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知ってトクする! 年金の疑問71 井戸 美枝 老齢年金、遺族年金、企業年金、老後破綻の不安に備えるためにも知っておきたい年金のこと

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人気社労士がすべての疑問に答えます!

解説

 今の若い世代にとって共通の心配事といえば、何といっても「年金」です。
 現行の年金制度がいつまでもつか、というのはしきりに話題にされていますし、受給できたとしても今の受給者よりも減額されたり、支給開始時期がさらに遅れるのではないかというのは、もう予想の域を超えて定説になりつつあります。
 「払うだけ払わされて、受給はわずかなのでは?」
 「というか、本当にもらえるの?」
 などなど、年金にまつわる疑問はつきません。
 こんな疑問に答えてくれるのが、フィナンシャルプランナーの井戸美枝さんです。
 井戸さんは、本書で、年金制度の今後や受給額、受給開始年齢、受給額を増やす秘訣など、年金にまつわるあらゆる不安に答えてくれています。

年金、将来は本当にもらえるの?

 これは根本的な疑問として、多くの人が気になっていることでしょう。
 単に、「年金をもらえるかどうか」という点でいえば、今の現役世代もほぼまちがいなくもらえるはず。年金制度自体がなくなることは今のところ考えられないというのが井戸さんの見立てですが、問題は、「受給開始年齢」と「受給額」です。
 井戸さんによると、今後受給開始年齢が国民年金、厚生年金ともに引き上げられる可能性は十分にあり、現に政府の社会保障制度改革国民会議では2030年以降、67~68歳に引き上げる案も検討されているといいます。
 また「受給額」については、残念ながら今後は減額される可能性が高いようです。

年金を納めなかったらどうなる?

 会社勤めの人は厚生年金保険料が給与から自動的に天引きされるため、「年金を払わない」という選択は基本的にはありません。ただ、自営業者やフリーターの人が納める国民年金保険料は自分で納付するため、払い忘れたり、意図的に払わないということが起こりえます。実際、2014年度の国民年金保険料の納付率は63.1%。4割近くの人が払っていないことになります。
 払い忘れただけなら、遅れて納付することも考えられますが、中にはあえて払わない人もいます。こうした人はどうなるのでしょうか?
 天引きではないため、「払うか払わないかは個人の自由」だと勘違いされがちですが、国民年金、厚生年金にかかわらず、年金の納付は義務です。
 そのため2014年から日本年金機構は国民年金保険料を滞納している人を対象に厳しく徴収する方針を打ち出しています。年収400万円以上で13カ月以上滞納している人には、電話や個別訪問、督促状を送り、最終的には財産の差し押さえるということもあります。
 年収400万円以下の人も同様で、督促の電話や催告状を無視すると延滞金が科せられます。そしてやはり最終的には財産差し押さえも可能性としてはあるようです。
 ただ、やむを得ない理由で納められない人については、手続きによって免除されることもあるので、払えないからといってほったらかしにしないようにしましょう。

研修中、試用期間中は厚生年金に入れるか?

 就職や転職した会社によっては本採用の前に「試用期間」が設けられていたりします。
 この期間中、新しい会社で厚生年金に入れるかどうか、というのは案外わからない人が多いかもしれません。
 会社側に問い合わせると「試用期間中は国民年金のままでいてください」と説明されることがありますが、法律的には試用期間中でも、正社員のおおむね4分の3以上の労働日数、労働時間であれば会社は厚生年金に加入させないといけません。
 それでも「国民年金のままでいてください」と会社側が説明するのは、会社に定着して長く働くかどうか未知数の人の手続きをするのが面倒という事情があります。もしこのような説明をされたら、思いきって厚生年金に加入してもらうよう申し出るのは一つの方法です。

 若い世代にとって、年金受給はまだまだ遠い未来の話ですが、結婚や離婚、海外転勤や不慮の事故といった、人生で起こりうるあらゆることに「年金」はついてまわります。
 本書では年金について知っておくべき事柄が、一般的な疑問に答えるかたちで解説されており、その中にはきっとあなたが感じている疑問や不安にマッチするものがあるはず。
 よくわからないからといってそのままにせず、今のうちから情報は得ておきたいものです。

目次

  • 第1章 公的年金は本当にもらえるのか?
    1. Q1 年金制度は、あと100年安心と言われているけれどホント?
    2. Q2 職業によって加入する年金の種類は違う?
    3. Q3 今、払っている年金保険料は自分のための積み立て?
    4. Q4 年金はなぜこんなにややこしいしくみなの?
    5. Q5 保険料を払う人が減ると、困ることになりますか?
    6. Q6 今、保険料を払っている私たちの世代は、年金をもらえなくなる?
    7. Q7 私は自分で老後に備えるから、国の年金は必要ない?
    8. Q8 年金は保険料で払わず、税金でいいのでは?
    9. Q9 消費税が増税された分は、社会保障に充てられている?
    10. Q10 集まった年金保険料は、誰が運用している?
    11. Q11 GPIFは、年金保険料をどう運用している?
    12. Q12 民間の年金保険は、どんなしくみになっている?
  • 第2章 マイナンバー制度で公的年金は変わる?
    1. Q13 マイナンバー制度はなぜはじまった?
    2. Q14 マイナンバーはいつから、どう使うことになる?
    3. Q15 マイナンバー制度で、社会保障関連の手続きは今よりラクになる?
    4. Q16 マイナンバー制度で、年金は今よりも、もらいやすくなる?
  • 第3章 年金保険料、払わなかったらどうなる?
    1. Q17 年金保険料は誰でも払わなくてはいけない?
    2. Q18 専業主婦の保険料は夫が払っている?
    3. Q19 民間個人年金のように、公的年金も男女や年齢によって違いがある?
    4. Q20 保険料はどうやって決めている?
    5. Q21 保険料を払わなかったらどうなる?
    6. Q22 そもそも、保険料はいつまで払う?
    7. Q23 過去に払っていない期間があるけれど、さかのぼって払ったほうがいい?
    8. Q24 まとめて支払うと割引はある?
    9. Q25 払えないときは、どうしたらいい?
    10. Q26 学生も保険料を払わなくてはいけない?
  • 第4章 老齢年金、もらえる年齢はもっと遅くなる?
    1. Q27 年金はいつから、いくらもらえるの?
    2. Q28 夫婦の年齢差があるほうが年金でトクになる?
    3. Q29 インフレになっても年金額は増えるから安心?
    4. Q30 年金額は自分で計算できる?
    5. Q31 年金をもらえない人はいる?
    6. Q32 離婚したら夫(妻)の年金はどうなる?
    7. Q33 海外居住期間中も、年金に加入しなくてはだめ?
    8. Q34 研修中、試用期間中は、年金に加入していない?
    9. Q35 育児休業した期間があると、年金が減る?
    10. Q36 年金を増やす方法はある? その1
    11. Q37 年金を増やす方法はある? その2
  • 第5章 障害年金、入院しないともらえない?
    1. Q38 障害年金って、どんな年金?
    2. Q39 どんな病気やケガをしたらもらえる?
    3. Q40 障害年金、いくらもらえる?
    4. Q41 障害があって、さらに病気やケガをしたら?
    5. Q42 生まれたときからの障害でも保障される?
    6. Q43 障害年金、収入によってもらえる額は変わる?
    7. Q44 保険料を免除されていたら、障害年金は減額される?
  • 第6章 遺族年金、誰が亡くなったらもらえるのか?
    1. Q45 遺族とは、誰のこと?
    2. Q46 子どもが多いと受給額が増える?
    3. Q47 シングルの人は損をすることに?
    4. Q48 再婚したら、遺族年金はどうなる?
    5. Q49 結婚している期間が長いとトクをする?
    6. Q50 職業によって受け取る年金は違う?
    7. Q51 残された妻(夫)の収入によって年金額が変わる?
  • 第7章 企業年金、年金は自分で作る時代がやってきた!
    1. Q52 企業年金って、退職金のこと?
    2. Q53 企業年金にはどんな種類がある?
    3. Q54 なぜ企業年金の改正が急速に進んでいる?
    4. Q55 これからの年金は、企業年金が主流になっていく?
    5. Q56 企業に勤めていない人でも、企業年金に入れるようになるってホント?
    6. Q57 アルバイトやパートでも加入できる?
    7. Q58 掛け金は会社が払ってくれる?
    8. Q59 上乗せできる掛け金、マッチング拠出はどの会社でもできる?
    9. Q60 受け取り方でトクなのは、一時金、年金、どっち?
    10. Q61 企業年金は、一度はじめたら途中で止められない?
    11. Q62 転職したときはどうなる?
    12. Q63 会社を辞めて専業主婦になったら、企業年金はどうなる?
    13. Q64 もし、会社が倒産したらどうなる?
    14. Q65 もらう金額が決まっている確定給付年金のほうが安心?
    15. Q66 企業DCは絶対に一時金として受け取れない?
    16. Q67 確定拠出年金だと節税ができる。どういうこと?
    17. Q68 想定利回りって、なんのこと?
    18. Q69 一般の投資信託とはどこが違う?
    19. Q70 NISAだって、節税ですよね?
    20. Q71 個人型確定拠出年金、運営管理機関はどう選ぶ?
  • おわりに~老後生活を考える

著者プロフィール

著者近影

井戸 美枝

社会保険労務士
ファイナンシャル・プランナー(CFP® 認定者)

兵庫県神戸市生まれ。専門分野の年金、社会保障問題をはじめ、生活に身近な経済問題を講演、執筆、テレビ・ラジオ出演などを通じて分かりやすく解説することで好評。

厚生労働省社会保障審議会企業年金部会委員。経済エッセイストとしても活動し「人生の真髄はシンプルライフにある」と信じる。

行列のできる人気セミナー講師が書いた世界一やさしい年金の本』(東洋経済新報社)、『現役女子のおカネ計画ーいきいき余生とビンボー老後』(時事通信社)、『家庭の医療費をかしこく節約する77の方法』(PHP研究所)、『専業主婦で儲ける!サラリーマン家計を破綻から救う世界一シンプルな方法』(講談社+α新書) など著書多数。