インタビュー
著者プロフィール
マリーシア ガーデン クリニック院長
幼少時の数年間を英国で過ごし、ホームドクター制度に影響を受ける。一人の医師が継続して総合的に患者を診ることの有用性に着眼し、幅広い医療知識と各専門医との人脈を要する顧問医としての研鑽を積む。会員制医療組織にて経営者を中心とした契約者の総合的な相談を受け、最善の医療を受けるためのサポートに従事すると同時に、そのノウハウを家庭医学書として紹介した「標準治療」(日本医療企画)では初版から分担執筆、総編集を手がける。インターネットでの医療相談、執筆原稿多数。
日本医師会認定産業医。日本抗加齢医学会専門医。
書評
今、世の中には「コミュニケーション」という言葉が溢れている。
携帯電話やパソコンでのメールのやり取りなど、いつでも簡単に、誰とでもコミュニケーションが取れるようになった。携帯電話はいつでも本人に直接つながるし、メールは自分の都合の良い時に送れば良い。聞くことも話すことも、簡単にできるようになった。
しかし、相手の表情や感情が見えない道具を使ったやりとりが増えることによって、より人とのコミュニケーションを難しくしているのではなかろうか。伝えることを言葉のみに頼むと、その言葉を「聞く」方も誤解釈してしまう可能性が大きくなる。
本書はコミュニケーションにおいて最も重要な部分、「聞く」ことの重要性を説き、「聞き上手」になるための技術や心のあり方を、内科医として多くの患者さんの診療をしてきた医者の経験から教える一冊ある。
なぜ「聞く」ことが重要なのか。それは「話す」ことのきっかけを作るのは「聞く」ことだからである。相手の話を聞くということは、ただ声を聞くだけではなく、相手の目を見て、どんなことが言いたいのか、言葉の発し方や表情から相手を理解しようとすることだ。会話の第一歩は「聞く」ことで、それが「話す」きっかけになる。コミュニケーションの目的とは、単なる情報のやりとりではなく、他者との心のつながりなのだ。
本書は1つの項目ごとに最後の部分に処方箋として、その項目のまとめが一言で記載されている。一つずつ身につけていって「聞き上手」を目指したい。
(新刊JP編集部)