だれかに話したくなる本の話

新刊ラジオ第1731回 「あなたは何も悪くない」

ニューヨーク・タイムズの「モダン・ラブ」欄に掲載され一躍注目を浴びたコラムが書籍になり、その邦訳版が出版されました!結婚できないのは自分が悪いから、という思い違いを、まるで親しい同性の友達が優しく諭してくれるような、世界中の独身者が共感した一冊です。

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概要

こんにちは、ブックナビゲーターの矢島雅弘です。

本書は、「ニューヨーク・タイムズ」の「モダン・ラブ」欄に掲載され、一躍注目を集めたコラムを基に構成されています。

タイトルからもちょこっと分かるように、独身女性のための結婚にまつわるお話です。

著者のサラさんもかつては、今日本でいうアラフォー独身女性のひとりでした。

30代後半で結婚するまでに、10年近く恋人が居なかった時期もあったそうです。

日本と変わらず、アメリカでも独身女性に対する一種の偏見のようなものがあるそうで、友人や知人、さらには親戚のちょっとした言葉が彼女を傷つけることが多かったと言います。

◆著者プロフィール サラ・エッケルさんは、ニューヨーク・キングストン在住のフリーランスのライター。15年以上のキャリアを持ち、エッセイ、芸術批評などのコラムを、ニューヨーク・タイムズ、サロン、フォーブス、タイムアウト・ニューヨーク、シャンバラ・サン、グッド、マーサ・スチュアート・リビング、セルフ、グラムール、ワーキングマザー、ウーマンズ・デイ、コスモポリタンなどの新聞・雑誌に寄稿しています。また短編小説も発表しており、5年前からはコラムニストとしてアメリカ全土200以上もの新聞に週末コラムを書いています。

著者の原体験―独身女性の悩み―

例えば、出会った男性に「前に彼氏がいたのはいつ頃だったの?」と聞かれた時、本当は6年近く居なかったのだけど、つい「3年前かな」と嘘を吐いてしまうサラさん。

すると、その男性は「何がダメなんだろうね?」「魅力的だと思うけどなぁ…?」と言葉を重ねてきたんだそうです。

……年頃の独身の方なら、分かりますよね?この微妙な気持ち。

男の僕だって分かります。

おそらく、その男性に悪気はなかったのでしょうが、サラさんは激しい怒りがふつふつと湧いてくるのを感じて「何て言っていいのかわからないんだけど…。本当に分からないの」と言うしかなかったとか。

「なぜ私は結婚できないの?」

「何が間違っているというの?」

「一体私の何が悪いというのか?」

当時のサラさんはこんなことばかりが、頭をかけ巡っていたそうです。

おそらくは、サラさんだけでなく、多くの独身女性あるいは独身男性が思っているのではないでしょうか?

そう「自分が結婚できない理由」を探し続けてしまうのです。

それに対する答えは様々で、自分でこうだ、と思うものもあれば、知人から指摘されるものもあるでしょう。

特にアメリカ人は「努力すれば報われる」と考える傾向が強いので、上手くいかない=自分が悪い、と考えてしまいがち……現代の日本人もそうかもしれません。

ですが、今のサラさんは、それは意味の無いことだと気付いたのです。

本書の結論を先に言ってしまいましょう。

大事なのは、今の自分を受け入れること。

サラさんはチベット仏教の思想をヒントに、この答えに辿りつきました。

ですが皆さん、早とちりしないで下さい。

本書は決して、よくある自己啓発書のような内容ではありません。

基本的には、元々がコラムですので、ベテラン・ライター、サラ・エッケルの書く独身女性の結婚にまつわる読み物として楽しめます。

その内容は、これまで独身女性を苦しめてきた様々な思い違いを、様々な角度から語ることで、少しずつ「あなたは何も悪くないんだよ」と気付かせてくれるものです。

著者自身の体験を語ったり、知人の体験を語ったり、研究者のデータを引用したり、アメリカの一般的な世論を論じたりしていますが、上から目線で語る内容ではなく、サラさんの等身大の意見を書き綴っているように思えました。

目線は常に、かつての自分や読者を始めとした独身女性に向けられていて、時には独身女性を苦しめるような世間の思い込みにも一定の理解を示したりするんです。

「○○って言われるのは嫌だけど、そう言ってしまう人の気持ちも分からないでもない。また、それについてクヨクヨ悩んでしまう自分にも気付いてはいる。でも……」

こんな感じで、まるでエッセイのように、あるいは親しい同性の友達と話しているかのように、文章を綴っているのが印象的でした。

そして、このサラさんの語り口は全世界で一躍注目を浴びました。

元のコラムがニューヨーク・タイムズに掲載された時、世界各国の独身女性、さらには男性からも共感の声が多数寄せられたんです!

アメリカ人はもちろん、ブラジル人、インド人、中国人などからも、「このコラムは自分のことを語っているんじゃないだろうか!?」という賞賛と共感の声が相次いだといいます。

ですから、もしこれをお聞きの方が、「結婚したいけどできない独身女性」ならば、世界中の読者の人と同じ感覚を味わえると思います。

27の思い違いについて

では、ここで、本書で語られている27の思い違い、サブタイトルに従うならば、「今まで結婚できなかった27の思い違い」について、ご紹介しましょう。

この27の思い違いは、それぞれのチャプターのタイトルになっています。

独身女性が、自分自身に問いかけたり、友人に少々お節介なアドバイスとして言われそうな言葉が、そのままタイトルになっている感じですね。

順にご紹介しましょう。

1.「あなたには問題がある」 2.「自信がないからよ」 3.「ネガティブすぎるんじゃない?」 4.「ちょっとたくましすぎるんじゃない?」 5.「あなたが強い女だからよ」 6.「やけになってるんじゃない?」 7.「一人の時間を楽しめるようにならないとね」 8.「えり好みしすぎだからだよ」 9.「尽くしすぎ」 10.「恋の駆け引きを知らないのね」

こんな感じです。

残り17の思い違いはぜひ本書で確かめてみて下さい。

・まとめ

本書は、著者自身が文中で述べているように、長い間独身でいる人みんなにオススメしたい一冊でもあり……特に女性の気持ちに寄り添って、応援するような本です。

友人や親などから言われるこうした言葉に傷ついている人達には、ぜひ本書をお手に取って傷を癒されてはいかがでしょうか。

あなたは何も悪くない

あなたは何も悪くない

あなたは何も悪くない

ニューヨーク・タイムズの「モダン・ラブ」欄に掲載され一躍注目を浴びたコラムが書籍になり、その邦訳版が出版されました!結婚できないのは自分が悪いから、という思い違いを、まるで親しい同性の友達が優しく諭してくれるような、世界中の独身者が共感した一冊です。