新刊JPトップ > 特集 > 三橋貴明 『経済ニュースの裏を読め』
第1回【景気対策って具体的にどんなことをするの?】
第1回は「景気対策」! この不況をなんとかしてくれよ、国会議員の皆さん!と思っていらっしゃる方も多いと思いますが、皆さんは具体的に「景気対策」って何を知っているが知っていますか?
今回は知っていそうで知らない「景気対策」を、『経済ニュースの裏を読め!』をもとに紐解いていきます!
【景気対策は2種類ある!】
最初に押さえておかないといけないポイントは、景気対策には大別して2種類あるということです。
【金融政策】と【財政政策】です。
当たり前の話ですが、景気対策は不況の時に必要となります。
不況=世の中のお金の回りが悪くなること、と考えると、お金の回りを良くすることが景気対策の目的と言えるわけです。
では、お金の回りをよくするにはどうすればいいのか。
よく言われるのが、「日本銀行が民間銀行にお金を貸す時の金利(政策金利)を下げて、民間がお金を借りやすくする」というもの。平たく言うと、一般人がお金を借りやすくして消費をどんどんしてもらおうということです。
日銀の金利が下がれば、民間の銀行は日銀からお金を借りやすくなりますよね。すると、民間の銀行は一般市民にお金を貸しやすくなるわけです。そして、一般人がローンで家を買ったり、企業がお金のかかる設備投資などをしやすくなったりします。その結果、世の中のお金の回りが良くなる、という理屈です。
これが【金融政策】です。こういった政策金利の調整以外にも、公開市場操作なども【金融政策】に含まれます。
【最近の不況は金融対策が効かない!?】
しかし、この【金融政策】はバブル崩壊以降、ほとんど効果を発揮しなくなりました。
なぜなら、基本的にはお金を借りやすくして、そこからはみんながお金を借りるのを待つスタンスですから、「誰も借りなかった場合は効果なし」になるからです。
ここで登場するのが【財政政策】です。
現状は不況で消費は湿りがち…、このような状況下では長期金利が低いので、日本は低い金利で国債を発行し、資金を調達できます。
その調達したお金を公共事業などにまわすと、雇用が生まれたり、さらには消費が生まれ、次第に世の中のお金が回り出す、というカラクリです。
しかし、こちらも問題が起こっており、最近は頼りの国債も思ったより売れない、とかいう話もチラホラあるようです。ほかにも増税や減税も【財政政策】の中に入ります。今、話題になっているタバコ税の増税も【財政政策】ですね。
また、【金融政策】は日本銀行、【財政政策】は政府が行うということもおさえておきたいポイント! つまり、景気対策は政府と日銀が足並みをそろえてやっていくことがなにより大事なことです。