BOOK REVIEW
-書評-

 恋愛がうまくいかなかったり、そもそも女性と人間関係を作ることが苦手な人ほど、相手から「女心がわかっていない」と言われることが多いはずだ。
 しかし、そもそも「女心」とは何か、という問いに答えはあるのだろうか?

 新宿・歌舞伎町のホストクラブ「Club Romance」でカリスマホストとして名を馳せる信長氏は「いい女ほどドM」と、女性の本質的な性質が「M」であるとして、その部分を理解することで彼女たちを惹きつけることができるという。この「M」というのは、「女心」を理解するための一つのキーワードかもしれない。

■高飛車なのに「ドM」はありえるか?

 ただ、信長氏のいう「ドM」とは性的嗜好とは別もので、普段職場や学校など公の場で見せる姿とも違う。あえていうなら、性格や嗜好を超えた生物的な特性に近いニュアンスがある。
 ホストとしての経験からしても、バリバリ仕事をこなすキツい感じの女性でも、その見かけ上の「S」っぽさは本性ではない、ということは珍しくないようだ。男性優位の社会で仕事をこなしていくため、つまらない男を寄せ付けないため、女性たちはさまざまな理由で「Sの仮面」をかぶる。つまり、外では高飛車な女性が家に帰ると男性に奉仕し、無償の愛を与える「ドM」であっても不思議はない。問題は、安心して「M性」をさらけ出せる男性がいないこと。
 女性が「S」になるのは周囲の男性への失望の表れとも言えるのだ。
 だとすれば、男性に求められるのは「S」っぽさだ。それを理解し、上手に発揮して、女性の「M性」を引き出すのが「モテる男」であり、「女心がわかる男」なのである。

■男に求められる「Sっ気」とは

 では、男性に求められる「S性」とはどのようなものなのだろうか。
 それは自分勝手にふるまうことではないし、もちろん女性に暴力を振るうことでもない。繰り返すが、ここでいう「SとM」は性的嗜好の話ではない。
 信長氏によると「S性」とはひとことでいえば「男らしさ」だ。いつでも堂々としていて、自信があり、女性をひっぱっていく男らしさこそ、女性たちが心の底で求めている男性像だと氏は主張する。相手の心証を害することを恐れて言いなりになってしまう男性を、女性は本心からは信頼しないのだ。
 信長氏は本書で、女性の「M性」を解放させる男性のふるまいや考え方を具体的に取り上げ、その効果を解説している。
 意中の女性に振り向いてもらえない人、女性と信頼関係を築けない人は、容姿でも能力でも才能でもなく、男性ならではの「Sっ気」が欠けているのかもしれない。
 しかし、それらは今からでも変えることができ、信長氏はそのヒントを的確に示してくれている。

PROFILE
-プロフィール-

信長

歌舞伎町のホストクラブ『Club Romance』代表取締役、ビジネス書作家、講演活動の他、ラジオMCとしても活躍。1979年生、東京都出身、早稲田大学教育学部卒業。学生時代から家庭教師、塾講師の傍ら、ホストの道に入る。『club Romance』に移籍。これまで通算28回「ナンバーワン・ホスト」となる

CONTENTS
-目次-

  1. 第1章
    いい女はドMが9割
  2. 第2章
    いい女を惚れさせる男になるには
  3. 第3章
    女性をドMにする男はここが違う
  1. 第4章
    ビジネスでも使える究極の恋愛心理学
  2. 第5章
    ドMにするための付き合い方実践編

INTERVIEW
-著者インタビュー-

― 『いい女はドMが9割』についてお話をうかがえればと思います。なんとも刺激的なタイトルですが、信長さんにとっての「いい女」とはどのような女性なのかというのをまずはお聞きしたいです。

信長:精神的に大人で可愛げのある女性、人間的に面白い女性、前向きでポジティブな女性ですね。

― この本はどんな人に向けて書かれたものなのでしょうか。恋愛という視点以外でも役立つことが多いなと思いました。

信長:日本人男性全てに向けて書きました。特に、男女間の本質を知りたい人、ハッピーな毎日を送りたいと思う人に読んでいただきたいですね。

― “いい女はドM”というのは、ともすると誤解を招きそうな表現です。この本でいう「M」とはどんな性質を指すのかを教えていただければと思います。

信長:「M」というのは性的な意味での「M」ではなく「女性らしさ一般」についてを指しています。世の中の女性の多くはこの「M性」を持っていますが、男性側がそれを引き出せていないというのが私の意見です。

― 本書では、男性に必要とされているという「S性」について詳しく書かれています。個人的にはわかりやすく「男らしい」男性よりも、頼りなげで中性的な男性の方が最近は女性から求められているのかと思っていましたが、深いところでは女性は「強い男性」を求めているということですか?

信長:その通りです。女性は若いうちは男性の「見た目」に注目しますが、それは20代の前半まででしょう。女性は皆頭がいいので、それ以降は「見た目」以外の部分、つまり「オスとしての強さや将来性」に目が行くようになってきます。
女性が本質的に「男らしい男性」を求めてるというのは、歴史的に見ても生物学的に見ても明らかです。
翻って男性を見てみると、中性的な男性がモテるのは20代までです。それ以降はいろいろな意味で男らしさが大事になります。イメージでいうと「昭和の男」ですね(笑)。
とはいえ、見た目はいい方が「入口」は広がりますから、ルックスも諦めずに磨いていくべきだと思います。

― ホストとして人気が出る男性とそうでない男性の違いにも、この「S」っぽさは関係してきますか。

信長:ホストクラブでもナンバーワンをとり続けるような人間は、見た目的にはやはりイケメンが多いし、見た目が中性的な人間も多いですが、根っこの部分ではS性を持っています。もちろんここでいう「S性」とは男らしさですね。
これはホストを12年くらいやっている自分の結論です。
草食系ホストもいるにはいるのですが、あまり長く続かないし、女性に振り回されて疲弊する人が多いんです。

―何でも言うことを聞くのがやさしさではない、という言葉が印象的でした。男性が身につけるべき本当のやさしさとはどのようなものなのでしょうか?

信長:女性を包み込んで守ってあげるやさしさだと思います。
小さいことで女性と喧嘩になっても、怒らない。怒らずに何が正しいのかを伝えることが大事です。自分の感情をコントロールできることが必要です。

― 一見「S」っぽい女性の「M」の部分を引き出すために、男性としてはどんなアプローチをしていけばいいのでしょうか。

信長:まずは仲良くなることです。そのためにはまず自分をさらけ出すこと、自分の欠点、失敗談なども相手に伝える「自己開示」が大切になります。それによって相手もこちらに心を開くわけですから。
そして、仲良くなれたら次はいかに相手に安心をしてもらうか、を考えます。
女性にとって大事なのは安心感なので、女性を安心させたその上で、「小さいことですぐに怒らない」「必要だと思った時はしっかり怒る」など、行動も発言も男らしく振舞うことですね。

― この本で書かれている、男性の「S性」というのは、今からでも身につけられますか?

信長:もちろん誰でもできますし、今この瞬間にもできます。必要なのは「男らしくなる」と腹を決めることです。そしてこの本を3回は読むことですね(笑)。
あとは、女性と接する場数を踏むことも大切です。くれぐれも小手先のテクニックだけで女性にモテるようになるとは思わないようにしていただきたいです。

― 最後になりますが、読者の方々にメッセージをお願いいたします。

信長:日本の男性がかっこよくなって、男力がアップして、幸せなカップルが増えて、日本の出生率があがるのが自分の願いでもあります(笑)。
ホスト歴12年、誰よりも女性とふれあう経験をしてきた私だから話せることを一冊に注ぎ込みました。
ぜひ読んでみてください。そして、読んだらメッセージもいただけると嬉しいです。

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