副業として注目を浴びるネットビジネス。その中でも、誰でもすきま時間を利用してできるということでプッシュされているのが「ネットせどり」です。
これは商品を仕入れて、ネットショップを使って仕入れ値以上で転売するビジネスのことで、ネット通販サイト「Amazon」を使うユーザーが増えています。
■Amazonを使ってネットビジネスをするなら「FBA」を使え!?
――本書はAmazonを使った「せどり」を勧める一冊で、坂本さんご自身もこのビジネスで成功をおさめました。そこでお伺いしたいのですが、このAmazon転売ビジネスをはじめたのはいつ頃のことですか?
坂本:2年ちょっと前です。「せどり」というビジネスがあるのは知っていましたが、実際にどのようにやるのか分からなくて、インターネットで調べたところAmazonを使ったビジネスがあることを知りました。
――Amazonをはじめとした、いわゆる「ネットせどり」のビジネスは副業として入られる人が多いのですが、坂本さんもそうだったのですか?
坂本:いえ、そうではないんです。会社を経営していたのですが、アクシデントで借金を抱えてしまって…。それで起死回生となるビジネスはないかと探していたところに「ネットせどり」を見つけたんです。
――Amazonの他にもネット通販ショップはたくさんありますが、どうしてAmazonが良いのでしょうか。
坂本:まずはユーザー数ですね。調べたところ、日本人は2000万人くらいが使っています。また、注文をすると翌日に配送してくれるなど、サービスも非常にレベルが高いものがあります。ネットユーザーのAmazonに対する需要度が非常に高いですね。
――確かに利用者は非常に多いですね。
坂本:直感としてこれは大きなビジネスにつながるだろうと思いました。
――サービスのレベルが非常に高いとおっしゃいましたが、具体的にはどのようなサービスがあるのでしょうか。
坂本:「フルフィルメント by Amazon」(FBA)というサービスです。これは出品を管理できるツールで、自分の商品をAmazonの倉庫に送ることで受注管理や出荷業務をAmazon側が代行してくれます。複数プランがあるのですが、私は月4900円と販売手数料のプランを使っています。
――Amazonを使った転売ビジネスについて実践されている方にお話を伺うと、在庫をどのように扱うかというところで悩んでいる方が多いです。
坂本:私はFBAを利用して管理をしています。仕入れた商品もだいたい1ヶ月で売れてしまいますし、在庫で困ったことはないですね。
――売れるものを仕入れるということですね。
坂本:そうですね。今は商品の価格がどのように変動しているのか調べられるアプリケーションがあるので、それを確認しながら仕入れます。
――商品を選ぶ際、もともと相場観がつかめている商品とそうではないものがあると思います。坂本さんの得意分野はあるのですか?
坂本:今はどんなジャンルの商品でも大丈夫ですが、最初は玩具やゲームで売り上げをのばしていました。ちょうど年末商戦の時期が重なっていたのもあったので、利益がすごいことになっていましたね(笑)。出せば売れるというような感じで、入荷しても品薄状態が続いていました。
――Amazonを使った「せどり」のビジネスを始める上で、プライシングをどのようにするかということはとても重要ではないかと思います。
坂本:他の出品者との競争もありますからね。ただ、FBAを使っていると、普通に出品されていて商品直送の方よりも、多少高値をつけていても購入される傾向があります。これは配送が早かったり、他の購入商品とまとめて送ってくれるというところで使いやすいのだと思います。
――こうしたネット転売ビジネスの最大の魅力はどこにあるとお考えですか?
坂本:いわゆるトレンドビジネスになると思うのですが、商品にトレンドがあって、そのトレンドに乗ってビジネスができることが魅力ですね。流行の商品を仕入れれば売れるというか。また、Amazonを利用する人が多い反面、そこまでこのビジネスに参入している人は少ないようにも思います。
■ビジネス成功の秘訣は“マツコ・デラックス”にあり?
――オンラインネットショップを利用した「せどり」のビジネスは、ここ数年で一気に広がりましたが、その分、競合相手も増えているのではないでしょうか。
坂本:増えてはいますが、ジャンルそのものが無限みたいなものですから、自分の得意なフィールドでビジネスをすればいいと思います。ただ、店舗ビジネスではなく、初期投資もほとんど不要ですぐにできますし、これからネットビジネスを始める人が手を伸ばしやすいことからいっても、これからも参入者は増えると思います。
――書店に行くと「ネットせどり」に関する解説本が置かれていますが、本書を執筆するにあたって、そうした本と違う特色をどのように出そうとしたのでしょうか。
坂本:まずはこうしたビジネスがあるということを知ってもらうこと、そしてそのビジネスは再現性があることを知ってもらえるように書きました。多くの人は、まだ「せどり」に対して、そんなに稼げるイメージを持っていないと思うんですね。ただ、私はそうはまったく思っていないので、そういったメッセージを伝えるように心がけました。普通のやり方をしていては儲からないよ、と(笑)
――中身を読むと、かなり自己啓発的な内容が含まれていますね。
坂本:私をどん底から這い上がらせてくれたのが、このビジネスでした。同じような境遇で悩んでいる方々に勇気を与えられたら、という想いは強いですね。
――現在はたくさんの人にビジネスのアドバイスをする立場としても活動されているそうですが、坂本さんに寄せられる悩みにはどのようなものが多いのですか?
坂本:どこで商品を買っていいか分からない、という仕入れに関する悩みは多いですね。副業ではじめる場合、漠然とした目標を持っていても細部まで詰められていないことが多いのですが、ちゃんとしたビジネスですからある程度詰めた目標を定めて、考えて仕入れをすべきだと思います。
――ネットビジネスで成功する方法については、ネット上にもたくさん情報が転がっていますよね。そういったものを鵜呑みにしてしまう人も多いと思います。
坂本:以前と比較して情報の質が高くなっているので、十分使えるノウハウはあるはずです。ただ、実際にやると違いますからね。
――そうなると壁にぶち当たってしまう人も多いのではないでしょうか。
坂本:だから、分かる人に聞いて、技術を盗んだ方がいいでしょう。その技術こそが収益につながるので。
――坂本さんが持っている技術としてはどのようなものがあるのでしょうか。
坂本:マツコ・デラックスさんの発言には注意しています。テレビ番組で「あの商品いいわよね」というと、ブームがくるんですよ。最近だと『月曜から夜ふかし』で「Yuki Yuki」というかき氷機を紹介した回があって、放送直後にものすごく売れていましたね。
――なるほど。影響力が大きい。
坂本:SNSでトレンドをリアルタイムで検索できるので、そういったものを使って「今、売れるもの」を探し続けています。
――では最後に、これからこうした「ネットせどり」をやってみようと思っている人たちに向けて、成功の秘訣を教えていただけないでしょうか。
坂本:成功の秘訣ですか…。信じることですね。世の中にはひょんなところにビジネスチャンスが転がっていて、私が見つけたものがたまたま「ネットせどり」だったということなんです。そこからチャンスをつかむには、信じて行動するだけで、「安く仕入れて高く売る」というビジネスの原点を忘れずに続けていれば収益は上がります。
これで大成功をおさめられたなんて信じられない、信じにくいと思う人も多いのですが、その分だと(成功するのは)厳しいでしょう。だから、思いきり信じてやってみてほしいですね。
(了)