解説

 投資や資産運用に熱心な人ほど「○○が儲かる」「○○がこれからいいらしい」といった儲け話に目がありません。特に不動産投資に関しては「今後不動産が値上がりする場所」がたびたび雑誌で特集されるなど、いつの時代も世間の注目度が高いトピックです。
 しかし、日本で不動産を購入するのは、ごく一部の限られた人にしかできないことですし、伸び盛りの新興国で不動産ビジネスをするのはハイリスクハイリターンの危ない橋です。リスクと初期費用を抑えつつある程度のリターンが望める場所というのは、やはりそう簡単に見つかるものではありません。
 そんな中、本書の著者で、海外不動産の専門家である岩佐直亮さんは、我々の盲点を突いた場所に、「儲かる不動産投資」のチャンスがあるとしています。

■ これから儲かる「デトロイトの不動産」

 岩佐さんが、「2年以内に買うべき」だと強く推しているのが、アメリカのデトロイトの不動産です。しかし、ご存じの通り、デトロイトと言えばかつては「モーターシティ」として栄えたものの2013年に財政破たんしています。
 そんな土地の不動産を買えというのは、いったいどういうことなのでしょうか?

■ 暴落したままの不動産がありえない価格で手に入る

   その理由の一つは不動産価格です。
 本書によると、今のデトロイトの不動産価格は、前述の財政破たんの影響で暴落したままになっており、土地つきでレンガ造りの瀟洒な家が、修繕費を入れても300万円台で手に入るといいます。これは日本では考えられないほどの安値です。
 そして、注目すべきは不動産価格が下がっているにもかかわらず、賃料はかつての大都市の面影が残り、割高だということ。つまり、安く物件を手に入れて高値で貸すことができるのです。これが、15%~35%という、デトロイト不動産の驚異的な実質利回りの源泉になっています。

■ 「巨大な廃墟」はウソ?デトロイトの今

 ただ、このままデトロイトの荒廃が進んで、ゴーストタウンになってしまうなら、いくら不動産を安く買っても仕方ありません。人のいない街で不動産ビジネスを始めても意味がないからです。
 確かに、デトロイトというと「巨大な廃墟」というイメージがついてしまっていますが、これはあまりにも乱暴な話。財政破たんした後も大部分の市民の生活はそれまでと変わりなく続き、一時はスラム化していた街の中心部も復興が進んでいます。こうした実情があるにもかかわらず、イメージだけで値段が下がったままになってしまっているのが今のデトロイトなのです。
 もちろん、デトロイトの再生が本格化したら、不動産価格はまた上昇するはず。これが、岩佐さんが「2年以内にデトロイトに不動産を買うべき」とする理由です。今すぐに動けば、利益が出る可能性が高いのです。

 本書では、デトロイトの不動産事情がさらに詳しく明かされ、儲けを出すための無駄のない投資術が解説されています。
 また、日本とアメリカの不動産事情や手続きの違いにも言及され、投資自体に詳しくない人や海外に投資することに不安がある人にとって格好のガイドになってくれるはずです。

目次情報

第1章 資産メルトダウンを乗り越えろ!
第2章 デトロイトの不動産がオイシイこれだけの理由
第3章 押さえておきたい海外不動産の基礎知識
第4章 デトロイト不動産の正しい選び方
第5章 デトロイト不動産のここに気をつけよう!
終章 10年以内に勝ち組に回ろう!

著者プロフィール

岩佐 直亮

1972年生まれ。大学卒業後、海外での生活を夢見て、オーストラリアの永住権を取得。紆余曲折を経てニュージーランドに移住。ニュージーランドでは言語学習教材制作会社でプログラム制作をしながら、翻訳者として生計を立てる。
海外で夢のような生活を送るはずだったが、実際には経済苦を経験し、幻滅する。そんな中、知人が不動産投資で資産を築き上げていくのをまのあたりにし、不動産投資に目覚める。
2007年より、アメリカでの不動産投資を開始。独自の投資スタイルを確立する。現在は、多くのクライアントにアメリカ・デトロイトの物件を紹介し、定期的な海外不動産視察ツアーや、アメリカ不動産投資に関するセミナーだけでなく、タイ、マレーシア、インドネシア投資に関するセミナーも行い、着実にファンを増やしている。株式会社ソリッドプロパティ代表取締役。
約1000人の会員を抱える「TALIA これからの海外生活を考える会」会長。