ニーチェも太宰も心酔した賢者の知恵
書籍解説
ニーチェが、ナポレオンが、太宰治が、三島由紀夫が心酔した文豪を知っているだろうか。
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(1749-1832)、その人である。
『若きウェルテルの悩み』『ファウスト』など、歴史に残る著作を遺し、優れた思想家でもあったというゲーテは、現代に通じる名言・格言をその著書に記している。
そして本書はゲーテの言葉の中においても、特に人間の本質的な部分を抜き出し、我々に生きるための「賢者の知恵」を教えてくれる。
「対人関係」「成功」「仕事」「趣味」「知性」「自分自身」「才能」「読書」「信仰」「愛」「老い」「人生」――。
これらの知恵は、悩み多き現代の人間の心にじわじわと入り込んでいき、生きる為の糧を与えてくれるだろう。
「老人の忠告を役立てて、まっしぐらによい道を進んでいくべきだ」
今こそ、私たちはゲーテの忠告に耳を傾けるべきである。
(新刊JP編集部)
ゲーテ先生、どうすればいいですか?
Q、大学を卒業して意気揚々と入った会社。でも、入社前のイメージと違って同期も先輩もオラオラ系で、草食系の自分にはついていけません…。大学までの友だちはみんな自分と似たような人たちでした。いっそのこと会社を辞めたいとさえ思うのですが、どうすればいいですか?-
ゲーテはこう諭します。
「性に合わない人たちとつきあうには、うまくやるために自制が必要になる。それを通して、私たちの心の違った側面が刺激され、発展し完成する。その結果、誰とぶつかってもびくともしなくなる」(p21より)
どんな人間とも付き合い、多用多種な性格を知りましょう。そうすることで、あなたは人生に必要な知恵を身につけることができるはずです。
他にも「対人関係について」では、「大きな社会で勝負する」「あいさつを重んじる」「外見にまどわされない」「大声にひるまない」「必要以上に気兼ねしない」などが掲載されています。
Q、就職してから5年ほど経つのですが、最近自分の仕事がマンネリ化して退屈でなりません。新しいことをやりたいと思っているのですが、何がしたいというのもありません。どうすればいいでしょう。-
ゲーテはこう諭します。
「仕事がマンネリになると、仕上げることばかり考えるようになる」
「そして、仕事そのものに喜びがなくなってしまう。しかし、真に偉大な才能は、制作することに至上の喜びを見いだすはずだ」(p70より)
仕事そのものに価値を見いだすことが大切です。喜びを作り出しましょう。
他にも「仕事について」では「仕事を楽しむ」「他人の協力を仰ぐ」「目で盗む」「勲章にだまされない」「仕事部屋を片づける」などが掲載されています。
Q、多くの成功者が速読を勧めています。私も速読をある程度身につけ、読書量も膨大なものになりました。しかし、なぜだか心が満たされません。こんな読書法でいいのでしょうか。-
ゲーテはこう諭します。
「作者の精神が私たちに何をもたらすのかが重要」
「君たちは、本の読み方を学ぶには、どんなに時間と労力がかかるかを知らない。
私はそのために八十年を費やした。そして、まだ今でも目的に到達しているとはいえない」(p176より)
たくさん本を読めばいいというものではありません。作者の精神が私たちにもたらすのかを考えながら本と向き合わなければいけないのです。もっともゲーテが80年以上かかって到達できなかったことを私たちが到達できるとは思えませんが…。
他にも「読書について」では「古典をたくさん読む」「理解ではなく感じる」「書物だけを頼りにしない」「新聞を熟読しない」「教養を読み取る」などが掲載されています。
Q、付き合っている彼氏がいるのですが、同棲をはじめてから短所ばかりが目につくようになりました。それまで長所だと思えた部分もガサツで、だらしないようにさえ思うようになってしまいそうです。別れるべきでしょうか。-
ゲーテはこう諭します。
「愛する人の欠点を美点と思わない者は、愛しているのではない」
「愛のないものだけが欠点をみとめる」(p196)
世の中には完全なものなど存在しません。ゲーテはそれを知っています。だからこそ、欠点を美点と思い、その全てを愛するのです。
他にも「愛について」では「心の底から愛する」「恋の魔力を忘れない」「ほどほどを好む」「初恋を忘れない」「引退しない」などが掲載されています。