だれかに話したくなる本の話

新刊ラジオ第1659回 「マリアビートル (角川文庫)」

6歳の息子をデパートの屋上から突き落とされた元殺し屋「木村雄一」。彼は、狡猾な中学生「王子彗」に復讐するべく、東京発盛岡行きの東北新幹線 〈はやて〉に乗り込む。しかし、時を同じくして普通ではない人間たちが東北新幹線〈はやて〉に乗り込んでいた。二人組の殺し屋「蜜柑」と「檸檬」。運に見放された殺し屋「七尾」。
それぞれの思惑が交錯する中、殺し屋たちを乗せた新幹線は北へ向かう――。

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概要

こんにちは、ブックナビゲーターの矢島雅弘です。

今回紹介させていただくのは、個性豊かな殺し屋たちが新幹線の中という限定された空間で様々な混乱に巻き込まれる「マリアビートル」という作品。

文庫版が発売という事で、その世界観に触れたことのない方は是非この機会に興味を持っていただきたいですね。

それでは早速内容を見ていきましょう。

この物語は、大きく分けると3つの視点に分かれて描かれています。

まずは、元殺し屋の「木村雄一」と狡猾な男子中学生「王子彗」。

木村は、息子「渉」が生まれたことで殺し屋業から足を洗い、警備員として働いていました。

しかしあるとき、王子の言いなりになっていた中学生たちと関わることで王子の恨みを買ってしまい、6歳だった渉をデパートの屋上から突きとされてしまいます。

渉は意識不明の重体。

木村は復讐をするために、王子が乗っている東京発盛岡行きの東北新幹線 <はやて> に乗り込みます。

もう一つは二人組みの殺し屋、蜜柑と檸檬。

彼らは峰岸という裏業界で有名な男から、誘拐された息子の救出と身代金が入ったトランクの持ち帰りを依頼されます。

そして無事仕事を終え、盛岡で待つ峰岸の元に息子とトランクを届けるだけ……というところで思いがけないトラブルに見舞われます。

そして最後にツキに見放された不運な殺し屋、七尾。

「天道虫(てんとうむし)」という異名を持っている殺し屋で、東京駅から新幹線に乗り、トランクを奪って上野で降りるという仕事を受けます。

パートナーであり仕事の指示役である真莉亜から「簡単な仕事」という話を聞き、新幹線に乗り込みますが……案の定、不運に見舞われて面倒なことになっていきます。

果たして、彼らを乗せた新幹線はどうなってしまうのでしょうか。

ここからは、物語の一部をドラマにしましたので、どうぞ本編をお聴きください。

◆著者プロフィール 伊坂さんは1971年生まれ、千葉県出身。 2000年に『オーデュボンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞を受賞しデビュー。 著書に『ゴールデンスランバー』、『重力ピエロ』、『魔王』、『グラスホッパー』などがあります。

マリアビートル (角川文庫)

マリアビートル (角川文庫)

マリアビートル (角川文庫)

6歳の息子をデパートの屋上から突き落とされた元殺し屋「木村雄一」。彼は、狡猾な中学生「王子彗」に復讐するべく、東京発盛岡行きの東北新幹線 〈はやて〉に乗り込む。しかし、時を同じくして普通ではない人間たちが東北新幹線〈はやて〉に乗り込んでいた。二人組の殺し屋「蜜柑」と「檸檬」。運に見放された殺し屋「七尾」。
それぞれの思惑が交錯する中、殺し屋たちを乗せた新幹線は北へ向かう――。