BOOK REVIEW 書評

ビジネスの場でも、私生活の場でも、相手の印象を決定づける顔の部位が「目」です。パッチリしていて、いわゆる「目ヂカラ」が強い人は、「この人なら仕事を任せられる」とか「こんな男性についていきたい」「こんな女性と付き合いたい」といった具合にポジティブな印象を受け取られやすいもの。
でも、目ヂカラの作用はそれだけではないようです。
眼科医の森岡清史さんは、日頃から目ヂカラを養っておくことで、目の酷使によって健康を損なうことであったり、ストレスによる生活リズムの変調なども対処できると考えています。
では、「目ヂカラ」をアップするにはどうすればいいのでしょうか? 日常の中で、短時間でできる対処法をご紹介しましょう。

■まぶたの疲労を取ろう

まぶたが重たそうな状態では、目ヂカラはつきませんよね。そんなまぶたの疲労はこのようにして取りましょう。

  1. 40~50℃くらいのお湯にタオルを浸し、5分ほど温める
  2. そのタオルを、目を閉じたまぶたの上に3~5分間のせる。

まぶたを温めて血行を良くすることで、疲労物質が取り除かれやすくなります。仕事中の休憩時間にも、すぐに実践できる方法ですね。ただ、1日に何度もやりすぎるとまぶたの皮膚がふやけてくる恐れがあるので、注意しましょう。

■目の周りのクマやしわ対策には?

続いて、こちらも悪印象を与えてしまいがちな、目の周りのクマやしわ。これを改善するためには、目の周りの血行を良くするマッサージが効果的だと森岡さん。
まぶたの上下には骨があり、その上にはそれぞれ主要な3つのツボがあります。

  • 眉毛の上→内側から攅竹、魚腰、糸竹空
  • 頬骨の上→内側から下清明、承泣、球后

この3つのツボを、両手の3本指(人差し指、中指、薬指)を揃えて骨の上に置いて、軽くトントンと叩きながら刺激してあげましょう。疲れたときに実践してみてください。

■スマホやパソコンでの作業に休憩時間を設けよう

また、目を休ませることも、パッチリした目にするために必要なことです。
特にパソコンやスマホを使って仕事をしている人は、目の疲労だけではなく、こんな悪影響も出てしまいがちになります。それは「近眼様状態」。近距離で長時間画面を見続けることになるため、近くにピントが合いやすくなってしまうのです。これが進行すると、近くも見にくくなる「老眼様状態」になります。
せめて1時間に1回は5分程度休憩を取り、視線を話すことが重要だと森岡さんはアドバイスしています。

『目は10秒でもっとよくなる!』(自由国民社/刊)は眼科医ならではの視点にも基づいた、10秒からはじめられる目のケアの方法について、森岡さんが解説している一冊。
目は視覚を司る感覚器としても、外から見られる際の顔の部位としても、とても重要な部分です。だからこそしっかりとケアを行うことが大切。みなさんはしっかりとケアをできていますか? もしできていないと感じることがあれば、ぜひ実践してみてくださいね。

(新刊JP編集部)

PROFILE プロフィール

森岡 清史 (もりおか・きよし)

名古屋市生まれ。浜松医科大学医学部卒業後、東京大学大学院修了、医学博士。平成7年、勤務医を経て吉祥寺森岡眼科を開設。平成11年には院内に眼精疲労治療室を設け、数少ない眼精疲労の専門医として治療にあたり、山本化学工業とバイオラバーアイマスクを開発。著書には「眼精疲労はまかせなさい」(現代書林)。数々のメディア取材歴があり、近年では、今野清志著「目は1分でよくなる!」(自由国民社)推薦文、今野清志著「目はスプーン1本でよくなる」(マキノ出版)監修など、はば広く活動している。

CONTENTS 目次

  1. 第1章
    「目ヂカラ」はこんなにいいこといっぱい!
    1. 瞳がキレイに見える
    2. 目(まぶた)がパッチリと開いている
    3. 目の周りのクマやシワが気にならない
    4. パソコンやスマホを長時間見ても疲れない
    5. 視力が落ちない ( 近視が進まない )
    6. 近くを見ていて急に遠くを見ても、ぼやけない
    7. 老眼が気にならない
    8. 眼精疲労(疲れ目) になりにくい
    9. ドライアイになりにくい
    10. ストレスを感じない
  2. 第2章
    あなたの「目ヂカラ」をチェック!
    目ヂカラチェックリスト
  1. 第3章
    「目ヂカラ」が上がる!10 秒エクササイズ
    10秒エクササイズのやりかた
  2. 第4章
    もっと「目ヂカラ」をつける!
    1. 瞳を美しくしよう
    2. パッチリ目にしよう
    3. 疲れない目を作ろう
    4. 近視、老眼を予防しよう
    5. ストレスをうまくこなそう
    6. 食事に気をつけよう
    7. サプリメントも試してみよう
    8. 普段ここに気をつけよう
    9. ツボを押してみよう
    10. 目薬を上手く使おう

INTERVIEW 著者インタビュー

■眼科医が考える「目が健康である」という状態とは

― 『目は10秒でもっとよくなる!』は森岡さんにとって6年ぶりの単著となります。執筆経緯を教えていただけますか?

森岡:6年前に出版した本は『眼精疲労はまかせなさい!』というタイトルで、眼精疲労に特化した内容で本を出しました。そして今回のテーマは「目ヂカラのアップ」です。「目ヂカラ」は美容的な意味合いで着目されている言葉ですが、この本では、眼科医の視点から、「目ヂカラ」アップの方法を考えました。
また、『目はスプーン1本でよくなる!』で今野清志先生と出会い、中医学や東洋医学を教わる機会をいただいたことも大きいですね。そして、目の周りのツボなどを熟練し、10秒でできるエクササイズを考案したということです。

― 美容的な「目ヂカラ」だけではなく、眼科医の視点から「目ヂカラ」を考えたとおっしゃいましたが、どういった「目ヂカラ」なのでしょうか。

森岡:具体的にはぜひ本を読んでいただきたいのですが、まぶたが上がっていて、目がパッチリしている。涙で潤っていて、瞳がキレイに見える。目が充血していないなどがあげられます。充血はドライアイの初期症状としても起こりますから、それがない状態であるということは、目が健康的だということです。

― この本を読むと、眼精疲労と「目ヂカラ」は関係が深いということがわかります。

森岡:そうですね。私は眼精疲労が「目ヂカラ」を弱くする大きな要因の一つではないかと考えています。睡眠時間が短かったりすると、朝から目が疲れていたり、目が開かないという状態になり、「目ヂカラ」が衰えていくということがあるのですね。

― 「目ヂカラ」を高めることで、どういったメリットがあるのでしょうか。

森岡:イキイキとしてパッチリしている目は、相手に好印象を与えます。また、目が疲れにくくなるし、かすむこともなくなる。他にも頭痛や目の奥の痛み、首こりや肩こりの改善にも良い影響を与えます。

― そもそも「目が健康である」というのはどういう状態を指すのでしょうか。

森岡:一言で言うのは難しいのですが、一番重要なのは目がかすまないことですね。どんなときでもかすまない目というのが、私が考える「健康な目」の第一の条件です。また、最近では若い人たちの老眼がすすんでいて、老眼鏡をかける人の若年化が目立つといわれていますよね。だから、その逆で老眼鏡をかけなくても大丈夫ということが、「目が健康である」ことに通じると思います。

― 本書の表紙には女性のイラストが描かれていますが、内容は男性にも通用すると思います。

森岡:そうですね。ぜひ女性だけでなく男性の方にも読んでほしいと思っているのですが、「目ヂカラ」アップのエクササイズを患者さんにも教えていると、女性のほうが継続する力があるように思います。なので、男性の皆さんにはぜひ継続することを意識してやってほしいですね(笑)。この本には、目の周りの血行を良くしたり、疲れを取る10秒でできるエクササイズを詰め込んでいます。

― 本書のどの部分から実践してほしいですか?

森岡:やはり10秒エクササイズからですね。顔の中にあるツボを刺激して、目の疲れを取るケア方法です。まったく難しくないので、毎日朝と帰ったあとの2回でもやると調子が変わってくると思いますよ。10秒を1日2回やっても20秒なので、自分の生活の中に取り込んで実践してください。

■若い人たちにも忍び寄る「眼精疲労」で目が大変なことに!?

― 森岡さんの医院は「眼精疲労」の治療に力を入れていらっしゃいますが、それはどうしてですか?

森岡:私は独立して吉祥寺で眼科を開業したのですが、眼精疲労に悩んでいる患者さんがあまりにも多いことに驚きました。さらに、眼精疲労が要因の一つとなって、視力が落ちてきている人たちがたくさんいたんです。そういった患者さんたちの悩みに向き合いたいと思い、今まで頑張ってきました。

― 特に最近は、スマートフォンやタブレットの普及で目の酷使をすることが増えました。しかし、目のケアをしている人はあまり多くないようで、20~30代の約半数が5年間で視力低下を実感する一方で普段から目のケアを意識的に行っている人は1割だというデータもありました。

森岡:肌感覚では、(ケアをしている人は)1割でも多い気がしますね。せわしい生活の中で、目のケアまで頭が回る人はそういないと思います。特に男性はそうですね。そういう人たちにもぜひ10秒エクササイズを実践してほしいですし、私自身も悩まれている患者の方々に、その人に合ったケア方法をアドバイスできればと考えています。

― 眼精疲労はなぜ起こるのでしょうか。

森岡:詳しくは前著の『眼精疲労はまかせなさい!』を読んでいただくと分かりますが、毛様体筋というピントを合わせる筋肉が疲労したり、目の周りの筋肉、眼球を動かす筋肉等の筋肉が疲労して痛みを伴うことがあります。

― そういった状況を放置するとどうなるのですか?

森岡:ストレスを溜めてしまうことになり、集中力の低下や仕事のやる気の欠如、睡眠不足につながります。ひどいときには体全体へ悪影響を及ぼしてしまうので、眼精疲労だからと放置しておくことは危険です。

― 若い人たちの診察をすることも多いと思いますが、彼らの目に疲れがたまっていると実感することはありますか?

森岡:ありますね。彼らは10代の頃から携帯電話、スマートフォンに慣れ親しんでいて、それでゲームをしたり勉強をしたりしてきています。ですが、明るいディスプレイをずっと見続けることはもちろん良くありません。そうすると10代、20代から視力が落ちてくることも十分考えられます。

― 電車の中でスマートフォンの画面をものすごく近くで見る人をみかけますが、画面と目をどのくらい離せばいいのでしょうか。

森岡:見ている内容にもよりますが、なるべく離すことです。30センチ以上は離した方が良いでしょう。ものすごい近距離で見ている人がいますが、心配になりますよ。

― 眼科医として、このインタビューの読者の皆様にアドバイスをお願いします。

森岡:この『目は10秒でもっとよくなる!』を通じて、「目ヂカラ」をアップしてほしいですね。どんな人も、スマートフォンやパソコンの画面を見ない日はほとんどないと思います。だから毎日、目のケアを意識的に実践すべきでしょう。

― では、本書をどんな人に読んでほしいとお考えですか?

森岡:今言ったように、多くの人が目を酷使しがちです。なのでパソコン作業を毎日している人、スマートフォンをよく見る人は特にエクササイズを実践ほしいですね。また、目のケアをすることで、目がイキイキして「目ヂカラ」がアップし、相手に好印象を与えられるようになります。だから、美容を気にしている女性の皆さんにもぜひ目を通していただきたいです。
(了)