「七田式 子どもの才能は親の口グセで引き出せる!」池江璃花子、本田望結などの才能を開花させた「ある環境」とは?

BOOKREVIEW

 『家政婦のミタ』でブレイクし、人気子役となった本田望結ちゃん。昨秋公開の映画『ポプラの秋』では初主演に抜擢され話題となった。
 映画やドラマで欠かせない子役だが、主役を任せられる子は多くない。その意味で、彼女はやはり注目に値する存在なのだろう。

 そして、望結ちゃんが注目を集める理由の一つに、高い演技力がある。彼女が役作りで大切にしているのは、自分のセリフだけでなく、台本を丸ごと覚えること。これにより、自分以外の登場人物の感情の動きなどにも想像を働かせられるようになるという。

■本田望結ちゃんの役者としての基礎力を築いた教育メソッド

 望結ちゃんがこのようなスタイルを確立するのに一役買ったのが『七田式 子どもの才能は親の口グセで引き出せる!』(しちだ・教育研究所刊)の著者にして「七田式教育」の主宰者、七田厚さん。彼女はかつて、七田式教育の門下生だったのだ。

本書によれば、七田さんが望結ちゃんに「なぜ苦もなく台本を丸暗記できるのか」と尋ねたところ、以下のように答えたという。

  • もともと読書好きだったから
  • 幼い頃から暗唱に取り組み、記憶力を磨いていたから

 では、彼女はどのようにして読書好きになり、記憶力を磨いていったのか。
本書で紹介されており、また望結ちゃんも実践したという七田式の方法論を紹介していこう。

■子供を読書好きにするために必要なこと

 七田さんによれば、子供を本好きに育てる最も簡単で、最も効果的な方法は、幼少期から本の読み聞かせをしてあげること。
 読み聞かせを通して読書体験を重ねれば重ねるほど、子供は本の内容をスムーズに理解できるようになる。そうなれば、子供はもっと色々な本が読みたくなり、読書自体がますます好きになっていくからだ。
 ちなみに読み聞かせをする上で大切なのは、できるだけ決まったタイミングで、毎日行なうことだという。

たとえば、子供がベッドに入って眠りにつく前や、宿題が終わった後など、毎日同じ時間帯に読み聞かせをすることで、読書を習慣づけることはもちろん、子供が自らベッドに入ったり、誰に言われなくても宿題を手早く済ませたりといった良い生活習慣づくりにもつながる。

■子供がスポンジのように知識を吸収できる理由

 望結ちゃんの話に戻ろう。上でも書いた通り、何の苦もなく台本を丸ごと覚えられる理由について、彼女は「幼い頃から暗唱に取り組み、記憶力を磨いていたから」と語っている。結論から言うと、実はこれも読み聞かせが関わってくる。

 七田さん曰く、読み聞かせが習慣づけば、子供のほうから何度でも読んでほしい絵本をリクエストするようになるという。こうなったとき、七田式では子供に「一冊まるごと暗唱させる」のだ。
 子供としては、すでに何度も読み聞かせをしてもらい、ある程度内容が頭に入っているため負担は少ない。文字がまだ読めなくても、親がするように適当なタイミングでページをめくりながら、スムーズに暗唱できることが殆どだという。

 なお、大人になるほど左脳をメインで使うようになるため、理屈や理論で理解しなければ記憶することはできない。
だが子供は右脳をメインで使うため、一度見聞きしたことを感覚的に、そして瞬時に頭のなかに焼きつけることができる。よって、「一冊まるごと暗唱」に取り組むのは早ければ早いほどいいのだ。

 望結ちゃんと言えば、フィギュアスケート選手としても注目を集めているが、同じくフィギュア界での活躍がめざましい姉の本田真凜さん、さらには競泳女子の池江璃花子さん、トランポリンの伊藤正樹さんなど、多くのトップアスリートを輩出している七田式教育。
本書には、この教育メソッドに通底する、子供のイメージ力や記憶力を高めるための具体的な方法論が紹介されている。我が子の可能性を開くためのヒントをきっと与えてくれるだろう。

(新刊JP編集部)

BOOKINFO

書籍情報

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七田式 子どもの才能は親の口グセで引き出せる!

定価 :
1,350円+税
著者 :
七田 厚
出版社:
青春出版社
ISBN :
4413039963
ISBN :
978-4413039963

著者プロフィール

七田 厚

七田式創始者七田眞の次男。1963年島根県生まれ。東京理科大学理学部数学科卒業。株式会社しちだ・教育研究所代表取締役社長、七田チャイルドアカデミー特別顧問。七田式幼児教育の実践教室は、国内450教室をはじめ、台湾、シンガポール、マレーシア、アメリカ(ニューヨーク)、インドネシア、タイ、オーストラリア、香港、中国、カナダ(バンクーバー)、ベトナム、ラオス、ミャンマーなど世界にも広がっている。

INTERVIEW

■本田望結が幼くしてフィギュアスケートに出会えた理由

あどけない顔をした中学生が、芸能人やアスリートとして第一線で活躍する。そんな光景を目にすることは珍しくなくなったが、若くして才能を開花させる子は、「その他大勢」の子と何が違うのか。

もちろん「才能」が重要であることは言うまでもない。しかし、それと同じくらい、親やコーチ、マネージャーなどの支援者から、どれほど手厚いサポートを受けられるかが肝なのではないかという気もする。

そこで今回は、『七田式 子どもの才能は親の口グセで引き出せる!』(青春出版社刊)の著者である七田厚さんに、子供が才能を開花させるために親がすべき支援とはどのようなものなのかを聞いた。

――まずは七田さんが提唱している「七田式教育」が、どのようなものなのかを教えていただけますか。

七田: 私の父である七田眞が約60年前に築き始めた独自の教育理論です。父が20代半ばのころに、ドイツの文学者にして法学者のカール・ビッテが提唱する「才能逓減(ていげん)の法則」という理論に出会ったことがきっかけでした。

「才能逓減の法則」では、人の才能は歳をとるにつれて逓減していくと考えます。つまり、人間は生まれた瞬間、その人自身の最大級の能力を持っているという捉え方をするわけです。ビッテはまた、子供が本来持っている能力を引き出せるかどうかは親の働きかけ次第だとも語っています。

この理論を参考に、七田式教育では、周囲の大人からの働きかけによって子供の潜在能力を引き出すことを目指しています。

これは経験上思うことですが、親がうまく働きかけることができれば、子供は「興味の湧くもの」が見つかる。それが見つかったときというのは、子供の目の色が変わるので、すぐに分かりますね。

――今おっしゃった「才能」や「能力」とは、主に右脳に関連したものを指しているのでしょうか。

七田: そうです。子供は幼児期に、できるだけ3歳までに右脳を鍛えておくのが望ましいと考えています。というのも、子供の発達過程を見ていくと、右脳が先に成長し、3歳前後から次第に左脳が優位になり、6歳になると脳全体が大人と同じ働きになるからです。

――右脳を鍛えることで、どのような能力が向上するのでしょうか。

七田:主に「イメージ力」と「記憶力」を伸ばすことができます。これらの能力をバランスよく育むことで、自分で判断し考えて行動できる子供になっていきます。

――本書でも紹介されていましたが、本田望結ちゃんや池江璃花子さんも、七田式の卒業生なんですよね。

七田: はい。幼いうちに「イメージ力」と「記憶力」を鍛えおくと、「ここぞ」というときに自分の能力を発揮できる底力のある子供になります。二人ともその典型例と言えますね。

――本田望結ちゃんや池江璃花子さんの場合、どのようなことがきっかけとなって、今の道に進んだのですか。

七田:望結ちゃんのケースで言えば、お兄さんやお姉さんがスケートをしているのを実際に見て、「自分もやりたい!」と思ったことがスタートだったそうです。池江璃花子さんも、早稲田大学の水泳部に入るほどの名スイマーであるお兄さんがいて、そのお兄さんが所属するプールクラブで水泳に出会ったようです。

これらの例から言えることは、その「場」に出かけたからこそ、好きなものに出会うことができたということでしょうか。

――彼女たちのような突出した才能を発揮する子の親というのは、一般的な親と比べて、何が違うのですか。

七田: まず、子供に色々な世界を垣間見せるという点が違いとしてあるでしょう。子供は学年が上がるにつれて、親と一緒に行動しなくなります。その意味で、きっかけを与えるなら、幼児期がチャンスですね。

望結ちゃんにしても、池江さんにしても、お兄さんやお姉さんの影響があったわけですが、「その年頃で、普通、そんな場所には行かないよね」というところへ親が連れていっている。このようにして、子供が早い時期に好きなものに出会えるような環境を整えているところが、一般的な親と比べて違うと思います。

それと、いざ子供自身から思いが湧き出てきた時、その思いに「蓋をしなかった」点が挙げられます。子供が幼くても、「この子が言っていることだから」と、ちゃんと子供の話を尊重する。このように親側に理解があったというのは大きかったでしょうね。

■「本好きな子」になるだけじゃない! 読み聞かせが持つ隠れた教育効果

子育て中の母親であれば、一度は耳にしたことがあるであろう「子供に読み聞かせを!」というキャッチフレーズ。

たしかに読み聞かせによって幼い頃から本に親しむことで、その子が将来、読書好きになるという話は頷ける。

しかし、『七田式 子どもの才能は親の口グセで引き出せる!』(青春出版社刊)の著者、七田厚さんによれば、読者が持つ教育的効果は「それだけ」ではないという。

――七田式では、具体的にどのようなレッスンを行なうのでしょうか。

七田:七田式には「ちえ、もじ、かず」というジャンルがあって、昔でいうところの「読み書きそろばん」を訓練するためのレッスンを用意しています。

「もじ」の例でいえば、「暗唱文集」なるものを用意しています。この文集には、詩や漢詩、論語、古典文学や現代文学の冒頭文などが収められており、まずはその朗読から行ないます。レッスンでもやりますが、家でも毎日復習してもらいます。

漢詩などは取っつきづらいイメージがあるかもしれませんが、「国破れて山河在り」のようにリズミカルなものであれば、意味は分からずとも、子供はすんなり暗唱します。

――たしかに、「意味抜きで覚える」という作業は、大人よりもむしろ子どものほうが得意なように感じます。

七田: その通りです。インタビューの前半でも少し触れましたが、七田式では「イメージ力」と「記憶力」の向上を重視します。そして、これらの能力を伸ばすなら、幼ければ幼いほどいいという実感がありますね。

――幼いうちに記憶の能力を高めておくと、子供にとっては具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。

七田:それはもう、物事を記憶するのに要する時間が圧倒的に短くなることですね。まわりの子が受験勉強に3、4時間ほど使っていたとします。でも、イメージ力や記憶力を鍛えた子なら1時間で済む。それほど物事を暗記するスピードに違いが出ます。

つまり、まわりの子が勉強している間に、七田式で学んだ子は、テレビを見たり、好きな本を読んだり、スポーツをしたりと、勉強以外のことに時間を費やせるようになる。これがメリットですね

――なるほど。そういう意味では、「効率よく自学して、学校の勉強をどんどん先取りする」ことを目指しているわけではないのですね

七田:その通りです。暗記そのものに時間を多く使わなくて済むからこそ、子供たちには学校の時間は学校の時間で有意義に使ってもらいたいですし、趣味の時間も作ってほしいと考えています。

――ところで本書では、親から子へのちょっとした言葉がけの重要性についても触れられていますが、これもイメージの話に関わってくるのでしょうか。

七田: はい、関わってきます。本書でも書いたことですが、「パパのところまで、コップの水をこぼさずに持っていってね」と言われた子供は「コップの水をこぼす」という否定語に引っ張られ、「コップの水をこぼしている自分」をイメージしてしまいます。

逆に、「**ちゃんなら、パパのところまでコップの水をこぼさずに持っていけるよ」と語りかけられた子供は「上手に運んでいる自分」をイメージできる。言葉がイメージに与える影響はそれだけ大きいということです。

よって子供の自己肯定感を育てたいなら、たとえ謙遜であっても、親は子供のいるところで「うちの子なんて全然よ」といったような、否定的な言葉は使わないほうがいいでしょう。

――そのように、ちょっとした言葉にも気を配るためにも、前提として親が大切にすべきことは何でしょうか。

七田: 子供が「自分は愛される価値のある人間なんだ」と思えるよう、親が子に対して充分な愛情表現をすることが重要だと思います。

―― その愛情表現の一つとして、読み聞かせが有効ということでしょうか。

七田: はい、有効です。読み聞かせを習慣化することで、子供が本好きになるという効能以上に、愛情表現のツールとして重要ですね

――それはなぜですか?

七田:読み聞かせは片手間ではできないもの。だからこそ、子供にとっては「自分のためだけに、読んでくれている」と、親の愛情を確認できるのです。子供にとっては、読み聞かせの時間は親を独占できるうれしい時間になる。親子の一体感を育む意味でも、1日10分で構わないので、親御さんには読み聞かせの時間をとっていただきたいですね。

――最後になりますが、読者の皆様へメッセージをお願いします。

七田: 子供の心が愛情で満たされれば、才能を開花させる準備は整ったということ。本書ではスキンシップについても言及しましたが、親御さんには是非、色々な形でお子さんへ愛情表現をしていただきたいですね。

(新刊JP編集部)

CONTENTS

  1. 序章高校、大学…で大きく伸びた子は、 幼児期に「何を」学んでいたのか
    • 知育ばかりでは伸び悩む。才能を引き出す2つのキーワード
    • 後伸びする子の共通点って?
    • 子供のやる気を伸ばす、語りかけのタイミング
    • 10歳前後までに右脳を鍛えておくことで身につくもの
    • 「耳からの記憶」も楽しんで鍛えよう
    • 「心の教育」が子供の才能を大きく伸ばす
    • 親の口グセで子供の可能性はどこまでも広がる
    • 実践のヒント1:子供の見方、6つのポイント
  2. 第1章この「口グセ」が子供に自信を与え、才能を伸ばす
    • すべての基本は、この「安心感」から
    • 子供の自己肯定感を高める魔法の言葉
    • 家庭で教えたいコミュニケーションの基本
    • 自分からやる子の親が「しなかった」こと
    • 親がグッと我慢することで育つもの
    • 簡単には挫折しない子の心の秘密
    • 親のポジティブな言葉が、子供の自信を伸ばしていく
    • 実践のヒント2:ポジティブな言葉への言い換え例
    • 子供がもっと伸びる! 上手なほめ方三つのポイント
    • 人と比べないほめ方のヒント
    • ほめるだけじゃダメ。上手に叱る三つのポイント
    • 叱るルールを決めておこう
    • 子供の「好き!」を増やしてあげる工夫
  3. 第2章学ぶ力の基本=「本が好き」な子になる親の口グセ
    • 「子供を本好きにする」ことで、より広がる未来
    • まだまだある、本好きの子ならではの強み
    • 子供を本好きにする第一歩は「読み聞かせ」から
    • 読み聞かせは、こうして習慣化しよう
    • 読み聞かせをするうえで大切なこと
    • 同じ本ばかり読みたがるときのこんな工夫
    • 読み聞かせに興味を持たない子供には
    • 「おすすめの年齢」にこだわらない
    • 「自分で選んだ」本で読書の幅を広げよう
    • もっと本が楽しくなる環境の整え方
    • 実践のヒント3:右脳を育てるおすすめの本
  1. 第3章「記憶力」と「読み書き計算力」が自然に高まる親子の習慣
    • すべての子供がすごい暗記力を持っている!
    • なぜ入学前に九九を覚えるといいのか
    • 幼児期に「記憶の質」を高めることの計り知れないメリット
    • 右脳と左脳の記憶の違いを知っておこう
    • 実践のヒント4:フラッシュカードでイメージ記憶力を高める
    • 目と耳を使って、右脳の記憶力を伸ばそう
    • 英語、古典、数字…興味を持てば何でもチャレンジ
    • 実践のヒント5:暗記におすすめの素材の例
    • 美しい日本語のリズムと心を身につけるために
    • 幼児言葉、汚い言葉を口グセにしない
    • 10の「基礎概念」で、表現力を育てよう
    • 作文力を鍛え、表現力を磨く「カラオケカスゾ」
    • 日常で楽しみながら計算力を鍛えるコツ
    • 語学力を磨くには、耳への刺激がポイント
    • イメージ力を高めて「なりたい自分」を引き寄せよう
    • イメージするときに使いたい言葉、使ってはいけない言葉
    • 実践のヒント6:わが家でできる「イメージトレーニング」
    • 心が落ち着く「呼吸法」を覚えよう
  2. 第4章集中できる子・続けられる子になる親の口グセ
    • 子供の集中力=「年齢+1 分」を伸ばす工夫
    • 集中力は「小さな習慣」をしっかり身につけることから
    • 真っ先に身につけておきたい、この生活習慣
    • 「早く!」と急かすより時間感覚を高める方法
    • 10歳まではリビングで勉強したほうがいい理由
    • お手伝いを上手に頼んで、自主性や責任感を育てる
    • 話を聞ける子ほど、食事の習慣が身に付いている
    • テレビとゲームのルールをどう決めるか
    • 後片付けを「遊びの一部」に変えちゃう習慣
    • お金のルールをどう決めるか
    • 実践のヒント7:お金感覚を身に付けさせる
    • 心のコントロールができる子にしよう
    • 「ご褒美」でつるのも、やり方しだい
  3. 第5章失敗に負けない!子供の「折れない心」の育て方
    • 子供の自己肯定感を低くしている親の口グセ
    • 幼児教育を受けた子供が陥りがちな二つの落とし穴
    • 子供が残酷な言葉を言ったり、言われたりしたときには
    • イヤイヤ期は、子供の意見を尊重する言葉かけを
    • 反抗期は、かまってほしい気持ちの裏返し?
    • 習い事や続けてきた事を「やめたい」と言い出したときには
    • 「自分を信じられる子」の心を支える親の習慣
  4. 第6章親も子も、ともに成長できる「笑顔の子育て」のヒント
    • 子供への教育は「気づいたとき」がベストタイミング
    • その子の「持って生まれた運」を尊重しよう
    • 親子一緒にチャレンジする時間を持とう
    • 親子で乗り越えた経験は一生ものの宝に
    • 子供に「きょうだいで誰がいちばん好き?」と聞かれたら
    • 親が心がけたい、子供との「いい加減」な距離感とは
    • 完璧な親などいない。子供と一緒にゆっくり成長していこう
    • お互いを「認め」「尊重し」、そして「楽しむ」子育てを
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