BOOK REVIEW

- 書評 -

目の前の課題や仕事に楽しく取り組んでいると奇跡(ミラクル)がやってくると説く西智彦さんは、『奇跡を呼び込む力』(PHP研究所/刊)の著者です。西さんは大学時代のアメリカ留学経験を活かし、26歳で海外専門旅行会社JSTを設立しました。以来、37年にわたって事業運営に携わっている、現役の企業経営者です。
西さんは本書を「人生は、奇跡(ミラクル)の積み重ねです」という言葉ではじめ、「小さな微笑ましい幸運(奇跡)に感謝していくと、誰にでも大きな奇跡が起こる。」と結んでいます。

そんな西さんの数ある奇跡(ミラクル)物語の一端を紹介しましょう。

1994年1月11日、名古屋の街で東京のキー局を含む11局のテレビ局が入り乱れ報道取材合戦が行われました。それは「ついに海外旅行が1万円を切った」というニュース。その仕掛人が西さんなのです。その日は一日中この話題が何度も全国のテレビで放映され、広告費用に換算すると数億円にもなったそうです。

前年の11月末、ハワイに滞在していた西さんは、現地で流れていた日本人向けのテレビニュースで「銀座の衣料品店が980円のスーツを販売」という情報を目にします。「こんなことでニュースになるのか。じゃあ我々は、もっと面白いことができる」と西さんは帰りの飛行機のなかで9800円グアムツアーの計画を立てたのです。

当時の西さんは、パーティなどに呼ばれて調子に乗せられては、その場でハワイ旅行をプレゼントし、その数は年間で30本にものぼったといいます。そこで西さんは1年間プレゼントをやめ、1度に30本まとめてあげることを考えました。しかし無料ではニュースにならないので、グアム9800円、香港18800円、ハワイ19800円などと値段をつけ「JST創立15周年感謝価格」として企画したのです。

企画の告知のためテレビ局、新聞社、雑誌社などマスコミ50社に取材依頼レターを送りましたがほとんど反応はなく、取材に来たのは読売新聞中部本社1社だけでした。しかも名古屋では中日新聞以外の新聞は影響力が小さいので、西社長は反響を期待しなかったといいます。ところがこれが大きな奇跡の始まりでした。

このイベントの前日、朝7時半に西社長の自宅に故郷の友人から「今JSTが全国ネットのテレビ番組に出ている」と連絡があったのでテレビを見ると本当に出ています。取材に来た読売新聞中部本社が記事を全国に配信し、1000万部数を誇る首都圏読売新聞にたまたま3面記事が少なく、その穴埋めの囲み記事として9800円グアムツアーが掲載されたのです。
それを「今日の朝刊からの話題」としてテレビ番組が取り上げ、しかもその番組の司会が「これは面白いから私共の番組は取材に行きます」と番組で口走りました。この言葉が番組を見ていた他局のプロデユーサーを刺激しました。このような経緯もあって、朝会社に行くとすべての電話が鳴っていました。奇跡の報道取材合戦の始まりです。

小さな幸運が連なり、そして予期しない大きな幸運に膨れ上がっていくのです。これを西社長は「奇跡(ミラクル)」と呼びます。

本書で紹介されているいくつものエピソードを読むうちに「もしかしたら自分は、奇跡を見逃していただけなのかもしれない」という気がして元気が出てくることでしょう。

(新刊JP編集部)

BOOK INFO

- 書籍情報 -
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奇跡を呼び込む力

定価 :

1,400円+税

著者 :

西 智彦

ISBN :

4569828248

ISBN :

978-4569828244

西 智彦(にしともひこ)

1953年鹿児島県沖永良部島生まれ。甲南大学経営学部卒業。
1979年海外専門旅行会社、株式会社ジャパンスタデイツアーズ(現JST)を設立、代表取締役社長に就任し、現在に至る。「世界で一番お客様と親しい旅行会社」を目指し、「お客様は恋人」「旅のホームドクター」「楽しくなければ会社じゃない、楽しくなければ仕事でない」を実践、リピーターおよび紹介客で売上80%を実現。「思いは必ず叶う・諦めなければ」で、数々の奇跡(ミラクル)を呼ぴ込んでいる。超ポジテイブ思考の経営者。

CONTENTS

- 目次 -
  1. 第1章|子ども時代に養った奇跡体質
    1. 台風の夜
    2. 敬天愛人の精神
    3. 出身地に愛着を持つ
    4. 初めての旅は祖母の家
    5. IQよりもEQが大事
    6. 島で1軒の書店
    7. 考えて工夫すれば何でもうまくいく
    8. 知らない世界、鹿児島へ上陸
    9. 熱意があれば必ず説得できる
    10. チャンスがあれば飛び込め
    11. さらに広い世界に出る
    12. 見えない力や運命に感謝する
  2. 第2章|旅は学びの原点
    1. 楽天的な人に奇跡は起こる
    2. 楽しいかどうかが判断基準
    3. 北海道ドライブ旅行
    4. 早起きは奇跡の元
    5. 知っているのと、体験したのでは大違い
    6. 下宿闘争同盟
    7. 自分の評価は他人が下す
    8. 目的を変えれば、人は動く
    9. 騒がず、運命を受け入れる
    10. アメリカへ留学
    11. 旅行客をディズニーランドへ連れて行く
    12. 自然の力と人の力
    13. ボランティア精神のホームピジット制度
    14. アメリカ一周グレイハウンドの旅
    15. アメリカとメキシコの国境線
    16. キーウエストでの感動
  1. 第3章| 天職を見つける
    1. いきなり支店長の仕事をする
    2. オーバーブックで苦情の嵐
    3. 2年11カ月で退職
    4. 社名を考える
    5. 一等地・栄にビルを借りる
    6. お客様は恋人
    7. 旅のホームドクター
    8. 留学成功の秘訣
    9. 感受性を豊かに保つ
    10. 運命の流れに沿って生きる
  2. 第4章| ミラクルメーカーと呼ばれて
    1. ワイキキサンセットとの出会い
    2. コンドミニアムを次々と購入
    3. 未練を残さず諦める
    4. 二人の経営者との出会い
    5. ネーミングで売上倍増
    6. オーストラリアウエディングの実現
    7. 9800円のグアムツアーを企画
    8. 二度の東京進出
    9. 米国同時多発テロの試練
    10. 視点を変えてポジティブに
    11. きっかけはいつも人
    12. 盛和塾の教え
    13. 縁が生み出す大きな奇跡
  3. 第5章| 奇跡は誰にでも起きる
    1. 変化にどう対応するか
    2. 人間にしかできないこと
    3. マイナス用語は使わない
    4. 仕事イコール人生
    5. 若い感性を大事にする
    6. 「無欲の欲」で奇跡を起こす
    7. 現実に満足する
    8. おわり

INTERVIEW

- 著者インタビュー -
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