BOOK REVIEW

書評

 これから冬の時期にかけて増える病気があります。それは「季節性うつ」。季節性情動障害とも言われ、日照時間が短くなることが要因の一つとして考えられています。
 何かと心が揺れてしまうこの季節、気持ちを整えながら毎日を過ごしたいものですよね。

 『アドラー流 心のダイエット』(佐藤綾子/著、集英社/刊)には、心理学者アルフレッド・アドラーの心理学メソッドを応用した、30日間で新しい自信と勇気を手に入れるレッスンが書かれています。
 アドラーによれば、幸福を手に入れるには「自信」「勇気」「リラックス」の3つのバランスが大事であり、その3つのどれも欠けてはいけません。本書ではこの3つの要素を万弁なくカバーしており、「初級」「中級」「上級」という3つの段階を踏んで、心を健康にする方法を紹介しています。
 今回は「初級レッスン」10個の中から3つをピックアップしましょう。

■レッスン3:自分がつぶやく言葉を「よくやったね」に変える

 自分で自分をほめる機会はありますか? 人がほめてくれるときは、だいたい自分の努力が結果となって良い方向に進んだとき。努力をしても失敗をしてしまえば誰もほめてはくれません。でも、とことん努力することは素晴らしいこと。もし上手くいかずに誰にもほめられなくても、自分だけは自分をほめてあげてみてはいかがでしょうか。ほめられると自信がわくのが、人間なんですから。

■レッスン5:嫌なときほどユーモアを

 悪口を言われたり、嫌なことをされたりしたとき、攻撃的な言葉で応戦してしまうのが人間です。でも、そうするとさらに関係がこじれてしまい、よりイライラする展開になってしまいます。
 そんなときはこう考えましょう。どんな出来事も一瞬一瞬で、すぐに「過去」になります。「過去」に捉われているのは格好悪いもの。もし嫌なことがあっても、ちょっとしたユーモアでその場を和ませ、その後どうするかを考えましょう。

■レッスン10:寝る前に「いいことノート」を書く

 夜寝る前、その日あった嫌なことや不安なことを思い出して眠れなくなってしまうことはないでしょうか。
 こんなときは、「いいことノート」をつけてみましょう。これは寝る前に、実際にあったいいことをひとつだけ書き出してみるのです。それは「たまたま寄ったスーパーの弁当が半額になっていた」というような小さなことでもいいのです。書くという動作によって、いいことが頭の中に定着し、その文字を読むことで強く記憶されます。

 この「初級レッスン」では自分の欠点を長所に言い換えられるようになることが目的です。そう、「自信をつける」ための作業なのです。他人を許せる人は、自分も許しているという話は聞いたことがあるでしょう。自分を好きになることは、周囲にも良い影響を及ぼすのです。
 続く中級では「人と上手につながる」、上級では「今のままでできることをやってみる」というテーマがあり、それぞれ勇気とリラックスを学ぶことができます。

 心を壊しては元も子もありません。心身ともに健康でいることは、日々を送る上で大切なこと。本書はそうした毎日を作り上げるためのサポートをしてくれるはずです。

(新刊JP編集部)

BOOK INFO

書籍情報
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30日間で生まれ変わる!アドラー流 心のダイエット

定価 :

1,200円+税

著者 :

佐藤 綾子

ISBN :

408786054X

ISBN :

978-4087860542

佐藤 綾子(さとう・あやこ)

長野県生まれ。1969年信州大学教育学部卒業。上智大学大学院、ニューヨーク大学大学院修了。日本におけるパフォーマンス学の第一人者として活躍。日本大学 芸術学部教授、博士(パフォーマンス学・心理学)、国際パフォーマンス研究所代表、日本カウンセリング学界認定スーパーバイザーカウンセラー。
「自分を伝える自己表現」をテーマにした著作は180冊以上。近著に『非言語表現の威力―パフォーマンス学実践講義』『カウンセラーのためのパフォーマンス学』など。「佐藤綾子のパフォーマンス学講座(R)」主宰。

CONTENTS

目次
  1. 序章
    まずはあなたの「心の健康診断」
  2. 第1章「初級レッスン」
    欠点を長所に言いかえる
    1. 「ないものリスト」より「あるものリスト」が大切
    2. 一度の失敗であなたの全体評価は下がらない
    3. 自分がつぶやく言葉を「よくやったね」に変える
    4. 「変わってるね」と言われたら「素敵ね」と受け止める
    5. 嫌なときほどユーモアを
    6. 自分の欠点を知っている人のほうが良いパートナーに恵まれる
    7. 自分を好きになれば他人のことも好きになれる
    8. ひとりに傷ついても他の人に傷つくとは限らない
    9. 「大きな失敗もなく過ごすことができました」は成功じゃない
    10. 寝る前に「いいことノート」を書く
    11. 第1章おさらい 言いかえワークショップ
  3. 第2章「中級レッスン」
    人と上手につながる
    1. 「誰かのせい」で困っているのではない
    2. 人に喜びのシャワーをあげたら、あなたにも喜びが返ってくる
    3. どんな小さいチャンスでも「ありがとう」を言う
    4. 相手の目を見て、話を熱心に聞いて、あいづちを打つだけで愛される
    5. 思わずきつい言葉がロから出てしまったら、早く謝ろう
    6. 噂話に飛び乗らない
    7. 話す前に「これは相手に役立つかしら」とチェックしてみる
    8. 友達に一方的にしがみつかない
    9. できないことを頼まれたら心を込めて「ノー」と言う
    10. メールの代わりにメッセージカードを書いてみる
    11. 誰かの誕生日を覚えておく
    12. 食事に誘われたら、とにかく行ってみる
    13. 相手の欠点が気になったら、長所に置きかえてみる
    14. 相手に何かしてあげて、お礼を言われなくても気にしない
    15. 自分を裏切った人を許す
    16. 第2章おさらい 言いかえワークショップ
  1. 第3章「上級レッスン」
    「今のままでできること」をやってみる
    1. 雨の日でもクヨクヨしない
    2. 全身を使って部屋の片付けをする
    3. 鏡をキレイな布で拭いてピカピカにする
    4. 明日の服を選んでから寝る
    5. 夜の簡単ストレッチをして、短くてもよく眠る
    6. 簡単な料理を作ってみる
    7. 自分の愚痴で人の時間をつぶさない
    8. 一日に10回でも鏡を見て「いい表情」をする
    9. 部屋にアロマをひと吹きして深呼吸する
    10. お風呂で気持ちよくストレッチをする
    11. 寝る前に「問題」を考えない
    12. 失敗したことを繰り返し思い出さない
    13. 部屋の中で悩むより外に出よう
    14. ウォーキングはたくさんの悩みを消してくれます
    15. ちょっと遠回りでも、いつもと違う道を歩いてみよう
    16. 高級品より「似合うもの」が大事
    17. ヨガは3ポーズでも効きます
    18. 聞いても歌っても弾いてもいい、音楽と仲良しになる
    19. 「いつもの景色」の中で、びっくりを見つける
    20. 1杯のコーヒーを味わって飲む
    21. 「スキマ時間」を素敵な時間に変える
    22. 何かを習いたかったら、すぐに始めよう
    23. 新しいことにビビらない
    24. 自分が一番キレイに見えるヘアスタイルと表情を決める
    25. 行きたくない二次元を上手に断る
    26. お気に入りのパジャマを見つける
    27. 気づいたら肩回しをする
    28. 知らないことは書いて覚える
    29. プレゼントは大切に受け取る
    30. 相手の記念日をお祝いする
    31. 第3章おさらい 言いかえワークショップ
  2. 第4章「まとめ」
    仕上げの読むサプリ
    1. 自分の人生の主人公は自分(主体性)
    2. 人はみんな誰かと手をつないで生きている(共同体感覚)
    3. 小さなことでも人の役に立つことで幸せを感じる(貢献)
    4. 困難からの脱出にエネルギーを向ける(勇気づけ)
    5. 人生は困難、でも必ず何とかなる(楽天主義)
    6. おわりに 人間は不完全でいい
    7. 書いて夢をかなえる「1年後の自分シート」

INTERVIEW

著者インタビュー
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