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4月のテーマ 読んでいると心が元気になる本

書店員が選ぶおすすめの3冊

世の中にはあんな本やこんな本、いろんな本がある。そのテーマも十人十色。 「感 動したい本が読みたい!」「思いっきり怖い本を味わいたい」と思っても、 どんな本 を選べばいいのか分からない! とお悩みの方も多いはずでは? そんなときにあ なたの味方になるのが書店員さんたちだ。 本のソムリエ、コンシェルジュとしてあ なたを本の世界に誘ってくれる書店員。 そんな彼らに、テーマごとにお勧めしたい 本を3冊答えてもらった。

紀伊國屋書店新宿本店 ピクウィック・クラブさんが選ぶ
読んでいると心が元気になる本

『ある家族の会話』

選んだ理由・読みどころ



 「どこかの洞窟の漆黒の闇の中であろうと、何百万の群衆の波の中だろうと、これらのことばや言いまわしのひとつさえあれば、われわれ兄弟はたちまちにして相手が誰だか見破れるはずである。」(P30より)  ファシズムの潮流に翻弄されながらも生きていく著者とその家族の半自伝的小説。無縁社会が叫ばれていた矢先、先日の震災によって「つながり」という言葉が多用され始めている。人が誰かとつながるということはものすごく難しいことで、常にべったり隣り合わせで生きていればつながっているのか、と言うと決してそういうことはない。普段めったに顔を合わせることがなく、その人が今何をしているのか把握していなくても、たった一言で時間や距離を超えることができるのであれば、それを「つながり」と呼ぶことができるのだろう。自分が生きているかぎり生き続けるものがあると気づくと自然に心が元気になるような気がする。

『ある家族の会話』
著者:ナタリア・ギンズブルグ
出版社:白水社
定価(税込み):1050円

『モッキンポット師の後始末』

選んだ理由・読みどころ



 辛いとき、元気を出すのに効果的なのは笑いではないだろうか。考え悩んでいるときも、ふと笑うことで一つの間が生まれ、呼吸を整えることができる。  そこでぜひ薦めたいのがこの本である。貧乏な苦学生三人組は生活のためにあれこれ奔走する。しかし、つい調子に乗ってしまい、ふいにしてしまう。そして、しゅんと反省こそすれどまた懲りずに企むのだ。そんな彼らの後始末をするのがモッキンポット師である。彼は風采のあがらない神父で、何故か関西弁を話し、言葉遣いも酷いけど、人が良いから結局いつも三人を助けてしまう。この四人のドタバタが微笑ましくて憎めない。何より僕には彼らが楽しんでいるように思えてならない。楽しむ、笑うって考えてみれば難しい。彼らは間抜けだけど、一生懸命生きている。その懸命さが笑いを作り出す。その力を感じてほしい。この小説は現代版『ボートの三人男』だ。

『モッキンポット師の後始末』
著者:井上ひさし
出版社:講談社
定価(税込み):550円

『雪沼とその周辺』

選んだ理由・読みどころ



 「元気を出す」ことに近道をする必要をあまり感じないので、落ち込んだ心に速攻で効いてくれる特効薬のような本は、と訊かれると、よくわかりません。正直、手に取る本は何でもいい。偶然手に取った一冊こそ、元気になるかもしれない可能性に満ちた本なのだと思います。例えばわたしにとってそれは『雪沼とその周辺』でした。〈雪沼〉という土地、その周辺に住む人々の生活を小さく、はさみで切り取るように描いたこの短篇集は、登場人物である彼や彼女たちの人生が変わる瞬間と、変わるまでの過去をとても丁寧に掬いとってゆきます。人生、といっても、そこに押しつけがましい達観はありません。この作品は、日常というものをゆっくりと眺めなおす時間をくれるとともに、心のなかにしまわれている過去や願う未来は、たとえ人生が変わる瞬間が訪れても、そう簡単に失われることはないのだということを感じさせてくれました。著者である堀江敏幸は、「復興書店」というインターネットサイトの中で、〈言葉は、いちばん最後の救援物資かもしれません。でも、いつか必ず届くと信じています。〉と語っています。

『雪沼とその周辺』
著者:堀江敏幸
出版社:新潮社
定価(税込み):380円

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紀伊國屋書店新宿本店
店内写真

今回ご協力いただいたピクウィック・クラブさんは紀伊國屋書店新宿本店の書店員さんたちによって結成された文学愛好サークル。 昨年4月には「ワールド文学カップ」、今年は「文学博覧会 ぶんぱく'11」といった大規模フェアを展開するなど、精力的に活動中。

書店情報

住所:東京都新宿区新宿3-17-7
TEL:03-3354-0131
FAX:03-3354-0275

アクセス
JR新宿駅東口より徒歩3分、 地下鉄丸の内線・副都心線・都営新宿線「新宿三丁目」B7、B8出口より徒歩1分(地下道より直結)

営業時間
10:00AM〜9:00PM


紀伊國屋書店新宿本店2F催事場で文学フェア「文学博覧会 ぶんぱく'11」が開催中! 世界各国から集められた文学作品約600点に手書きPOPとキーワードをつけ、40のパビリオンに分けて展示! 見るだけでも楽しいフェアとなっています。 開催期間:4月1日(金)〜5月31日(火) 場所:紀伊國屋書店新宿本店2F催事場

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