支払いますか?

あなた「はい…もしもし?」 電 話「LAST LIFE SERVICE です」 あなた「あ……はい」 電 話「まことに残念ですが、今日があなたにとっての最後の1日となります。今日1日を、悔いのないよう精いっぱいお過ごしください。ご利用ありがとうございました」 あなた「……」

 人生最後の日が分かるのが当日だったら、もう美味しいものを食べたり、人に会いに行ったりするくらいしかできないかもしれません。しかし、もし人生最後の日が、100日前に分かるとしたらどうでしょうか。それが分かってからの人生の濃さって、ずいぶん変わってくるのではないでしょうか。さらにいえば、これが1年前だったら?10年前だったら…?

 常日頃から、人生の終わり(つまり、死)を意識して物事を考えたり、選択したりしている人は稀だと思います。でも人生には限りがあるのだから、後悔しない人生を送るためには、この視点はとても大切なのではないでしょうか。

 命は限られているものなのに、それを意識することがないから、無駄なこともいっぱいやってしまいますし、やりたくないことも我慢してやりますよね。でも、「来年死ぬ」ってなったら、やりたくないことは一切止めて、自分にとって有意義なことばかりやるのではないでしょうか? どうしていつか死ぬことは分かっているのに、それがいつか分からないと、こうまで生き方が変わってしまうのでしょうか。

自分自身の心と対話すること

 先の「LAST LIFE SERVICE」のような、いつ死ぬか教えてくれるサービスがあればいいのですが、そんなものは世の中にありません。死は突然やってきます。しかも、確実に。だから、自分の人生にとって無駄なことや、過重なストレスを感じる嫌なことは一切しない方がいいし、毎日確実に、充実した1日1日を送りたいはずなんです。

 この本の著者、中村将人さんは、こういったことを真剣に考えてきた方です。

 「自分が本当にやりたいことはこれなのか?」

 こういった問いかけを自分自身に繰り返して、「自分の心の声を聞く」ということを続けてきました。中村さんは本の中にこのように書いています。

「世の中の99%の人は、自分のやりたいことが最後の最後まで見つけられずに死んでいきます。でもそれは、見つけ方を知らないだけ」

 そこで本書では、「本当にやりたいことの見つけ方」をとても具体的にアドバイスしてくれて、人生最後の1日に後悔しないように背中を押してくれます。

 後悔のない人生を送るための中村さんのアドバイスは、「自分の心の声を聞く」というものです。中村さんは人生の岐路に立たされるような重要な決断を迫られたときには、必ずといっていいほど自分の「心の声」と対話してきたといいます。

仕事が嫌になって辞めたくなったときは…

 中村さんは、大学を出て初めて就職した会社では、飛び込み営業の仕事をしていました。なかなか過酷な労働環境だったようで、157人もいた同期入社の新人たちは、1年間で半分ほどに減ってしまったのだそうです。そんな中でも、自分なりにコツを見つけて成績を出し続け、全国の同期の中でも、最も早いタイミングで昇進試験を受けられるという時期になった中村さん。しかし、あることの積み重ねで、「自分は何のために会社で仕事をしているの突然わからなくなってしまった」のだそうです。

「おい!お前、なんで予算をこんなに下回ってんのに平気な顔してヘラヘラ会社に出てこれるんだよ。主任のクセにいったい何日契約をとってこないんだよ!お前は朝礼中みんなの前でずっと正座してろ!」

 当時勤めていた支店の主任が、営業所長から売上を詰められる風景でした。中村さんは、新人の今の予算なら目標達成して成績を残せるけど、もし昇進試験に受かって主任になったとしても、今目の前で正座させられている主任と同じような目に合わされるのではないか…。「それだったら主任になんてなりたくない」と思うようになったのです。

 中村さんは、「わざわざ実績次第で年収も昇進できるベンチャー企業の営業職を選んだのに、昇進したくないっていうのなら、そもそも私は何でこの会社にいるんだろう? この会社にいる意味はないのか、じゃあ辞めよう」と、ぱったり仕事をしなくなってしまったそうです。会社を出ると公園のベンチに腰掛けて、今後の身の振り方をぼーっと考えていたそうなんです。

 するとある日……。

自身との対話で見つけたもの

 すると、そんな中村さんを見て心配したのか、いつも厳しかった営業所長が、「オレも一緒に行くよ」と、中村さんの営業に同行してくれたのだそうです。その先で、所長からいくつかの質問をぶつけられたそうです。

「なぜ会社を辞めたいのか」 「そんなに今の仕事が嫌いなのか?」 「次にやりたいことはもう決まっているのか?」

 こうした質問を受けて、自分が強い気持ちを持って、デザインの仕事という次に進もうとしているというよりは、単に今の仕事から逃げているだけなのでは? と、自分自身の心に問いかけるようになっていったといいます。

「おい自分、お前は本当にこの仕事が嫌いなのか?」 「本当にデザインの仕事をやりたいの?」 「ただ単にいやなことから逃げ出したいだけなんじゃないの?」 「この程度の数字に恐れて逃げ出していたら、この先一生大した仕事はできないよ?」 「だったらせめて、本当にやりたい仕事が見つかるまでの間、もう一度全力で目の前の仕事をやってみたらどうなんだ?」 「そう、この会社にいる間だけでいいんだから」

 中村さんはこの先、自分への問いかけという武器を手に入れ、成功を手にしていきます。26歳で年収は1000万円を超え、28歳で本社営業部長までのぼりつめたといいます。

 本書では、中村さんが経験、実践してきた「心の対話」の実践的なアドバイスが書かれています。それは、今の仕事に迷いのある人、思うように成果が上がらなくてイヤになってしまっている人にとってはとても重要なことなのでしょう。

今日が「最後の1日」だとしたら、今の仕事で良かったですか?

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