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目次

第1章 
睡眠不足が認知症を招く
第2章 
眠りの常識 ウソ? ホント?
第3章 
眠る力を高める5つの法則
第4章 
悩みを解消する快眠メソッド
第5章 
1分で効く! 快眠のための
手のひらセルフケア
第6章 
理想の寝室のつくり方

BOOK REVIEW 解説

 眠らないといけないのに眠れない。眠りが浅くてすぐに起きてしまう。睡眠に対して何かしらの悩みを抱えている人は多いでしょう。睡眠がうまく取れないと、仕事のパフォーマンスが落ちたり、日常生活に支障をきたしたりしてしまいます。日本国民の20%にあたる約2000万人以上が睡眠障害を引き起こしているというデータもあり、これは深刻な問題です。

 さらにこれは、「今現在」だけの問題ではありません。「最も睡眠効率が悪かった人は、睡眠の質がよい人と比べて、初期のアルツハイマー型認知症を発症する可能性が5倍以上になる」という報告をアメリカ・ワシントン大学の研究グループがしているのです。
 アルツハイマー型認知症は、アミロイドβなどの異常なたんぱく質=「脳のゴミ」が排出されずにたまり、脳神経が壊れて徐々に脳が萎縮していく病気です。忘れ物や紛失が多くなったり、自分のいる場所が分からなくなるといった代表的な症状のほかに、発症からの寿命は約15年といわれています。最近では「ドラえもん」の声優だった大山のぶ代さんが認知症を患い、闘病生活をおくっていることで話題になりました。

 実はその脳の「ゴミ出し」は睡眠中に行われているという研究報告があります。睡眠不足で脳のゴミが蓄積されていくと、数十年後に認知症になる可能性があることが、わかってきたのです。これは年齢が若くても同じで、睡眠をおろそかにしていると認知機能が低下します。記憶する、考える、判断する、推測する、人とコミュニケーションするなどの能力が下がれば、仕事のパフォーマンスにも影響します。

 では、ぐっすり眠れるようになるにはどうすればいいのでしょうか。

 快眠セラピストの三橋美穂さんの著書『脳が若返る快眠の技術』(KADOKAWA/刊)によれば、快眠を得るには以下の5つの法則を満たすことが大事だと言います。

法則1:
夜、暗くなったら眠る
法則2:
疲れたら眠る
法則3:
深部体温が下がると眠る
法則4:
リラックスしていると眠れる
法則5:
睡眠環境が快適

この5つの法則を通して特に注意すべき点、実践したいポイントを2つ、ピックアップしてご紹介しましょう。

(1)眠くないのに寝床に入ってはいけない

 「午後10時から午前2時は睡眠のゴールデンタイム」という話を聞いて、午後10時に寝ようと思って試したことがある人はいるでしょう。  しかし、眠気がない状態で無理に寝床に入っても眠れるはずがありません。逆に眠れないことで頭がいっぱいになり「今日も眠れない…」となると、余計に眠れなくなってしまいます。  こういうときは、朝、起きる時刻だけを決めて、眠くなるまでは寝床に入らないようにしましょう。

(2)睡眠日誌で自分の眠りを観察しよう

 眠りを改善するには、自分がどんなリズムで寝ているのか、いつ眠気を強く感じるのかなど、客観的に知ることが大事です。  そこでおすすめなのが、「睡眠日誌」をつけること。  「寝つきが悪い日は、起床時間が遅かったり、夕方うとうとしてしまっていた」「食事の時間が遅かった日は夜中にたびたび目が覚めた」など、眠れたときと眠れなかったときの原因が把握できるようになり、自分に合った快眠法のヒントを見つけることができるはずです。

 「良い睡眠を取る方法」についての情報はたくさん世に出回っています。しかし、実践しても結局改善できず、諦めてしまったという人も少なくないはず。
 三橋さんは本書の中で、基本となる「眠るための5つの法則」の必要性を訴えた上で、さまざまな快眠メソッドを取り上げています。今まで取り組んできたことがあまり効果なく終わっていたのは、「そもそも」の段階で間違えていたからかもしれません。
 良い睡眠をとり、イキイキとした毎日をおくりましょう。
 (新刊JP編集部)

PROFILE プロフィール

三橋 美穂

快眠セラピスト、睡眠環境プランナー。
寝具メーカーにて商品開発や枕のアドバイザー育成、マーケティング、研究開発部長を経て、2003年独立。質の高い眠りと快眠のためのノウハウをあらゆる面から研究し、キャリア20年の中で、1万人以上の眠りの悩みを解決してきた。
講演や執筆、個人相談のほか、ベッドメーカーのコンサルティングやホテルや旅館の客室コーディネートなども手がける。とくに枕は、その人の頭を触っただけで、どんな枕が合うかわかるほど。著書に『驚くほど眠りの質がよくなる睡眠メソッド100』(かんき出版)ほか多数。
実践的でわかりやすい快眠メソッドが支持を集め、TBSテレビ『あさチャン! 』『ひるおび! 』、日本テレビ『スッキリ!!』、NHK『おはよう日本』『サキどり↑』などテレビ出演も多く、これまでに1500件以上のメディアに登場。また、全国での講演活動も精力的に行なっている。
日本睡眠学会正会員、日本睡眠環境学会正会員。