だれかに話したくなる本の話

新刊ラジオ第1640回 「モルフェウスの領域 (角川文庫)」

桜宮市に新設された未来医学探求センター。その地下一階で日比野涼子は眠りを司る神を見守る。
網膜芽種により両目摘出の危機に瀕した少年「佐々木アツシ」は、5年後に認可されるであろう特効薬に望みをかけ、世界初の「コールドスリープ」で深い眠りについた。
月日は流れ、5年。少年は無事に目覚めることができるのか。

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概要

こんにちは、ブックナビゲーターの矢島雅弘です。

今回紹介するのは、海堂尊さんの医療ミステリーシリーズの一つ「モルフェウスの領域」です。

本書が文庫化されるということで、改めてこの作品の魅力に触れてみたいと思います。

本書は、医療の話に加え、SFの要素を含んだ異色の作品で、コールドスリープを題材としています。

主人公は、未来医学探求センターで非常勤として働く女性「日比野涼子(ひびのりょうこ)」。

彼女とある理由により、未来医学探求センターの地下一階に誰とも接することもなく一人で職務に励んでいます。

彼女自身は、自分の職場である地下一階を「モルフェウスの不夜城」と呼び、もうひとりの地下室の主を見守っています。

その主とは、網膜芽種(もうまくがしゅ)と呼ばれる眼の病気によって片目を失っている少年「佐々木アツシ」。

彼は5歳のときに網膜芽種という目の病気を発病し、右目を摘出することになりました。

しかし、病が左目にも発病してしまっため、左目も切除しなくてはならなくなるのです。

そんな時、網膜芽種に対する転移抑制薬が5年後には認可されるという話を受け、一縷の望みにかけてコールドスリープというまだ誰も経験のない領域に踏み込みます。

未知な部分の多いコールドスリープ、アツシの行く末は――。

というところで、今回は物語の一部をドラマにしました。

ぜひ本編を聴いてみてください!

◆著者プロフィール 海堂尊さんは、1961年生まれ。 第4回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作『チーム・バチスタの栄光』で2006年にデビューしました。 他著は『螺鈿迷宮』『ジェネラル・ルージュの凱旋』『ジーン・ワルツ』『ケルベロスの肖像』『輝天炎上』など多数。現在は、独立行政法人放射線医学総合研究所・重粒子医科学センター・Ai情報研究推進室室長として活躍なさっています。

モルフェウスの領域 (角川文庫)

モルフェウスの領域 (角川文庫)

モルフェウスの領域 (角川文庫)

桜宮市に新設された未来医学探求センター。その地下一階で日比野涼子は眠りを司る神を見守る。
網膜芽種により両目摘出の危機に瀕した少年「佐々木アツシ」は、5年後に認可されるであろう特効薬に望みをかけ、世界初の「コールドスリープ」で深い眠りについた。
月日は流れ、5年。少年は無事に目覚めることができるのか。