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3月のテーマ 学生時代に読んでおけばよかったと思う3冊

書店員が選ぶおすすめの3冊

世の中にはあんな本やこんな本、いろんな本がある。そのテーマも十人十色。 「感 動したい本が読みたい!」「思いっきり怖い本を味わいたい」と思っても、 どんな本 を選べばいいのか分からない! とお悩みの方も多いはずでは? そんなときにあ なたの味方になるのが書店員さんたちだ。 本のソムリエ、コンシェルジュとしてあ なたを本の世界に誘ってくれる書店員。 そんな彼らに、テーマごとにお勧めしたい 本を3冊答えてもらった。

紀伊國屋書店 新宿本店 ピクウィック・クラブさんが選ぶ
学生時代に読んでおけばよかったと思う3冊

『肉体の悪魔』

選んだ理由・読みどころ



作家が若いときでないと書けない物語があるように、読者もまた若いときでないと感じ得ない衝撃があると僕は思う。そういった意味で、『肉体の悪魔』は10代の頃に読んでいたらもっとぶっ飛んでいただろうなと悔やまれる一冊だ。  
これでもかというほど一人称で書かれていて、景色はあまり意味をなさない。傷つけたのが自分なら、傷を癒すのも自分でなければならない。すべては愛するがゆえ。もっと上手い方法があるのに、そうすることができない。若さというのは後悔でさえ勘定の内なのだ。  
粗削りとさえ感じるが、それこそがこの小説の魅力であり、心に突き刺さる。

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『肉体の悪魔』
著者:レーモン・ラディゲ
出版社:新潮社
定価(税込み):420円

『フロッシー』

選んだ理由・読みどころ



基本的に、その本を読んだ時期が自分とその本との出会いの最良の時期だという考えなのだが、それでも学生時代(特に中学・高校時代)に出会えなかった事が悔やまれる本は少なからずある。その一冊が『フロッシー』だ。  
本書のヒロイン、フロッシーは十五歳。日本では中学三年生ぐらいだろうか。しかし、本書を読み進めているうちに、この際立ったヒロインが十五歳であることをいつの間にか忘れてしまう。時に何十年も経験を重ねた女性のような振る舞いをしたかと思えば、 時には生まれて間もない幼児のような振る舞いをして読者を惑わす。そしてフロッシーが、マルトやマノンのような有名なヒロインたちに比べて自分の心を掴むのは、彼女が自分では気が付かないうちに、若さと、若さに起因する無邪気なエロスと情熱を武器にしているというところだ。この無邪気さはものすごく卑怯。思わずフロッシーのお相手でもあるジャックに嫉妬してしまう。  
そして読後、中学・高校生の自分は毎日たくさんの十五歳に囲まれていたのにも関わらず、その中にきっと居たであろうフロッシーに気づかず生きてきたことに対してものすごく後悔を覚えてしまった。『砂の女』ではなく、本書が読書感想文の課題図書だったらどんなによかったことだろうか。

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『フロッシー』
著者:アルガーノン・チャールズ・スウィンバーン
出版社:晶文社
定価(税込み):1260円

『百年の孤独』

選んだ理由・読みどころ



はいド直球ですね。すいません。  
「学生時代に読んでおけばよかった本」などと言われましてもですね、学生の時分はわたくし不勉強の至りといいますか、碌に本なんて読んでなかったわけで、今思えばどの本ももっと早く読みたかったわけですが、特に当時は何故か「文学」というものにえらく苦手意識を持っていたんですね。  
思うにそれは「文学」という言葉が持っている、なーんとなく堅苦しく、ちょっと古臭く、なんだか貧乏臭い感じの響きを敬遠していたりだとか、あとは国語の授業の影響で「作者が何を言いたいのかをはっきり理解しないとダメだ」みたいな思い込みがあって、曖昧なところやはっきりしないところがある「文学」の読み方がよくわからなかった、みたいな部分もあったかもしれません。  
そんな折にですね、もし、もしこのガルシア=マルケス「百年の孤独」を読んでいたら、と思うわけですよ。  もしこの「百年の孤独」を読んでいたら、当時抱いていた「文学」にまつわるあらゆるマイナスイメージが粉微塵に吹き飛び、「文学」というものが当時ハマっていた映画やアートや漫画等と同等かそれ以上に刺激的でハイパーなものだということがたちどころに了解され、さらには国語の授業で培った読解の技術など、偉大な小説の前ではだいたい忘れてしまっていいんだ、という発見がボンクラ学生の脳裏にも閃いたんじゃないかと思うんですよ。それでその後の数年間に、今よりもっと多くの本との出会いがあったはずだと思うと悔やまれてならないわけです。    
ただまあ、なにせ当時は今よりも数倍ボンクラだったわけで、実際より早く読んでも同じようにハマれた保障はないんですけどね!

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『百年の孤独』
著者:ガブリエル・ガルシア=マルケス
出版社:新潮社
定価(税込み):2940円

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紀伊國屋書店 新宿本店
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今回ご協力いただいたピクウィック・クラブさんは紀伊國屋書店新宿本店の書店員さんたちによって結成された文学愛好サークル。
昨年4月には「ワールド文学カップ」と題した大規模フェアを展開するなど、精力的に活動中。

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