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アマゾンへのリンク 400円のマグカップで4000万円のモノを売る方法―「儲けの仕組み」が、簡単にわかる!

「儲けるなんて、簡単よ」 つぶれかかったカフェが、3年後には年商10億円の会社に!

解説

 勤めている会社から独立したい、いつか夫婦で喫茶店を開きたい、ラーメン屋をやるために今は修行しているなどなど、自分でビジネスを立ち上げることを夢見る人は多いはず。
 でも、飲食店を例に挙げると、開店して2年以内に半分が潰れ、10年で90%が潰れると言われています。他の業種にしても、生き残っていけるのはごく一部の会社だけでしょう。

 この「ごく一部」に入るためには、「おいしいものやいい商品・サービスを提供しつづけていれば、自然に顧客はついてくる」という考えを抜け出さなければなりません。たとえば、スイーツの世界で成功を収めているあるパティシエはこんなことを言います。
 「美味しいものをつくるのは当たり前。同じ材料を使えば、どんな店でもそこそこ美味しくはできる」
 つまり、ビジネスとしての成功を目指すならば、「味」では他店との決定的な差別化は難しいということ。そう、飲食業に限らず、「儲ける」ために必要なのは、「商品の質」以上に、顧客を呼び込み、定着させ、継続的にお金を使わせる「仕組み」なのです。

成功を収める住宅会社の見た目は「雑貨屋」

 本書は、成功しているビジネスの「仕組み」を取り上げることで、「儲かる仕組み」を考える手助けをしてくれます。
 象徴的なのが、「400円のマグカップで4000万円のモノを売る」というタイトル。実はこれも、愛知県のある住宅会社を成功に導いた「仕組み」なのだそうです。

 この住宅会社は、一見するとかわいらしい雑貨や家具を取りそろえたおしゃれな雑貨店にしか見えません。実際にそのお店は地元の女の子に人気があり、「こんな家具や雑貨に囲まれて暮らしたい」「結婚したらここの家具が欲しい」という人が多いのだとか。

 そんなお店ですから、新卒採用の説明会には女子学生で盛況です。この会社の仕掛けはここから始まります。説明会の帰りに「お母さんに渡してください」といって400円ほどのマグカップと、雑貨店の半額券を渡すのだそうです。
 こうしてお店の認知を広めつつ、お店にやってくる若い女性客にはスタッフが徹底してコミュニケーションを取ります。客層的に結婚が決まっていたり、結婚を控えている人が多いため、自然にお客さんの目は陳列している家具に。しかし、奇妙なことに売りものであるはずのその家具を、この会社は「買わなくていい」というのだそうです。

「家具」から「家」へ 顧客の関心をすり替える

 そして、その代わりのように、自社のモデルハウスにお客さんを連れていき、こんな説明をします。
 「ご覧ください、いずれ家を建てたときに、家にあわせて造り付けにしたほうが間取りにぴったりだし、地震対策にもなるんですよ。だから今は無駄な家具は買わないでください」
 実はここで、お客さんを「家具」から「家」に誘導しているのです。そこからスタッフは家具よりも家についての話をします。結婚する直前や直後のお客さんは「マイホーム」への関心が高いため、早いうちからマイホームを持つことの経済的なメリットを説明するとその気になりやすいようです。そこで、ローンなどお金に関するセミナーに招待して、両親も巻き込んでいくと、マイホーム購入の話が具体化しやすいばかりか、実家のリフォームなどの受注にもつながるといいます。

 多くの住宅会社が、顧客をモデルハウスに呼び寄せることに苦心する中で、この会社の「仕組み」は一風変わっていますが秀逸です。通常、住宅会社のターゲット顧客は「小学校入学前の子どもがいるファミリー」なのですが、この会社はこの方法によって「新婚建築」という新しい市場を創り、大手住宅会社と競合することなく利益を上げているといいます。

 利益を上げているビジネスの裏側には必ず優れた「仕組み」があります。
 本書では、閑古鳥の鳴くカフェが再生するまでの物語を通して、その「仕組み」を作るためのポイントと、成功例を解説。
 起業を志す人にとって、ビジネスの根幹を身につけることのできる参考書になってくれるはずです。

目次

序章
「三重苦」のカフェ
第1章
はちみつと宝石。儲かるのはどっち?
第2章
知らず知らずのうちにお客さんがお金を 払ってくれる仕組み
第3章
コーヒーカップ1個で家を売る方法
第4章
お客さんをとことん活用してみんなが幸せになる仕組み
第5章
小さな会社が勝つ方法
最終章
「儲けるなんて簡単よ」

著者プロフィール

著者近影

髙井 洋子(たかい・ようこ)

株式会社CARITY代表取締役社長。横浜出身。
経営者として任された家具の販売会社を3年で事業拡大、オリジナル家具販売のフランチャイズ化、さらにオリジナル住宅販売、リフォーム事業などを手掛け、立上げから3年でグループ年商70億円を達成。その後、経営コンサルタントに転身、2012年に優秀なブレーンとともに会社を設立、代表取締役社長に就任し、現任。
現会社の経営の中心である中小企業の経営者を対象にした「ビジネスモデル塾」は高額にもかかわらず人気で、3年ですでに34期を開催、全国500社を超える多くの中小企業経営者が通う行列のできる講座となっている。現場感覚を持ち込んだビジネスモデル構築や戦略、戦術策定の指導、アドバイスを行い、V字回復した会社も数多く、中小企業の現状打破、業績向上に貢献。
世の中のビジネスモデルを分析し、どのように儲けているかを検証するのが趣味で、この本の主人公と同様、「儲けるなんて、簡単よ」が口ぐせ。