だれかに話したくなる本の話

新刊ラジオ第1622回 「つくもがみ、遊ぼうよ」

損料屋・出雲屋の息子で11歳になる十夜は、幼いころから慣れ親しんできた付喪神に囲まれて暮らしています。ある日、新しく出雲屋にやってきた双六の付喪神・そう六に、双六の中に幼馴染の市助・こゆりとともに、閉じ込められてしまいます。双六のルールは、止まったマスに描いてある遊びに勝たないと前に進めない、というもの。三人は無事、双六の中から出ることができるのでしょうか。

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概要

こんにちは、ブックナビゲーターの矢島雅弘です。

今回の「つくもがみ、遊ぼうよ」は、5年半前に出版された「つくもがみ貸します」に続くシリーズです。

深川で古道具屋、兼 損料屋・出雲屋を営む、お紅と清次。

そして、出雲屋に住みついている『つくもがみ』という妖怪たちが引き起こす騒動を描いた物語です。

みなさんは、『つくもがみ』 って知っていますか?

『つくもがみ』とは、生まれて100年が経った古い道具などに、神や霊魂などが宿って誕生する妖怪のことなんです。

『つくもがみ』になると喋ることができたり、影へ入ったり、小さな人形の形になって歩くこともできるようになるらしいんです。

損料屋も、聞き慣れない言葉だと思いますが、これは、料金を取って、衣服や布団などの夜具、鍋、釜などを貸し出す店のことです。

江戸の人たちの住まいは殆どが長屋であって、狭い長屋暮らしにたくさんの所有物を置くスペースもなく、江戸は火事も多かったことから、逃げ出すときに持っていくことが大変だったのと、焼きだされてしまうのだったら、買うよりも借りた方がいいということで、損料屋がたくさんあったようです。

損料屋・出雲屋にいる 『つくもがみ』たちは、お喋りをしたり、遊んだり、動き回ったりと賑やで、個性的。

前回の「つくもがみ貸します」の中では、いたずら好きで、おせっかいで、退屈を持てあました『つくもがみ』たちが、貸し出された先々で仕入れてくる噂話しから色々な出来事が展開していきました。

今回の「つくもがみ、遊ぼうよ」では、お紅と清次は結婚をして、十夜という子供がいます。

お紅と清次は、『つくもがみ』の存在は知っていました。よく『つくもがみ』たちが話をしているのを、店の奥でいつもそっと聞いていたからです。

でもそのことは、誰にも言いませんでした。

十夜と、幼馴染の市助とこゆりも、子供のころから『つくもがみ』たちと慣れ親しんでいました。

なぜならば、三人は赤子のころからの仲間。

赤子だったころから三人はよく出雲屋のなかで籠に入れられて置かれていました。

その赤子たちの側で、いつも妖怪たちは気楽に喋っていたから、三人にとっても『つくもがみ』は、身近な存在だったのです。

では、そんな「つくもがみ」と子どもたちが織り成す一幕を、ラジオドラマでお聞き下さい。

◆著者プロフィール 著者の畠中恵(はたけなか・めぐみ)さんは、高知県生まれ、名古屋育ち。 名古屋造形芸術短期大学ビジュアルデザインコース・イラスト科卒業。 2001年「しゃばけ」で、第13回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞してデビュー。「ぬしさまへ」「ねこのばば」「おまけのこ」・・・、など著書多数。

つくもがみ、遊ぼうよ