1年目から無理なく年収1000万円稼ぐ 起業1年目の教科書

解説

 多くのビジネスパーソンにとって起業とは、いつかは挑戦したい野望であり、自分の培ったアイデアや仕事力を試す大勝負の舞台だろう。
 いずれくるその時のために密かに構想を練っている人、適切な起業のタイミングを見極めようとしている人、資金をとにかく貯めようとしている人、どんな段階であれ、起業の成功を目標に掲げていることには違いない。

 ただ、当然ながら全ての起業が成功するわけではなく、やはり生き残る方が少数だという現実がある。その少数に食い込むためにも、どんな起業が成功し、どんな起業が失敗するのかを頭に入れておくことは大きな意味があるだろう。

 本書の著者で、起業家支援の分野で実績のある経営コンサルタント・今井孝氏は、起業がうまくいかないケースの共通点として、「起業とはハードルの高い大きなチャレンジだ」という起業家の思い込みを挙げている。
 この思いこみによって、自分の能力を超えた無謀なチャレンジをしてしまったり、反対に恐れから行動できなくなってしまうということが起こるのだそうだ。

 しかし、実際にスタートアップを成功させているのは、特別な天才でもなく、異常なまでの体力を持つわけでもない「普通の人」。起業は特殊な才能が必要なわけではない。
 それどころか、今井氏は「斬新なアイデア」も「リスクを取ること」も「ビジネスモデル」すらも、起業の段階では必要がないとまで言い、その代わりとして「起業における大目標と、日々こつこつ行う小さな一歩を結びつける思考」の不可欠さを説いている。

 「ノウハウ」ではなく「思考」であるため、起業の準備にも、商品やサービスの企画にも、マーケティングにも、起業に関するすべてに関係してくるが、一体どのように関係してくるのか。本書では、起業の準備段階からビジネスを軌道に乗せるまでの各段階において、この思考をいかに体現していくかを解説している。

 たとえば「商品開発」や「価格設定」、「チームづくり」。
 これらについても、最適解は必ずある。それにどうやって近づいて探り当てるのか。起業を考えている人であれば、本書から学ぶところは多いだろう。

目次

  • はじめに
  • 第1章 起業を思いついたら

  • 起業1年目から成功する人は、ありきたりのアイデアでスタートする
  • 起業1年目から成功する人は、なんでもいいから「最初の1歩」を踏み出す
  • 起業1年目から成功する人は、夢はなくてもいい
  • 起業1年目から成功する人は、リスクを取らずにスタートする
  • 起業1年目から成功する人は、最初は目移りしていい
  • 起業1年目から成功する人は、世の中に求められているか気にしない
  • 起業1年目から成功する人は、ビジネスモデルは後から考える
  • 起業1年目から成功する人は、身近な人は応援してくれないものと考える
  • 第2章 起業までの準備

  • 起業1年目から成功する人は、まず時間を確保する
  • 起業1年目から成功する人は、今の仕事を8割の時間で終わらせる
  • 起業1年目から成功する人は、お金の不安を最小化する
  • 起業1年目から成功する人は、テスト用の予算を用意する
  • 起業1年目から成功する人は、今の会社でテストする
  • 起業1年目から成功する人は、いつでも復活できる条件を作る
  • 起業1年目から成功する人は、退職するまでに伝説を作る
  • 第3章 ビジネスプランを立てるには

  • 起業1年目から成功する人は、5分で目標を仮決めする
  • 起業1年目から成功する人は、わがままな目標を立てる
  • 起業1年目から成功する人は、愛のある売上目標を立てる
  • 起業1年目から成功する人は、おおらかにお金の流れを見る
  • 起業1年目から成功する人は、数字に弱くていい
  • 起業1年目から成功する人は、お金以外で安心を手に入れる
  • 起業1年目から成功する人は、失敗の回数を決めてスタートする
  • 起業1年目から成功する人は、考えが堂々巡りしてもいい
  • 第4章 商品をつくるには

  • 起業1年目から成功する人は、お金をかけずに試作してみる
  • 起業1年目から成功する人は、オリジナル商品にこだわらない
  • 起業1年目から成功する人は、絞り込めなくてもよい
  • 起業1年目から成功する人は、商品開発に他人を巻き込む
  • 起業1年目から成功する人は、最初は「将来の自分」を売る
  • 起業1年目から成功する人は、スキル不足を回数で補う
  • 起業1年目から成功する人は、ウリがなくても始める
  • 第5章 価格を設定するには

  • 起業1年目から成功する人は、自分の都合で価格を決める
  • 起業1年目から成功する人は、商品を提供するのではなく、価値を感じてもらう
  • 起業1年目から成功する人は、価格を上げる理由をコツコツ作る
  • 起業1年目から成功する人は、値引きはいつでもできると知っている
  • 起業1年目から成功する人は、安い値段でも最高の仕事をする
  • 第6章 マーケティングとセールスを行うには

  • 起業1年目から成功する人は、まず仲間を増やす
  • 起業1年目から成功する人は、最初の1件を大事にする
  • 起業1年目から成功する人は、接近戦に持っていく
  • 起業1年目から成功する人は、商品がなくても情報発信する
  • 起業1年目から成功する人は、最初は効率を度外視して集客する
  • 起業1年目から成功する人は、ITに弱くてもいい
  • 起業1年目から成功する人は、反応を正しく把握する
  • 起業1年目から成功する人は、健全な下心を持つ
  • 起業1年目から成功する人は、100点が無理なら部分点を稼ぐ
  • 起業1年目から成功する人は、売れている人をバカにしない
  • 第7章 成功する起業家の時間術

  • 起業1年目から成功する人は、最初はあえて限界まで忙しくしてみる
  • 起業1年目から成功する人は、1日を記録する
  • 起業1年目から成功する人は、やる気のない前提で1日の計画を立てる
  • 起業1年目から成功する人は、今日1日の仕事に集中する
  • 起業1年目から成功する人は、地味な作業から価値を生み出す
  • 起業1年目から成功する人は、準備の時間を減らしていく
  • 起業1年目から成功する人は、情報をスピード処理する「箱」を持つ
  • 起業1年目から成功する人は、エネルギッシュに働ける時間を増やす
  • 第8章 チャンスを最大限に活かす

  • 起業1年目から成功する人は、チャンスにはまず乗ってみる
  • 起業1年目から成功する人は、お金を使う基準を持つ
  • 起業1年目から成功する人は、1割の成功を活かす
  • 起業1年目から成功する人は、「必ず元を取る」と決める
  • 第9章 起業家のチームづくり

  • 起業1年目から成功する人は、「助けてくれる人リスト」を作る
  • 起業1年目から成功する人は、応援をしっかり受け取る
  • 起業1年目から成功する人は、有力者にかわいがってもらう
  • 起業1年目から成功する人は、売れてないときから人に任せる
  • 起業1年目から成功する人は、こだわらずにチームを作る
  • 起業1年目から成功する人は、人に頭を下げる
  • あとがき

著者プロフィール

今井 孝

1973年大阪生まれ。大阪大学大学院卒業。
大手IT企業に約8年在籍し、新規事業を成功させる。
独立後に始めたセミナーには9年連続で毎回300人以上が参加。
トータルでは5,000人以上になる。
また、マーケティングに関するさまざまな教材が累計3,000本以上購入されるなど、3万人以上の起業家にノウハウや考え方を伝え、最初の一歩を導いた。

誰にでも分かりやすく、行動しやすいノウハウと伝え方で、「今井さんの話を聞いたら安心する」「自分でも成功できるんだと思える」「勇気が湧いてくる」と、たくさんの起業家に支持されている。

しかし、自身は起業当初はセミナーを開催しても閑古鳥が鳴き叫ぶことばかり。数百万円を投資して制作した商品はほとんど売れず、部屋を占領する在庫の山に。ネット広告につぎ込んだ資金は一瞬で消えてしまい、胃の痛みと闘いながらの「起業1年目」は散々なものだった。

どん底から脱するきっかけは、他人に貢献するためにビジネスを楽しむことだった。そのことを、さまざまな切り口から伝え続けている。